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命の輝くこの星で  作者: 天敵サボり
入学式
13/17

悟と雛2



自分が強いと自覚したのは、物心ついてからすぐだった。星人として肉体的な力が強いのはもちろん、操れる力の強大さに自分でも少し恐ろしくなったがそれと同時に力に選ばれた人間だと思った。

 少し……いや、かなり傲慢な考えだが当時はまだ3歳程度、力に溺れるのも当然だ。何しろホントに強かったのだから。

 同い年の非星人はもちろん、星人相手だとしても自分のほうが圧倒的に強く、王様になった気分だった。

 そんな我が道を行く自分をへし折ったのが近所に住む雛だった。

周りに強い人は居た、でもそれは皆が大人であり年上であり負けて当然の相手だった。彼らには負けても仕方ない、経験が違う、成熟度が違う、体の大きさも違う、そんな大人に何を言われたって何とも思わない。だって同年代なら"俺が"最強だから。それがどうだ?

 初めて会った同い年の女の子、何なら数カ月の差が顕著に出る時に早生まれの俺を倒された。これはすごく驚かされた、と同時にただただかっこよく見えた、彼女が。

 それから自分は彼女の舎弟になった、幼い子供のごっこ遊びみたいに、彼女について回った。

 星人の近くには星人が集まる、それは自然な事だ特に力の制御がまだ出来ていない子供と遊べるのは同じ境遇の子だろう。そんな子達が集まった小さなコミュニティで自分達は頭一つ抜けて強かった。

 楽しかった、強さがあるおかげで彼女の隣にいられた、彼女を一番近くで見られた、彼女を好きである事が自分だけ許された気がした。

 そんな幼少期を過し、自分達はこの星でもっと活躍し、彼女と二人で時に助け合い、競い合い、強くなっていくのだと思っていた。

 井の中の蛙が小学校と言う、大海に放り込まれるまでは。




「どうしたの?さとし?考え事?」

「大丈夫だよ。昔話をして少し振り返りすぎたかな?でもあの頃が無ければここまでも来れてなかったな」

「???まぁ、いっか。これからの試験頑張りましょう!」

「あぁ!当然だ!いつまでもあいつらにでかい顔されるのは御免だからな」




 会場に向かう途中、少し考えすぎていた俺に雛が話しかけてくる、多少やり取りをし意識が現実へと帰ってくる。そのおかげで今の緊張感を取り戻した。

 過去を振り返りリラックスも出来たし、体調もバッチリ、後はやれる事を背一杯やるだけだ!

 そうして会場へとたどり着いた。




「じゃぁここまでだな……頑張れよ雛」

「なぁ〜〜に緊張してんのよ!」

「本当は雛を応援したかったし応援されたかった、だが今回は運がそれを許してくれなかったからな」

「そうなんだ?私はてっきり一緒に戦う〜〜ってやつ本気だと思ったのに」

「悪いなこんな情けなくて」

「何言ってるのよ、私は一緒に戦えてすごく嬉しいよ、だって子供の時から隣にいたのはさとしだし、それ以外はありえないって思ってるし」

「おぉぉ……すごくうれしい」

「それに私の隣を許したのもさとしだけだから、後ろから応援するのも、前を歩くさとしを応援するのも嫌だ!試験も一緒にやりたい!」

「………そうだったな!悪い!そうだよな二人でだよな」

「そうだよ、だから頑張れるね!」




 そうだ、俺達は出会ってからいつも二人で居た。俺は最初雛に負けて後ろを歩いてるつもりだったでも、違った雛は隣を歩かせていてくれていた、恋人になった時に初めて並べたと思ったがきっと昔から雛はそのつもりだったのだろう。自分が情けなくなる。

 でも、そんな弱気が吹っ飛ぶぐらいやる気が出て来た、今ならなんだって出来そうだ!




