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黒狐の少女と優しい少年  作者: 龍美邦彦
22/27

本当のあの子

家に来る前に宗一探しの結界を解いて訪れた棗と半次郎と春奈。

「お世話になります」

「どうぞ、客間があるのでちょっと布団出しますね」

棗たちを客間に通し日輪は押し入れから布団を出す。

「宗一ー?店今日休むから」

「大丈夫?最近よく休んでるけど?」

「大丈夫!心配しない!」

「ならいいけど」

宗一は自分の部屋に行こうとして後ろから着いてくる気配を感じる。

「なんか用?」

「別に?あんたの部屋がどこか知りたかっただけよ」

「なんもないぞ?」

「いいじゃない、どうせ女の子入ったことないんでしょ?」

「一回だけどあるかな。この前だけど」

「あんたが連れ込んだの?」

「いや?男子と女子とグループで、おかんもいたけど」

「ふーん」

「そういやあんたっていうのやめない?みんな色々な呼び方してるけど大体小暮か宗一ってよんでるよ」

「じゃあ宗一って言っていいの?」

「いいよ?俺も棗ちゃんて呼んでいい?」

「ちゃん!?まぁいいけど…」

「あんがとな棗ちゃん」

「なんで礼いうの?」

「まずは相手と会話して敬意を自分から評する、そんで相手となかようなるんが一番かなとおもってる」

「敬意…か…」

「立ち話もなんやしあとで客間行くからまっとってくれん?」

「宗一の部屋見てみた…」

小声で言う棗だが宗一は無垢なのかええよと言う。




「ほんとになんもないわね」

「なんで物色してんの?」

「いいじゃない?減るもんでもないし」

「別にええけど」

「なんでベッドにタオル敷いてんの?」

「ああ、昨日なんか寝汗かいて嫌な思いしてな、乾かすためにな」

「大丈夫なの?」

「夜中におかん帰ってきて起こしてもらってからは普通だったけど汗が気持ち悪かったわーすぐに下着着替えた」

「そういえば小暮家の情報であんたなんか武道習ってるって聞いたけど何ならってるの?」

「ん?一応空手を小さい時からやってたけど合気も習ったな、棗ちゃんもなんかならってんの?」

「あたし?あたしは弓道習ってる一応初段」

「すごいやん!」

「あんた…宗一は何段なの?」

「俺?一応二段止まりかな、小さい時からやってたから地道やったよ、飛び級なんてなしだったな」

「宗一のほうがすごいじゃん!」

「でもブランクあるからなぁ…でも今度大会でるんよ今度」

「ブランクあるのにでるの?」

「いや実話な」


この前のことを話す宗一。


「それは榎本って子が怒るのは当然よ、あたしでも怒るわ」

「そんなに怒るかな?」

「じゃあ宗一が天空って人が内緒で他の事してたらどう思う?」

「あの人の場合は隠し事のほうが多いから別にどうとも思わんかな。むしろいろんなこと知ってると思う」

「じゃあ榎本って子が急に空手やめて例えば…芸術系にはいったら?」

「もったいないとはおもうかな?」

「その子も宗一のことを勿体ないと思って怒ってくれたんじゃない?それに今は大会出るためにまた復帰してるんだから喜んでるとおもうわよ?」

「そうなんかな?」

「本人に聞いてみたら?」

「だから今絶交状態なんよ」

「そうだったわね、宗一ってどういう子が好きなの?」

「へ?いきなりなんでそんなことを?」

「いいじゃない!宗一だって年頃なんだから好きな子くらいいるでしょ?」

「告白はされたけどまだ答えてないかな、その子とてもええ子なんやけど」

「詳しく聞かせなさいよ!そっちの子のほうが気になるわ!」

「ん?まあええよ?」


雛子との間を話す。


「ずっと友達って思ってたからいきなり言われてびっくりして答えれんかった」

「宗一…鈍すぎ…」

「えぇ…」

「大体宗一はあたしを見ても可愛いっておもえないんでしょ?」

「いや?今はちゃんと話もしたし弓道もがんばってるし可愛いと思うよ?」

「かかか可愛い!って…でも敬意がどうのって…」

「お互いが敬意を評して語り合ったんだし今は友達として可愛いともうよ?」

「…!」

(こういう奴って無自覚でモテるのよね…)

