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黒狐の少女と優しい少年  作者: 龍美邦彦
25/27

再現

家の形が壊滅していたが日輪達全員が関係なく天空が降ろしたした宗一に声をかける。

「宗一!」

「ソウ君!」

「宗一様!」

「宗一君!」

「宗一殿!」


みんなが呼ぶ、息はしているが。意識がなかった。


「寝てるだけですよ?」

天空の一言も聞かず宗一にひたすら声をかけ続ける。

「おい土神…なんで本気ださなかった…あたしはあんたをシバく権利があるはずだぁ…」

「一発だけですよ?」

「頭ふっとばしたる!…ってしたいけど疲れて今そこまでできなそうだから力戻ったら覚えてろよ?」

「怖いですねぇ…」



宗一は精神での闘いが激しく今すぐに起きれずにいた。

しかし呼び続ける全員に何か反応しなくてはならないと思い霊力で美鶴に想いを伝える。

「宗一!え?お義母様?」

『怒りっていややなあですって』

「それだけですか?」

『今は起きれないから静かにしてくれと…家…どうにかしませんとね』

「そうですか…よかった…宗一…よかった…ありがとうございますみなさん…」

涙を流し感謝する日輪。こっこと棗はお互いに見合って。

「あの…改めてですけどどなたです?」

「私は…えと…友達Aとおもっていただけたら…あなたも何者なんですか?」

「私は宗一様の…じゃなかった宗一の友達よ?」

「…」

「…」

無言でつい手を突き出し棗は紅くなり。

「宗一の友達ならわたしとも友達ですわ名前はなんていうの?私は有栖川棗です」

「そうだね!わたしの本当の名前はこっこ!ソウ君が名付け親だよ!」

「ソウ君…それは宗一が認めた言い方なの?」

「え?一応そうだよ?」

無言であるが何故か棗の握力が強くなる。こっこも力をこめてしまう。

「なんで力込めるのかなー…ははは…」

「お嬢様に友達ができるなんて…過去一番うれしいですー」

春奈は二人の間を理解したうえで友達認定する。

半次郎も。

「今日は疲れましたぞ。しかし家がこんなになるとは…面目ない日輪殿…我々疫病神ですな…」

「周りの被害が無いのが不思議ですわね?」

「そりゃあそうだ。あの土神があの人の子の周りを結界で包んでたんだからな」

因幡が疲れて答える。加勢に来てくれたので味方だと思う日輪達だが。

「あたしはこっこ達神使見習いのアパートの管理人だ。手を貸したのはこっこの頼みだったからで別にあんたたちの完璧な味方じゃないよ」

「でもありがとうございます!えっと」

「因幡だ」

「因幡さんどうもありがとうねそういえば…レイラちゃんじゃなかったのね?」

日輪はこっこのことを問う。

「はい…レイラは母の名前でしてソウ君に名前を付けてもらいました、私の名前はこっこっていいます!」

「神使の見習い…そうだったのね」

何かを納得する日輪。棗は神使を見るのは初めてなので驚いていた。

「私たちも霊や妖などは見たことあるけど神使に出会ったのは初めてよ?!」

「そりゃあ最終的には神に仕えるんだから人の眼程度に視れたらいかんだろ」

因幡が当然のように言う。

「それもそうですわね…って宗一様は神様に出会ってるのですか?」

直感の疑問で問う棗に因幡は今更かと言い。

「あんたらの目の前にも神様いんだろ?まあその人の子が出会ったのは違う神様だがな」

「宗一様は何か悪いことしたので罰でヤマタノオロチと融合させられたんですの?」

棗は勘違いをしているのでこっこが答える。

「それは違うよ?あのね?…」

猫助と自分のした事を説明するこっこ。

「宗一様…健気で儚い…素敵な心の持ち主…あぁ…でも宇迦之御魂神様の真意がわかりませんわ?」

それはみんなが思う疑問の一つだった。

天空がみんなに答える。

「天叢雲剣の再現でしょうね…酔狂な彼らの事です」

「それって天照大神に須佐之男命が謝罪の為に渡したと言われる今でも本物は皇室の方々もみることのできない三種の神器で確か草薙剣ですわよね?!」

日輪が天空に問いただす。

「天空さん…神の世界ではどうなっているのですか?宗一はどういう風にみられているのですか?」

心配する日輪に天空は笑顔で答える。

「私以上の力の持ち主の心はわかりませんし私は嫌われ者でしてあまり高位の方々とは話さないのでなんともですが、まあ今もこの場を肴に酒を飲んでいるので大丈夫でしょう」

「いくら神でもやっていいことと悪いことってありますよね?」

日輪は少し怒る。

