庭には二羽鶏がいた
バケモノの手が私に当たる前に、横から衝撃を受けたかのように手が吹き飛んだ。
「お、みっけ〜 ターゲット確認、被害まだ出てないよね?」
バケモノの後ろの方の誰かと電話しているような声がした。バケモノは、雄叫びをあげながら声の聞こえる方を見る。声のする自分の後ろ上方向を…
学生服をきた男がバケモノ斜め1メートルの空中に立っていた。空中に立っているなど普通は考えられないが暗すぎて顔は見えなかったし私はあまりにも驚いて目を丸くしてしまい、思考能力が無くなっていたのだろう。周りを見渡し私の方をチラッと見ると
「ギリギリセーフってところかな?なんか人襲われ掛けてるから…救助優先してやりやす」
少し笑いながら手の指を掴むように動かした次の瞬間そのバケモノの周りに水が出てくる。バケモノは剛腕な腕で水を薙ぎ払うように回すが弾かれて水はまたすぐにバケモノを包んでいく。完全に水に包まれるとその男は肘を曲げる、すると宙に上がっていき5メートルくらい行ったところで手を握ると水の球はバケモノのサイズの半分以下に圧縮される。音を立て潰れ周りを包んでいた水は赤い球体になっていた。
「ターゲット撃破完了死体の回収しにきといてねー、あと…」
右耳を右手で押さえながら誰かと話していた。興奮しているせいか途中から上手く聞き取れなかった。
「大丈夫?小鳥遊さん」
途端に眠ったままの思考能力がバグった気がした。今目の前にいる人は自分のことを知っている人間であるのは間違いないのだが自分の方は顔を見てまだピンとはきていない。メガネを掛けてワカメ見たいなぐしゃぐしゃの髪をした人…どこかでみたような気もしない事もない様な気がする少し首を傾げると向こうの方から
「えー俺のこと忘れたの?9時間前くらいに自己紹介したじゃん〜」
9時間前どこにいたか…学校だ、そこでピンときた。確かに同じクラスにこんな顔をした人がいた気がする。何か印象薄くて名前は忘れたけど…
「なんか見覚えはあるみたいだし改めて自己紹介するね。俺の名前は『日暮壮琉』同級生だよ、改めてましてよろしくねー」
学校の自己紹介の時はこんなハキハキ喋っていなかった気がするが、真ん中位の席でいたような気がしないでもない
「よろしく…お願い…します?…あのバケモノはなんやったの?」
頭の中を整理して率直疑問をぶつける
「移動してからでいいかな?小鳥遊さんの疑問についてもだし、他にも話なきゃいけない事がいくつかあるから場所を変えて話したいんだけど〜この後時間空いてる?」
何かを考えるようにして「理由はあれだあれ事情聴取的な?」と空中で回していた人差し指をこちらに刺しくる。
しかしこちらはヘタリと腰が抜けて歩けそうにもない。
日暮は私が投げた荷物を拾いウインクしながら親指を立てて見せる。
「え?」
と思った瞬間、体の周りを水が現れ、すくい上げるように体を持ち上げ空中で絨毯の様に平べったくなった。
「…なにこれ?」
今自分の足の下は水の絨毯みたいなものがあり、何故か水でできているにもかかわらず体は沈まず水の上にある正直言って何が起こっているのかはわからない
「あれ?もっとびっくりすると思ってたのに…それでは気をかえて、空の旅へご案内いたしまーす」
ちょっと残念そうに首を傾けたかと思えば、遊園地のアトラクション乗り場のお兄さんのように高い声にかわる
「いやびっくりしちょんけど、色々ありすぎて反応できないだけやけん…」
そうこうはなしているうちに絨毯のようなものは上空30メートルくらいまで上がった。
「このくらいの高さなら多分下から見てもわからないよね。それではレツゴー」
「え?ちょっと心の準備が…」
出発と言いながら人差し指を目的の方向に向けると次の瞬間もの凄いスピードで絨毯は進む。
「いやぁぁぁーーー!!!!」
ジェットコースターに乗ったかのように叫び声を上げる
落とされないようにしがみつくのでいっぱいいっぱいだった。恐らく水を掴むことになったのはこれが初めての事だ。気付いた時には、とあるマンションの一階のテナントの前に居た。不思議なことに水の絨毯のはずだが服が一切濡れていなかった。
「大丈夫だった?」
「大丈夫だったらこんなヘトヘトじゃないけん」
掴むので必死だったので息切れをしながら言う。
「まあとりあえず事務所に入ってから話そうか」
背中を押しながら明るい声で言う