「ん?どしたん?」

「なんでもないわ…で、その子と私だったらどっちが可愛い?」

「それは黙秘します」

「なんでよ?!」

「なんかないもの探しみたいだから嫌」

「きっぱり言うのね?でも男としては決断力がかけるわよ?」

「そういわれてもなぁ…人って色んな人いていい所も悪い所もあるからきりないんよ」

「ふーん宗一って良く人を見るのね」

「そんなこと言われたことはないなぁ…」

「ねぇ…本当にあたしを」

ピロンとな棗のスマホにメッセージが来る。

「なによ?」

半次郎「部屋の外に日輪殿がおりまする」

「…」

「どした?」

「いえ、なんでもないもう部屋に戻るわまたね」

「またなー二人にも会いに行ったほうが良い?」

「いいえ二人には私から色々伝えとく、じゃあ」

日輪は棗から隠れるように去っていく。棗も客間に戻る。

(どうせあのおばあさんの霊が日輪さんのとこに行くのかしら…)

一人思うが鶴美の霊が棗に近付いていく。

(え?え?なに?)

『節度ある付き合いをしてくださいね、二人ともまだ中学生なのですから』

それだけ言って去っていく。


(怖いだけじゃなくてわたしのこともおもってくれてたんだ…)

まだその霊が鶴美とは知らない棗だった。



7時になり日輪は食事に全員をよぶ。

「鍋にしてみたわ、お客に料理出すの久しぶりだから口に会えばいいんだけど?」

「おいしいよー」

宗一はいつも通りに褒める。

「こりゃうまいですじゃ!」

「おいしいですよー」

「おいしいです日輪さん」

「よかったぁー、いっぱい食べてねー、宗一はたんぱく質のつみれやお肉とりなさい!棗ちゃんもよ!」

「そうですぞ?立派に成長するにはちゃんとした食事と睡眠ですぞ?ほっほっほ奥さん締めはなんにしますかな?」

「何にしたいですか?湊さん?」

「私はうどんがいいですー」

春奈がうどん宣言する。

「俺もうどんがええな」

宗一もうどんが良いらしく棗もその後。

「じゃあうどんで…」

「うどんに決定ね」

シメはうどんに決まった。




食事を終えて自分の部屋でネットを見ていると日輪がノックする。

「宗一?」

「なん?おかん」

入ってくる日輪。

「今まであんまりお義母様のこととか協会とかいわなくてごめんね?本当はまだ色々あるの…」

「別にええよ今じゃなくても、おかんの言いたいときでええんよ」

「あんた本当にいい子に育ったわねぇ」

「別にー」

「なんかあったら早めにいいなさいよ?」

「わかった」

じゃあね、と言い去っていく日輪。

その後今日は疲れたので9時には寝る宗一だった。





客間では。

「あぁ…宗一様…かっこいい…」

棗はうっとりした表情で宗一を語る。

「そうして素直に言えばもっと好かれるのに…お嬢様…」

春奈が言い半次郎も悩む。

「本音が我々見たく言えたらのぅ…」

春奈は。

「でもいきなりこれで来られたら宗一殿も引きますよ?」

「そうじゃのぅ…」

「そこ!宗一様はそんな人ではありませんわ!でも引かれたら…あぁ…」

何故か情緒が先ほどよりおかしいがこれが本当の棗なのである。

「宗一様…小学生にして空手の王者…それに組手の時の凛々しい顔…でも告白されたと言われてわたしは胸が張り裂けそです…」

何故か大会の時の写真を見ている棗。

「春奈…女性とはこういうものなのか?」

「一歩間違えればみんなこんなものです」

「それ本当か?!ようわからん…」

悩む半次郎だったが一応10時には全員寝る様にいって一応半次郎は鶴美の霊に挨拶して宗一のことを見張る。

「申し訳ない鶴美殿…お嬢様の占いは本当に当たるので何かあれば儂がなんとかしますじゃ」

『ありがとう』

鶴美は半次郎に語る。

(死しても強いですなぁ…美鶴殿の力は)

『どういたしまて』

「しかし力が強ければ自分にかける術まで通じず駄々洩れというのはなんともですなぁ…」

半次郎の言葉に鶴美は去っていく。

「かたじけない…それにしても静か過ぎますな…嵐の前の静けさのごとく妖も近づけないでいる…」

独り言を言う半次郎、そしてその夜宗一にとうとうその時が来る。


そろそろですかね。

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