プランク時間
今 吸った空気さえ
吐いたなら過去になる
あまりに堅牢で虚弱な
時間のすがた
生きるということは
人生をやみくもに切り崩すことにひとしい
きれいに積まれた糧が
バラバラになってなくなるまでの旅路だと
雪はあしあとをすっかり消して
わたしたちは常に道しるべを探して
犠牲と誕生が
紙ひとえになる
わたしたちの故郷
泣いて
目覚めて
鉛筆の先端をけずって
手紙をのこす
文字が
文明が
一瞬かぎりの幻覚かもしれないと
分かっているのに
孤城をたてても
堀でおおっても
時間はすぎていく
浸透をくりかえすように
そのかなしみを癒やすために
わたしたちは約束なんてするんだ