「まぁだから悪い神もいるのですが、今回動いた神達は歴史に武勲を遺した神々なのですが確かにこれはある意味やり過ぎですね」


天空は崩壊している小暮家をみやる。

「はぁ…ごめんなさいお義父様、お義母様、また遺産使わせてもらいます…」

「これも彼らの計算の内だったんでしょうね…」

天空は神力を使い家を再構築し始める。

「神様と言うのは本当にどこまで計算しているのかわかりませんなぁ…」

半次郎は家の構築スピードが速すぎて目がもう点になっていた。

因幡が言うには。

「普通神ってのは人の前に現れることなんかねえから、この土神が異常なまでに人を好いているからここに現れてるんだ。他の神達と比べるなよ?」

「人を好いている…ですか…確かに人の世に入ってからは辛いことも楽しいこともありましたね、だから人を好きになれたんですけどね」

天空は遠い眼で語る。

そして宗一の近くへ行き腰の後ろ当たりを見ながら。

「ここら辺ですかね?…」

もろ手突きのように手を宗一の体、と言うより霊体の中から何かを取り出す。

「まったく…こんなものの再現の為に宗一君に目をつけるとは…どっちが信用できないか勝負ができそうですよ」

それは幻の剣、須佐之男命の天羽々斬よりも鋭く硬く、色んな名前で呼ばれる神器、草薙剣だった。若干形は違うが八岐大蛇の魂や霊体が作ったので本物である。

「これ…協会が知ったら…」

春奈が言葉に出そうすると。半次郎が続きを言う。

「欲しがるでしょうなあ…水神から取れた神器の剣ですからなぁ…」

「それより宗一様大丈夫なんですの?死にませんわよね?!」

「大丈夫ですよ。別にこれが核だったわけではないですから。それより協会の式神がそろそろ来そうですよ?私が追い返してもいいのですが日輪さん?」

「今は天空さんにお願いします」

わかりましたと言い式神やこのことを見に来ていた協会の霊達から天空は記憶を抜き追い返した。


「その…私たちはどうしましょうか…」

春奈が心配そうに棗や半次郎を見て日輪に問う。


「あなた方のお力添えもあり今回はなんとかなりました。あなた方には知る権利があります。それは宗一自身も。それはそうとみんな疲れたし一回解散しましょうか?こっこちゃんに因幡さん、来てくれてありがとう。こっこちゃんも聞きたいなら明日は念のために宗一は学校を休ませるので「私も休みます!」」

「不良になるなよ?こっこ?」

因幡はわかっているが一応言っておいた。

「棗さんたちは学校とかはどうします?」

「もちろん休みますわ」

「有栖川家の為にも早めに情報を得たいですな」

半次郎も春奈も頷いていた。

「ではみなさん一回シャワーでも風呂でも入ってから寝ましょう!さすがにこのまま寝たら…ねぇ?」

「そうですわね」

「確かに浴びたいですー」

棗と春奈も賛同する。

「天空殿の力で綺麗にできませぬか?」

半次郎が聞くが天空は。

「お湯で体を清めることも大事ですよ?半次郎さん?」

「そうですなぁ…」

日輪は寝ている宗一を抱っこして。

「重くなったわねー…」

「私が持ちましょう、ベッドでいいんですよね?」

天空が申し出て日輪はお願いしますと言い。家が戻ったので宗一の部屋に行き宗一を寝かせた後に服を脱がせて蒸しタオルを作りながら棗たちに風呂場を案内した後、宗一の体を拭いていく。因幡も通りがかったなんとやらでこっこと一緒に宗一の体を拭く。

「一応下は脚だけでいいな?奥さん?」

「ごめんね因幡さん脚すんだらもう大丈夫なので」


「ん。こっこ。そろそろ帰っぞ?」

「はい。因幡さん。今日はありがとうございます」

「礼ならなんかおいしい白餡のお菓子がくいてぇ」

「どら焼きで良いですか?」

「悪くねえ。竹丸のどら焼きでいい。」

「わかりました!明日帰りに買ってきます!」


因幡とこっこはアパートに戻に戻っていった。


日輪は美鶴の霊と会話していた。

「お義母様本当にいってしまうのですね?」

『猶予はこの子の封印が解けるまでとあの世の閻魔に約束してしまいましたからね』

「そうですか…」

『また違う時代で会いましょう、日輪さん、あと加久間のこともよろしくね』

「今までありがとうございました!…」

最後に美鶴は出会ったころのように抱きしめるように日輪を包み消えていく。

日輪は一筋涙を流して決心したように気合を入れなおす。

(私もできることしなきゃね)


草薙剣はだれが持っているでしょうか?

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