「じゃぁ私も会場行ってくるね!」

「おう!………雛ぁぁ!!!」

「!!?……急にどうした?」

「いつもありがとう!頑張ろう!」

「当たり前っしょ」




 こうして雛は自分の会場に向かっていった。

そして俺も準備を整え入り口へと向かう。試験官に受験番号確認してもらい、二重扉になっている会場の入り口その1つ目に入る。



「今井悟!準備はいいか?」

「はい!!いつでも大丈夫です!」

「よし!!君の健闘を祈る!………それとは別にさっきのは彼女か?」

「!!!!?」




 え!!今?ホントに言ってる??大丈夫なの?プライバシーとかは?結構緊張してたけど?やべーペース乱された気がする。




「って思ってるでしょ……悪いな気になったんだ」

「あ……いや全然大丈夫です……よ」

「はははっは……まぁあんまり緊張しすぎんなよ、気楽にやれば大丈夫だよ」




 会場にいる担当の試験官は場所によって違うけど随分フランクなおっさんだな……まぁおかげで少し気が楽になった。




「あんまり気負わずにな!それでは間もなく試験を開始する!!」

「ふぅーー………さっきのは僕の大事な彼女ですよ」

「だろうね!かっこいいとこ見せてくれよ………それでは!試験開始!!!」




 合図と同時に2つ目の門が開いた、それと同時に会場の中心を目指す。出来れば2、3体と遭遇しておきたいので気配察知も全開でいく。

 開始して十秒程度で気配を感じ取れた、左の前方に進んだ位置、会場の中心を目指すならまっすぐ進んだほうがいいがここは寄り道をしていく。




「大丈夫……俺ならやれる」




 恐怖はある、今まで守られてきた。ビーストとの戦いはそんなに経験していない、せいぜいがレベル4、星人なら全く苦戦しない敵だ。だが今思えばもっと戦っておくべきだったと思う。




「雛に先こされたら男として恥ずかしいな」




 そう言い自分を奮い立たせ、そして遭遇する。個体名スラウス。明らかにこの星の生き物ではない見た目とさっきまで散々見てきた生物。

 俺が初手に選んだのは石を生成し飛ばす、ただそれだけの基本中の基本のわざ。俺が操れるのは大地の力。普段から踏みしめる大地の力強いエネルギーに干渉し操り、顕現させる。

 丁寧に石の密度を上げていく、スラウスの特性上攻撃されなければ無害に等しい。故に一匹目の初手に限り、どれだけ時間をかけても大丈夫なのだ。

 ならばと丁寧に丁寧に練り上げ密度を増し、形を整えていく。時間をかけても良いと言ったがこれは試験。しかも時間制限付きだだからウダウダしていられない。10秒程度練り上げた石弾を次は速度が乗るように調整する。そしてトータル20秒を待たずして俺の初弾が放たれる。

 この条件で出来る最速の攻撃を最高の球で狙いどうりに出来た、そうすればもちろん、スラウスの上部はいとも容易く吹き飛ぶ。




「よし!いける!勝てる!」




 少なからずあった『スラウスに勝てなければどうしよう』と言う不安それが勝てると分かっていても脳裏に住み着く、その不安を払うにはどうしたらいいか?

 倒してしまえばいいのだそれも一撃で。

これで俺の不安は晴れた。この試験ちゃんとやれる。




「ここまで時間をかけてると、朝日くんがどれだけ化け物かよく分かるな」




 水は石よりも質量が出ない。確かに石は速度は出にくいが重さは力だ。軽ければ意味がない、石を投げられたら恐怖だが砂を投げられても動じない様に。水はより圧縮して速度を上げて放つしかないのにそれを5秒足らずで、しかも俺と同程度の威力がでていた。

 全く、昔の傲慢で独りよがりだった時代の俺に見せてやりたいよ。

 今では女の子の隣を歩き、世界の広さを身にしみて感じているのだから。

 そんな事を考えながら次の標的へと向かう、より中心に近づけるように。

 そして2体目も大して時間をかけることなく倒せた。これだけ出来れば上々、そして会場の中心へと向かっていく。




「あの時の衝撃を今でも思い出すよ」




 雛と二人で初めての大海に出た日。

初めて夏日と風兎と出会った日。自分達の世界の狭さを知った。星人がいっぱい居ることを知った。自分達は一番強かったがそれでも大人数には勝てない事を知った。まだまだ傲慢だったと知った。

 その日、自分達はいきなりトップに立とうとした。はじめは良かった、まだ派閥もカーストも存在しない、純粋な子供たち。個の力がすべての時にトップだと思われた2人が徒党を組み上にたった。

 その牙城(がじょう)を1週間とせずに崩された、数の暴力に。ここに来て自分達よりも大きな力がある事を知った。

 そしてその力を個で上回る奴と出会った。




「あいつらのおかげで今、俺と雛がここに居る。少しは追いついたと思って欲しいな」




 会場の中心についた俺はそんな独り言を言いながら、この試験に本腰をいれる。

 


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