違和感
挿絵挿入しました。一応AIでつくったのですが制服が定まらなくてすいません。
奇怪なことが起きた夜のあと宗一は普通に眠り次の日の朝になり母が帰ってきたのは7時半でそのあと学校に向かった。でもいつもより眠気が強い気がする。きっと疲れたんだろうと思う宗一。
学校のクラスには黒狐麗良ことこっこちゃんがすでにいて窓の涼しい風に当たっていた。
「おはようこっこちゃん」
振り向くこっこ。上品な顔で挨拶を返す。
「おはよう、ソウ君、ちゃんと寝れた?」
「寝たんだけどなんかまだ眠くて…くあぁ…」
大きなあくびをする宗一。
「本当に眠そうだね」
「他の人はまだ?」
「花壇に水を上げにいった人が一人でその人にみんな着いてっちゃった」
「こっこちゃんは行かなかったの?」
「うん、ソウ君が来るの見えたから待ってた」
「別に俺のことなんてまたんでもいいのに」
「だって名づけ親だし…」
すこし頬を膨らませてはぶてる。少し可愛いが口に出さず。
「いや名づけたのは黒い狐だったからであってだね?」
「じゃあ黒い狐になったらなでたりしてくれるの?」
「それはそれでなんか今となっては変な感じがするなぁ…」
「ソウ君の優柔不断…」
また窓の方を向くこっこ。宗一は溜息をついてこっこの後ろまでいき。頭を優しくなでる。
「こっこちゃん、ごめん、でもあんまりこういうのは中学生はやらないからさ…」
「ん!わかってるわ、ごめんなさい、神社でならいいんでしょ?」
「んん…黒い狐状態なら…」
「やっぱり意識しちゃうんだ」
「いや、普通にするからね!同級生の女子の頭をなでるってちょっと特殊だからね!?」
「動物愛護精神じゃなかったの?」
「ごめんなさい、ほんとにあれは野良の狐だと思って可愛いとおもってたのであって…」
「今の私は可愛くないの?」
「いや…可愛いけど…なんか話がぶれてない?」
こっこは笑って。
「ごめんね、ちょっと意地悪しちゃった!わかってるわ、一応人間社会のことは色々学んでるから」
「はぁ…まあいいや」
そして数秒後に何人かのクラスメイトが入って来た。
「おはよう黒狐さん」
「おはようございます」
さっきとの砕けた表情から一変おしとやかな表情で挨拶を返す。
「小暮おはよー」
「おはよー」
適当に返す宗一。席に座り何故か眠気が強くなってきてそのまま寝てしまう。
こっこは宗一をみてなにかが起きているのはわかるが明確なことはわからなかった。
担任が来たらスッと目が覚める宗一。起きたばっかりなのに頭がさえている。
「秋は冬に備えてやるべきことがいっぱいあるからな。勉強もそうだ。これからが大事な時だぞ!一日も休むことのないようにな!」
担任の挨拶が終わり科目が始まる。宗一はなぜか知らないが胸がわくわくしていた。
(なんでかな…いつもと変わらない授業なのに)
集中力がお昼までずっと続いていた。給食になり列に並ぶ。何故かお腹が異様にへって何か食わないとおかしくなりそうだった。
すぐに給食が始まり。宗一は目の前のオカズやごはんが異様に輝いて見えた。おいしそうに食べる宗一。クラスメイトはいつもらしくない宗一をみて尋ねる。
「小暮きょうどうした?ごはん食べるスピードはやくね?」
「え…?なんか汚く食べてた?」
「いや綺麗に食べてたけど、そんな早食いだったっけ?」
「なんか今日はお腹減ってな。朝ごはんはちゃんと食べたんやけど…おかわりしよっと」
給食のお替りは自由ではあるが宗一がお替りをするのは初めてだったのでみんなが不思議に思っていた。
担任は「食欲の秋だな!」と笑い宗一は「そうですね」と答えていた。
そして昼休みになるとまた眠たくなり机でうとうとし、そのまま眠る宗一。宗一の周りは和みムードになっていた。何故か女子生徒はわざわざ宗一の周りで雑談を初めまた男子は生徒は宗一をみて心が浄化される気分だった。
まるで一匹の野良猫が気持ちよさそうに寝てるように。
起きたのは掃除の鐘が鳴るすぐ前だった。すっと起きて背伸びをして。一言。
「掃除だぁー…」
