各々
日輪は宗一に服を着させた後忘れていた無天と宗一から出た草薙剣を庭に探しに行った。
そこで二つの刃を見比べる天空がいた。
「どうしたんですか?」
天空は笑顔で答える。
「いえ、大事な物なので一応僕が持ってました。はい日輪さん」
そう言い無天と草薙剣を返す天空。
「どうもです。天空さん、怒ってませんか?」
不意に言われて心を読めない日輪にもその顔はいつもの天空の顔とは違っていた。
「はっはっは、確かにちょっと怒ってますね。一歩間違えればと思うところとこれも予知していたと考えさせられれば私も神と数えられるものとしてはやはりね…」
どこか悔しそうに拳を握る天空。
「そうですか…今日はありがとうございます」
改めて天空に礼を言う日輪。天空も礼を返して帰ろうとする。
「あの、宗一の力が露見して協会にバレる前に使い方をお願いします」
「了解です。とりあえず宗一君が目を覚まして元気になってからのはなしです」
「それはわかってますよ、しっかり今は休ましてあげます」
では、と言い天空は一瞬で自宅に移動する。
日輪は霊刀無天と草薙剣を見比べる。
「…無天以上の力の剣か…」
後の事をを考えるとかなり危ない物を手に入れてしまったと思う日輪だった。
棗と春奈はシャワーを浴びて出た後一応持ってきていたパジャマを着て客間に戻り半次郎と交代して話していた。
「かなり情報が怪しい物になってきましたねお嬢様」
「え?何が?」
「宗一君の力についてです」
「そういわれればここからでも感じるわね…今日の夕方まで感じなかったのに」
「というかヤマタノオロチって一応水神ですよ?その精神を飲み込むほどって一般人には到底むりでしょ?」
「そうね…いくら宗一様でも抵抗できる力がなければ確実に乗っ取られていたわね…でもま!明日お母様から全部聞けるのだし今は詮索せずにもう寝ましょ?」
「そうですね、ていうかこの客間少し新しくなってません?」
「あの天空って神様の計らいでしょ?おやすみー」
「私は師匠を待って寝ます、おやすみなさいです」
半次郎も誰得シャワーで考えていた。
(美鶴殿はどうやら旅立ったようですな、あの美鶴殿が普通に60代で死ぬのは皆おかしいと協会は怪しんでいたが…宗一殿のこのヒシヒシと伝わる穏やかな空気…先ほどまでとは変わりすぎるな…協会から飛ばされた式神が全部きえたのじゃ…不審に思いまた飛ばすやもしれぬが…あの天空殿がなんとかしてくれるじゃろう…)
一人シャワーを浴びながら思いに耽る半次郎だった。
こっこと因幡はアパートに帰っていた。
「今日はごめんなさい因幡さん…」
タバコを吸いながら因幡はポフと手をこっこの頭にのせて。
「別にいいさ、それよりあの人の子すごいな」
「確かにちょっと前とは違いますね、因幡さんからみてどう思います?」
因幡は答える。
「ありゃあ神に近いバケモンかバケモンに近い神霊クラスだな」
こっこは母の言葉を因幡に伝える。
「因幡さん、千年に一度だけの大きな力をもった人が生まれるとしたらそれは…」
「間違いなくあの子だろうな」
こっこは因幡の言葉と母の言葉で確信する。
「ソウ君だったんだ…」
多少懸念していたが実際本当に宗一だと知ると衝撃だった。
因幡はこっこに言う。
「まっ、人ってのは簡単にぶれるもんじゃあねぇ。力を使えるようになったとしてもお前の恩人は人を見下すような人か?」
「そんなことないです!ソウ君は優しすぎるので!」
因幡は笑いながら。
「そりゃそうだ!じゃなきゃ神の一柱がわざわざ姿をみせるはずがねぇ、よほどの人の良さがなけりゃあ現れてねぇだろうからな!三つ子の魂100までっていうしな、よほど前世が優しい仏の様な人だったんだろうよ」
「因幡さんはどこまで知ってるんですか?」
んーと考える因幡。
「とりあえずあの神社でのことは知ってたが天空のことは知らんかった。あたしも話すべきか迷ってたんだ。わりぃな」
天空に糞土神と悪態をつくのも神使のなかでも指折りの因幡だからできることで因幡が力を貸してくれなければ今回は首をを落とすどころか何もできないでいただろうことに。
「本当に今回はありがとうございました!」
「まっ気にすんな。それよりシバくよりあいつに精神的に攻撃できることねぇかな?」
「それはわかりませんねぇ…」
因幡は天空をシバくよりきついことを考えていた。
ほんと数日休んでこんだけなのごめんなさい。




