第44話:開戦
「いよいよ開戦の日を迎えた。皆の者、準備はよいか?」
「「はっ!」」
各錬金魔道具の錬成をしていると、あっという間に10日が過ぎ、ついに戦いの日となった。
作戦通り、戦いはゴーレム軍団が担うことになり、私たちは王宮で待機している。
前線基地には衛兵たちも少し残っているけど、危なくなったらすぐに転送装置で避難する計画だった。
大型の板も錬成して、画面には何体ものゴーレムが待機している。
ルリビタキを何体も飛ばしてあるので、色んな角度からの映像が見えるのだ。
そして、<指揮官タイプ>のゴーレムが王宮にもいて、私たちと戦場を繋いでいた。
「この並びを見てくれ、メトルド! 太陽を天使が囲んでいる! これは我が軍が圧勝するというお告げだ!」
「クアトロ様っ!」
そんな中、皇子は相変わらずカード並べに興じている。
本当にすごい精神力の持ち主だ。
皇帝様が立ちあがると、静かな会議室がさらに静かになる。
「では、これより魔族への攻撃を開始する…………全軍突撃!」
皇帝様の掛け声で、ゴーレムたちが一斉にリグレット王国へ向かった。
まず、地上からは重装歩兵の一般兵タイプが襲い来る。
目に映る物全てをなぎ倒すような勢いだ。
ルリビタキの視点も一緒に移動する。
『おい、何か来やがったぞぉ。人間のアイテムかぁ? ははっ、鎧なんか着やがって。ぶっ殺……ぎゃああ!』
『攻撃が効かねえ! 硬すぎるだろ! ぐううう……待て待て待て! なんだこの馬鹿力は!』
『ちくしょう! 一旦空から攻撃するぞ! 体勢を立て直せ!』
突進に耐えかねた魔族は空に飛びあがる。
ドラゴンタイプはそれを待ち構えているかのように、空を縦横無尽に飛び回っている。
『なんでこんなところにドラゴンがいるんだよ!』
『は、速い! 動きが追いつかねえ!』
『クソっ! 羽をやられた! 助け……ぐあああ!』
魔族は攻撃するのに魔力を貯めないといけないけど、<ドラゴンゴーレム>は溜め行動なくブレスを吐く。
おまけに、魔族は身体が大きいからか小回りが利かないようだ。
次々と<ドラゴンゴーレム>に撃ち落とされ、地上で待ち構えている<一般兵タイプ>に殲滅される。
〔あいつらもなかなかやるやんか。戦いが終わったら、ぜひお喋りしたいなぁ〕
〔手練れの集まり……〕
こんな状況でもリリスはドングリを齧りながら観戦している。
ゴーレムは人間より肝が据わっているのかなぁ。
「あああ、あれが魔族……初めて見たが、なんて恐ろしいんだ……でも、ルーのゴーレムがやっつけてくれているぞ」
「どどど、どれもこれもすっごく怖い顔をしているじゃないの……でも、大丈夫ね。こっちにはルーちゃんがいるんだから」
父母は両手で顔を覆うも、指の隙間からしっかりと見ていた。
父母が恐ろしい……という間にも、魔族はどんどん倒されていく。
「素晴らしい……童ルーよ。貴様の造った魔道具は本当に素晴らしい……」
終始愉悦の声を漏らすばかりの皇帝様。
やがて、リグレット王国を覆っていた黒い影は消え、荒れ地に太陽の光が差し込む。
魔族たちも撤退しているのだろう。
そうして、ブランニュー帝国を守る戦いは、私たちの圧勝で幕を閉じた。
会議室に勝鬨の声が響く。
何はともあれ、みんな怪我がなくて良かったね。
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