セドリック NO.4
2年が過ぎた
この頃になると平民にまで、陛下の病状が噂されるようになった
セドリックが僕を訪ねてきた
セドリックは王太子殿下の側近の一人にまでになっていた
幼い日々が遠くなっていった
月日があっという間に過ぎていた
「アンリ 久しぶりだね 最後に会ってから随分経つね すっかりベストセラー作家になって嬉しいよ」
「セドリック殿こそ、素晴らしいお働きですね 殿下をお支えしてると聞き及んでおります」
「そう堅苦しくならないで欲しいな」
「これでもいろいろ苦労があるんだよ それより、ちょっと話があるんだ」
と、言って話し出した
今、王国では王太子殿下とイーリア様派で二分されている
正統な後継者の王太子殿下を支える派と、第2側妃のイーリア様を押している派だ
お子の無いイーリア様は、陛下が身罷られた後に、傀儡政権を樹立して王太子殿下を意のままにするつもりなのだ
ここまでは、父上から聞いていた通りだった
父上は王太子殿下派だ
「殿下はね、陛下を操って後宮の公金を横領したり、わいろを受け取ったりして、自分の派閥に配り、贅沢をしてるイーリア様をこのままにしておくつもりは無いんだよ」
「それでね、アンリに頼みがあるんだ」
「その前に、どうしても聞きたいことが、、、」
「エミリーの事だね エミリーは2年程前に体調を崩して、第3側妃のカトリーヌ様の住む離宮に一緒にいるんだ
これは公にはされてないから、そのつもりでね」
「エミリーはエミリーは大丈夫なんですか まさか、命に危険はないでしょうね」
「今はもう大丈夫だけど、一時は危なかったんだ
第2側妃の嫌がらせもあってね
頼みというのはエミリーにも関係があるんだよ」
「えっ」
それから、私は一心不乱に書き続けた