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ララベルお姉様は学院の臨時教師となって戻って来られた伯爵家ご次男様と無事に仲を深めている。殿下より年上の男性の魅力と、教師との禁断の恋愛モドキのシチュエーションに、姉の恋愛脳が大幅に刺激されているようだった。
マリベル最大の悩みが1つ減って、またマリベルは安心の日常を取り戻し始めた。マリベルは女神様に今世紀最大の感謝の祈りを捧げたのだ。
それから半年経って聖女教育の座学も終盤を迎え、来年は実践を求められる。
座学が大詰めを迎えた中、聖女候補達も宿題や復習に忙しく何人かで集まって自習をするのが常となっている。
グループも固定されつつありソフィーナ様筆頭に侯爵家のお2人と子爵令嬢のココット様の4人グループと、伯爵家のお2人のグループという構図が多い。
仲が悪い訳でもないが、目的別と言ったら早いのか伯爵家のお2人は、本気で聖女を目指していない感じもするのだ。
「ビアンカ様、そこの解答をお間違えかと思います。神官様の授業ではこう仰ってましたので、そこの解釈はこうでは?」とマリベルが指摘する。
「えっ、ちょっと待ってココット様のお答えは?」
「私は自信無くて、アイリーン様は?」
「私はビアンカ様と同じような答えを考えたわ」
皆の目が一斉にソフィーナ様に向く。
「皆様、マリベルさんのご指摘通りよ」とソフィーナ様が仰り、続けて「マリベルさんご説明もお願い」「かしこまりました」と私は説明をする。
女神様のお考えを私ごときが講釈たれるなんてと思うのですが、そこは聖女を目指す皆様には正しく理解して頂かないと。と思っていると、ビアンカ様が「マリベルはおかしいと思うのよ」と仰る。
「私もそう思うわ。だってマリベルは私達の授業中、後ろに立って控えているだけでしょう?」とアイリーン様が。
「そうそうノートも取っている訳でもないしね。なのに何で私達が教えられているの?」とココット様も仰る。
他の聖女候補の侍女の方々も「確かに私達も聖女様のお勉強のお世話までは…」と顔を見合わせ口々に仰る。
マリベルが「何ですと!」の表情で固まっていると、ソフィーナ様が「そうね」と同意される。
マリベルが「あの、あのっ」と自分が聖女を目指しているとか誤解されたくなくてワタワタしていると、聖騎士様が「聖女候補様方、王太子殿下と婚約者のご令嬢が視察にお越しになりました」と伝えにいらした。
この聖騎士様はアドリアン様と仰って、今は未婚者なのだが、現聖女様と王弟殿下がご結婚された後、アドリアン様も聖女様の侍女だった方とご結婚の予定だそうだ。
皆様の描く理想の結婚が実際にあったんですね〜。
私は遠慮しますけど皆様には聖騎士様とのご縁がありますよう
女神様に祈っておきますね。