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 マリベルは姉のやらかしを直ぐに侯爵家に手紙で報告し、姉に見られないように侯爵家の名前で兄に手紙を出す。自分の宛名で書いた手紙を見たなら、あの姉は強引に兄の手紙を奪って読むことが安易に予想された。


 兄には姉が決して王族どころか高位貴族にも粗相しないよう体を張ってでも止めて欲しいと伝えた。できれば恋愛脳の姉に適当なイケメンを当てがって危険な面子から遠ざけてもらいたいところだが。自分が自ら動けないのがもどかしい。


 聖女候補の外出は原則禁止で、その侍女も同様だ。面会も最低限と決まりがある。侯爵家からは侯爵夫人とお姉様の浮かれっぷりの分かる懐妊報告と最後にベルの娘だしね〜的な明るい返事が返って来ただけだった。


 本命の小侯爵様は手紙見てないの⁈

だが侯爵家は、そもそもあてにしてはいけない。しかし兄の返事もマリベルに「心配かけてすまない」という詫びと、頑張って体を張って止めたいけど、殿下が逆に姉を気に入っていて難しいと返って来た。


 そして今後の手紙は自分宛ては全て危ないから同室の男爵令息宛てに「妹より」と書いて送って欲しいと書いてあった。

 姉だけでなく兄も殿下に気に入られているため、殿下から「誰からの手紙?」と突っ込みが入るらしい。そこまでか!!

 男爵令息が兄に同情して協力してくれるそうだ。

その代わり聖騎士様のサイン欲しいって言われたけど。


 ビアンカ様が部屋で課題に取り組んでらっしゃる横で、マリベルが苦悩の顔で立っていると、ビアンカ様が「ねぇどこか間違っている箇所があるのかしら?」と聞いてきた。「いいえ全問正解されておいでです」「気が散るんだけど、何なのよ!もしかしてあなたの兄妹のこと?」

「ううぅっ。私はビアンカ様の侍女失格ですぅ」マリベルが泣き崩れると、「ちょっと泣かないでよ。話聞くから!!」私はビアンカ様のご好意に甘えて、何も姉の対策が立てられてないこと、高位貴族に無礼を働いて、お家断絶とか没落とかが心配なことを涙ながらに話した。


 ビアンカ様は「あなたの姉も王都の華やかな貴族に浮かれちゃったのね。王太子殿下が甘やかしたのも悪いけどね。あの平民侍女達もだけど、そういう恋愛に一筋な人って一定数いるのよね。私、気持ちは分かるのよ。むしろ、あなたは分からないのでしょう?」と仰った。


「うちは5人兄妹なんです。でも貧乏で、だから恋愛に目を向けられないというか、下の子達の為に私が頑張らないといけないんです」と私は一生懸命ビアンカ様に伝えた。


「最近は恋愛結婚も多いけど、まだまだ高位貴族は政略結婚も多いのよ。特に殿下の婚約者が決まった後だから、高位貴族の親達の間で子供そっちのけで婚活が凄いことになっているの。あなたは私達、聖女候補も聖騎士様狙いだと思ってた?」マリベルは目を見開いて首を横に振る。


「まさか!でも聖女になれなくても候補になったなら、結婚に有利なのではとは思っていました」と正直に言う。


「そうね。ソフィーナ様もだけど、私は望まない結婚を避けるために候補になった子が多いと思っているのよ。まあ聖騎士様はついでね。彼らが釣れればラッキーくらいよ。明日、ソフィーナ様にも相談してみましょう?」と笑った。


 気の強そうなビアンカ様が笑われると、とても可愛い。

しばしマリベルはビアンカ様に見惚れた。女神様眼福です。

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