気の抜けた声だがなぜかみんな心地よく聞こえていた。学校全体の掃除時間になり宗一のグループは教室当番だ、ほうきでまず掃いたあと雑巾で床を拭く。しかし何故か宗一は水に違和感があったが特に気にせずみんなと床を拭く。
掃除が終わり午後は体育の授業だった。この季節の体育と言えば体育祭に向けての全学年合同練習である。
宗一は白組でこっこも白組になった。
みんなで応援の掛け声の練習したりした。宗一の周りにはいつもより人が集まっていた。大きくあくびをして背伸びをするとすこしずつ脳に酸素が伝わり目が覚めていく。友達の一人が宗一に言う。
「お前ほんとに最近マイペースな」
「なんか自然にこうなってしまうんよな、季節かな?」
あくびや背伸びをする人が他にもいた。
「俺だけじゃないやん」
「そういわれれば俺もふわぁ…」
どうやらこれは宗一だけではないらしい。が、こっこの目には違う何か違和感を覚えていた。神使としてか狐としての本能か、それはまだつかめていないが神様からの贈り物の影響か彼の周りは和みムードだった。
その後の授業も終わり部活動の時間になるが宗一は帰宅部だった。一年の時に何か入ろうと思ったが部活で勉強に支障きたしたらあかんなぁというだけで入らなかった。実際彼の成績は上位であり先生たちも別に問題視していなかった。そういうことで帰ろうとしていた宗一は神社に寄るのを思い出す。こっこはもういなかった。ということは神社にいるのでは?と思った。
そして他の人には見えない階段を誰にも見られないように入る。
そして神社に着くと学生服のこっこがいた。
「今日は眠そうだったけど大丈夫?ソウ君?」
「なんでかな…いつもと生活リズムが違う気がして流されてるなぁとは思う」
「わたしもちょっと観察してたんだけどまだわからないの…」
「へ?なんかあったん?」
「自分でも気づかなかった?」
「眠っててわかんなかった!」
「まあいいんだけどね、なんか私の目には野生的な感覚がするの、ソウ君が」
「んー…全然わからん…」
「そう思って思い当たるものを買ってみたんだけど使ってみる?」
「な…なんかな?」
こっこは持っていたビニールから木の枝を取り出した。
「えぇ…それでなに?俺犬?」
「いいえ、これマタタビの枝ちょっといい?」
と近くに持ってくるが別になんともない。
「はずれかぁ…」
「え?こっこちゃん、俺、猫の要素あるん?」
こっこは説明する。
「今日ソウ君の周りはみんな何か安堵しているような人が多かったの」
「言われてみれば?起きたときなんか人多いなとおもったけど…それが?」
「猫っているだけで和まない?しかもそれが気を許すように寝てたら」
「まぁ可愛いとは思うけど…野良だったら近づいたら警戒すんやない?」
「警戒せず眠っていた場合、もしくは宇迦様の力で声の周波数的なものを猫のように錯覚させる力を与えられたら、とか」
まだピンと来ていないのでさらにこっこは推理してみる。
「猫助さんが恩を返したいから力を与えたって…異例ではあるけれど宇迦様がしたじゃない?だから猫の力みたなのが備わったのかなと思ったんだけど…マタタビがきかないんじゃ違うわね…」
「そんな猫の力って…ちょっと調べて良い?」
「構わないけど」
猫の能力について調べるが出てくるのは俊敏性とか夜目が光るとかいろいろ出てくるがいまのところそんな気配はない。
「まぁ神様は気づいても気づかなくてもいい的なこといってたし別にいいんやない?」
「まぁ本人がまだ困ってないなら別に良いんだけど…あとで困ったことになったら大変だと思って先に手を打とうと思ったんだけど…一日でそんなに神様の加護がでるわけないか…まぁいいわ」
そういってこっこは一瞬で黒い狐に変身した。
「本当にこっこなんすね…」
そういうとこっこは足元にすりより甘える。
「えぇ…と…なでるべきなんだろね…」
そしておそるおそる頭を手でなでる。気持ちよさげにこっこは目をつむる。
そしてコロンと寝る。
(ふ…ふぉぉぉぉお!これいいんか!?これいいんか?!なでてええんか?!)
