出会いと再会2
まさかこの森の中に俺以外にも人が居るとは思わず、誰かにぶつかってしまった。
「すみません、大丈夫ですか?」
俺は転ぶことは無かったが相手を転ばした以上こちらの方に非があると思いすかさずてを差し伸べる。すると相手も気づきすぐさま手を取ると目が合った、あまり日本人らしくない顔立ちで少し童顔丸顔の可愛らしい印象でショートカットの髪に軽くパーマがかかっている、身長もそこまで高くなさそうだが決して年下だと言う印象が湧いてこない、でも小動物みたいな可愛さがある。同じ受験生なのかもしれないが守ってやりたくなるような印象がある。
そんな事を考えながら相手の体を起こすのを手伝い、相手からも謝罪が飛んでくる。
「いえ、こちらこそすみません。少しよそ見をしてまして」
「いえ、こちらこそ人が居ないと思いつい周りを見ずに………」
俺はたしかに人が居ないと思っていたが決して油断はしていなかった、なのにぶつかった?
もしかして俺も緊張しているのかもしれない自覚がないだけで
「いえ、それよりもどうしてここに?」
「少し体を動かそうかと思ったんですけど受付の近くだと、人が多かったから人が少なそうなところを選んだつもりだったんですけど」
「ですよね、すみませんこんなところに居て」
「全然お気になさらず」
「あ!!すみませんそれどころじゃなくてでは!」
「なんかあったんですか?」
緊急の用事らしくすぐさま立ち去ろうとするが呼び止める、一瞬引き止めるのも悪いかと思ったがこんな所に居るぐらいだからきっと困り事だろうと思い、協力出来るなら出来る限り手伝いたい。
これからこの道で生きていくうえでそう思う事がきっとこれから先の人生を豊かにすると信じているからだ。自分の生き方で少しでも多くちょっとでも出来ることをしていきたい。
「いや……あの〜実は受験票を風で飛ばされてしまって………」
「!!!??」
想像以上にまずい事態だった、まだ受付の時間があるとはいえこんなに広大な土地でしかも木々が生い茂る森の中で受験票探し………無理じゃね
うん無理だね
「紙で持ってきたんですか?最近はだいたい携帯とかで受付出来ると思うんですけど?」
「そうですよね、でも私ドジだから念のために紙と携帯両方持ってきたつもりが携帯の方忘れちゃって………」
すごい子だな、現代において携帯を忘れるのはなかなか居ないと思う。今ではお年寄りの方でも持ち歩くのが当然で生活の一部だと思うんだけど、それに近くでビーストが発生した際に現れる空間の歪みを通称ゲートと呼ぶが、これを国が感知した際にも近くにいる人間に情報がいき対応を求められる。もし近くにゲートが発生するば知らせが届く仕組みになっているが携帯が無ければ当然気付くことが出来ない他の人が居ればいいが一人の時に起きた場合ビーストが突然現れた様な形になる。その点で携帯は生活において最も重要な命綱とも言える。
「そ、それは災難でしたね僕も探すの手伝います」
「い、いえ大丈夫です、私のためにわざわざ時間を使ってもらったら申し訳ないので……それに私みたいなドジでノロマの役立たずじゃどうせ受からないですよ……現にもう探すのほとんど諦めてますから」
受験票を無くしたことがだいぶショックだったのか、それとも元々こういう性格なのかかなり参った様子でネガティブになっている。こんな時に気を使って励ました所でしょせん大した効果はない、今は良くてもいずれ失敗した時に更に落ち込む事になる、なら今必要なのは失敗した経験で終わらせない事。失敗したがそれは成功体験を知れるいい機会だと思う、だからこそ見つけてあげれば失敗を覆し成功した事になる。
「僕はあまり君の事を知らないですけど自分の事を卑下するのは良くありません。余計なお世話かもしれませんが僕も探すのを手伝います」
「そんな……悪いですよ、それに体を動かすために来たんですよね?こんな大事な日にわざわざ私のために時間を使ってもらわなくても………」
「大事な日だからこそですよ、僕にとっても君にとっても今日は大事な日で、これから同じ学校に通うかもしれない友達を見捨てることなんてできません」
「友達?私がですが?」
「これから2人で受験票を見つけて、2人で合格して、別のクラスだろうときっと話す機会があって仲良くなるならもう友達じゃないですか?」
「私はどうせ受験票見つけても受かりませんよ……」
「なら、とりあえず見つけましょう、そしたら受からないと言ってください先ずは見つけるところからです。」
とりあえず探すのすら諦めるのを諦めてもらう、俺が一緒に探す事になればきっとこの子も諦めきれなくなる、きっとそういう性格だから。自分の努力はないがしろにしても、人の努力を無下にはできないはず。自分を信じれない人は、自分のために頑張る人のために頑張れる人だから。あとは見つければこの子の大きな成功体験になる。
「あっ、そうだ探す前に君の名前は?」
「私は二宮・A・ブィスナー」
「!?!あっ、ハーフの方だったんですね」
「あっ言ってなかったですよねすみません」
「いえ別に気にしないでください、それと俺は氷織夏火よろしく!」
外国顔だな〜とは思ってたけど本当にそうだとは思わなかったな、やっぱり世界は広いや
それから20分近く探したが全然見当たらない、それどころか気配すらない、まぁこんな森の中で紙を探すのは難しいと思ったけど………
それよりも完全に二宮さんが諦めそうになっている、これは大きな失敗だ、しかもちょっとのミスが大きな失敗を生んだケース、きっとこの先何かにぶつかった時に小さな事ですら一歩踏み出すことが出来なくなってしまう、これは完全に俺のミスだ。
やすい励ましの言葉で期待させて結局何も得ることが出来なかった、典型的な大きなお世話と言うやつだ。
「こんだけ探しても無いならもう見つからないですよね………」
「まだ、諦めちゃだめだ!きっと見つかるはずだから」
「でももう受付時間あんまりないですし………今回は私に縁がなかったんですよきっと………」
受付の締め切り時間は刻一刻と迫って来ているそれでも見つからない、解決策も浮かばない、正直俺も諦めている。
「ギリギリまで手伝ってくれてありがとうございます、私はこれで帰ります……」
「まって……まだ………?!!?!」
完全に踏ん切りがついたらしい二宮さんをなんとか止めようとした時に何かがものすごい速度で近づいてきていた。
俺たち星人には、人や動物などある程度の存在感がある生物の気配を離れていても探ることができる。
もちろん星人によって個人差があり範囲や正確さなど様々で人によっては昆虫ほどに小さな生物も察知出来ると言う。
そして今ものすごい速度でナニカの気配が近づいてきている。もし星人ではなかった場合、完全にビーストしかあり得ない。
そうと分かれば嫌でも気を引き締めなければならない、どんなに辛く落ち込んでいたとしても。
「二宮!ナニカが近づいてくる!俺の後ろに隠れてくれ!」
「え!?……あ、本当だ……嫌だまだ死にたく………ん??」
「泣き言はあとだ!もしビーストなら俺が時間を稼ぐその内に助けを」
気配を感じたときから嫌でもわかる力量差、そして速すぎる移動速度、何より恐ろしいのは真っ直ぐ俺たちのいる場所に向かってきていること、まるで居ることが分かっているみたいに。しかも、俺が普段感じ取れる気配の範囲はかなり広い方だがかなり内側まで来て初めて気付いた。
しかも、今でもまだ近づくナニカしかわからない、人なのか動物なのかビーストなのかも……
そしてそれは現れた………