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休息日に再びソフィーナ様からお茶会に誘って頂いた。ご実家から大量にお菓子が届いたが食べ切れないからという建前だが、議題はもちろんマリベルの姉だ。
お茶会のメンバーは私、侯爵家令嬢2人と男爵家令嬢の2人だ。
ココット様は今日はご家族が面会にいらしていて欠席されている。
アイリーン様の情報によると姉は殿下を中心とする高位貴族の側近にもてはやされマスコット的存在になっているようだ。
ソフィーナ様は殿下の婚約者の公爵令嬢と連絡を取ったそうだ。令嬢は姉を全く相手にはしていないが、姉の存在が煩わしいご様子でソフィーナ様にかなり愚痴を言ったらしい。でも兄のことはいいのだそうだ。
異性に対する差別が激しい気もするが、姉は空気を読まない人なのだから仕方ない。
そこでソフィーナ様と婚約者令嬢は見目麗しい令息を1人、姉に見繕うことにしたのだそうだ。「ララベルさんには、早々に殿下の前からご退場頂きましょう」ソフィーナ様は笑っているのに冷ややかな目でおっしゃった。
候補の令息は数年前に学院を卒業し、今は隣国に滞在していている方で今回、学院の臨時教師として戻って来るという設定の伯爵家次男様だった。
正確には戻って来くるのではなく公爵家2家の権力を使って呼び戻したのだろう。私の姉如きに公爵家の権力を使わせて申し訳ない。
そして姉を押し付けられる伯爵家と次男様は大丈夫なのだろうか?と心配になって伺うと、ソフィーナ様はお話を持っていった時、伯爵家の人達の方がこの縁談にかなり乗り気だったのだと仰った。
「なぜなのでしょう?」とマリベルは信じられない気持ちで聞くと、アイリーン様は「ああ」と納得したようなご様子で「それは伯爵家の方々からすれば、秘された妖精子爵家に公爵家お墨付きで縁戚を結べるのですから、乗り気にもなるでしょうね〜」と仰った。
「確かに周りから羨ましいがられるわ」「きっと何で伯爵家が?ってなるわよね」と皆様、口々に仰る。
それ何のことですかー???の顔でマリベルが固まっていると、
「マリベルは自分の家のことを知らないの?」とビアンカ様が聞いてこられた。
「仕方ないわ。筆頭侯爵家がずっと世間から守ってらしたから。子爵家の方々はかなり箱入りなのよ」とソフィーナ様がお答えになる。
何で私よりも、うちのことにお詳しいのですか?ソフィーナ様。
そもそも子爵家が妖精とか訳分かんないんですけど。