恐れていたがやはりなでる宗一。黒くて縁起がよくしかも今は同級生で色々とまずいかもしれないが、これは動物愛護と思いなでる。やがて普通に野生の狐と思いなでているいるうちに。
「お前さん可愛いなぁ…やっぱり可愛いなぁ…」
本音駄々洩れである。しかしこっこは別になんの様子もなくただなでられているだけだった。そして数分たった後また学生に戻るこっこ。
「別に可愛がってくれるのはいいんだけど何か話してくれることはないの?」
「へ?」
「だって前は色々語ってくれたじゃない。ココだけの話みたいに…」
「さすがに同級生に独り言を愚痴るのはどうかと…」
「私は一応見習いだけど神の使いなんだからソ…俗世のこととかいろいろ知る必要なことがあるんだからぶっちゃけていいんだよ?」
「んー…ぶっちゃけるなら人型のがいいですわぁ…」
「そんなものなの?」
「いや一応世間話の相手なら…なんか理不尽でごめんね」
「いいわ、でなにか話すことある?」
「んー…そうだなぁ…こう見えて俺って小学生のころいじめにあったんだわ、軽い」
話し出す宗一。
「なんかね、幼稚園の頃武道ならってたんよ…それで小学生に上がるとさ…お前武道やってるからってなめんなよ的な別のクラスの男子たちにほんとに殴り方のコツも知らんような子供のパンチあててきたんよな」
「…」
静かに聞くこっこ。
「で…こいつら本気出したら半殺しにできるなぁとおもったけどね…その日に限っておかんが喧嘩はだめよって言ってな一切手を出さんかったのよ。それで後から担任にいじめられたって言いに行ったけど他の子と夢中で俺の話なんてきいてないわけ…そんで小学2年のころにちょっと喧嘩したときに先生が喧嘩の為に武道やるならやめなさいって…理不尽極まりないことがあってな。おかんには言わんかったけど泣き寝入りよなぁ…」
「…許せない…」
「まあこの話したのこっこちゃんが初めてやからな。ちょっと俺も今思い出して腹が立つけど時間もたってるしもうあの時のことは本人たちは覚えてないと思うしな、もうしょうがないんよ」
「大丈夫よちょっと言い方は悪いけどその子たちのちで因果応報に合うとおもうわ」
「因果応報?」
「そう、いいことをすればいいことが帰ってくるし悪いことをしたら悪いことが必ずおこるもの、それは後になればなるほど大きくなって帰ってくるものなの忘れたときになんとやらよ。神様たちは絶対に見逃さないわ、そういうこと」
「そういわれたらっていうか怖いなそれ…」
「貴方は勝ったのよ。ほらあるじゃない。非暴力非服従って、その精神をソウ君は持っていたのよ!誇るべきことよ!」
「まぁほんとに腹の立つのは先生なんだけどね。理不尽だったけど普通に先生なんよな。だから将来は子供だろう大人だろうとちゃんと話を聞いてくれて悪いことをした人たちはちゃっとしかって上げれる職業につきたいな、っていえばやっぱり教師?かな?」
「多分もっといろんな職があると思うわ。何かに上り詰めて指導者となるのもいいんじゃないかな?」
「上り詰めるかぁ…まあいい所の高校でも卒業できたらそんな道も開けるかもなぁ…」
「できるよ!ソウ君な「ちょっとまって…なんか聞こえる」へ?」
「なんか助けてってなんか聞き覚えのある声が聞こえる…」
こっこも耳をすます。そして微かに聞こえる。
「へ?この私でも微かに聞こえるのにソウ君聞こえるの?」
「この声と…なんか燃えてる音だよこっこちゃん!しかも学校の方!」
まだ煙は立っていないが何故か燃えていることまでわかる宗一。こっこはびっくりしているが宗一はそれどころじゃなかった。宗一が聞いた声はあの小学一年の時の手を出してきた同級生の声だった。鞄をベンチに置いてダッシュで学校へ走る。こっこも人型ではあるが走るのならば自身があるが宗一との距離は縮まらうず、どんどん宗一は加速していった。
(ちょっ!変化しているといってもソウ君の方が早すぎる!)
猫と狐ならば猫より狐の方が耳も脚もいいですが…はてさて