怪しい人には嘘を吐く宗一
不審者には嘘でもいいから逃げるように。
宗一はケンちゃんとも別れ一人学校から帰っていた。
(DVDみれるならいっか、それにしても先輩異常に汗出てたけどそんなに俺って危ない空気でとるんかな?)
先ほどの組手のあとの船橋の汗は異常に思える宗一。自分はただ冷静に組手をしていただけだが相手は破れかぶれの手ばかりでなにかにおびえているようだった。
歩いていると西日が眩しく前から来る人の顔が見えにくい。通行人とすれ違いながら帰宅しようと帰る中一人の女の子が叫んでいた。
「ちょっと!この市初めてなのに!まったく迷子になってんじゃないわよ!しょうがないわねぇ…」
スマホで大声で怒鳴る一人の女の子がいた。
無視してすれ違おうとしたら。
「え?この近くにいるって?でも通行人が数人いる程度よ?」
スマホとの会話でだれかを探しているのだろうと思いもう5m過ぎ去ったあと。
「え!?通り過ぎて行った?学生服?え?嘘!?」
通行人で学生服は宗一一人だった。
(…俺…じゃないよな…)
後ろを振り返るとギリギリ陰で先ほどの女の子の姿が見えた。女の子は髪が金髪でこちらを見ている。何故か少し速足で追いかけてくる。
「そこのあなた!あ!?逃げるな!?」
何故かわからないがあまり近づきたくない感じだったのですぐに前を向きランニング程度に走って去る。
「ちょっと待ちなさい!」
「…」
無言で去る宗一。女の子がわからない道を通って家に着きすぐに鍵を閉める。
「だれが待つかっつうの!外人とか相手したくないし」
宗一が家に帰ってきておかんが出迎える。
「宗一どしたの?なにかあったの?」
「いや…なんか外人に絡まれそうだったから逃げた」
「外人?」
「うん…日本語ペラペラの女の子だったけどなんか近づきたくない感じだったから」
「あんたらしくないわね?ん…」
日輪は違うところを見て宗一を見つめる。
「まあいいわ。それより何か感じない?」
「何を?別になんも?」
「宗一には感じないかぁ…じゃあだれがこれを…外人…」
日輪は鶴美の霊と念じて会話していた。
鶴美の霊は告げていた。協会の人間が近くまで来ていると。そして結界を張って宗一を捕縛しようとしている。
「宗一、今から天空先生の行ける?」
「ん?今日は休みなんよ?」
「まあいいから天空先生のとこに行きなさい今味方はあの人だけだから」
「?…まぁ味方っちゃあ味方だけど…最近なんかおかしいよ?どしたん?」
「ごめんね、天空先生のところから帰ってきたら話すから今は早く行きなさい!」
「わたったけども…ちゃんと話してな!?」
鞄を置いて玄関から走って天空先生のとこに行く宗一。
日輪は美鶴の霊や他の土御門家の霊と小暮家の霊などと会話をしており情報を聞く。
そしてインターフォンが鳴る。
日輪は一応玄関のカメラで確認し通信機で会話する。
「どなたですか?」
金髪の女の子だった。
「こんばんわ小暮日輪さん。私…」
天空の家に走る宗一。特に何も感じないが天空ならば何か教えてくれる気がするのでとにかく急ぐ。
「なにがどうなってん…」
天空の家に近付いた時目の前と後ろ、正方形のように札が投擲されを2人の人影が囲み何かわからないが見えない壁のようなもので移動できなくなる。
「は?なにどうなってんの?」
「いやーごめんね?君小暮宗一君だよね?」
一人は女性の声で話しかける。
「違います」
「え?!そうなの!?」
「はい。違います」
「えぇ…でも式神で追尾してたの君なんだけど…本当に小暮宗一君じゃないの?」
「俺の名前は杉原健吾です」
嘘を吐いて誤魔化す宗一、ケンちゃんに心で誤り乗り過ごそうとしてた。
「あぁー…確か小暮宗一君のお友達でしたっけ?ごめんね?今結界解く…」
一応女性は写真を見て結界を解く前に本人の確認をしようとする。宗一の顔に汗がでる。
「…って君じゃないか!何空気はくように嘘ついてんのよ!君が小暮宗一くんじゃないの!?」
「ふっふっふそれはどうか?…」
「え?!本当に違うの?」
まだ悩む女性にさらに嘘くさそうに言う。
「さあ?自分で確認すればいいんじゃないの?」
「なんなのこの子?」
もう一人の人影が女性に話しかける。
「騙されるな!このアホ弟子!だからお嬢様にまでアホ扱いされるんじゃ!お嬢様も大概じゃがお前もどっこいどっこいじゃ!」
どうやらもう一人は老人の声だった。
「すまんなあ宗一君。こんな目に合わせてしまって。じゃが逃げるのがわるいんじゃよ?」
「…んーあんたたちに敵意はあるん?」
「いや?そんなものはないよ?むしろ見つけれてホッとしたところじゃ。ちなみにわしの名前は湊半次郎と申す。このアホ弟子は…まあアホ弟子Aとでも思うてくれ」
「酷いです師匠!私の名前は滝嶋春奈です!」
「はぁ…もう逃げんからこの見えん壁みたいなのとってくれる?」
「あいわかった!」
札を取って結界を解く老人。
宗一は仕方なく敵意はなさそうなので話を聞こうとする。
「いやーすまんすまん!日輪殿が宗一殿を逃がしていると感じて捕まえてしもうた」
「おかんが?あんたらナニモンなん?」
「わしらは協会の者って言ったらわかるじゃろうか?」
「いや知らんです」
「…そうか…日輪殿はそのことも話してないのか…まあ好都合、我々と一緒に来てほしい」
「名前聞いても知らん人には着いてくなって小学生でもしっとるで?おじいさん」
「はっはっは!確かに!」
「私の家の前で何をしてるんですか?」
「天空先生!」
「む…?この辺には人払いをしておいたはずじゃが…何者…?」
「師匠…なんですか?この人?」
二人もいきなり現れた人物に注意する。その瞬間を見逃さず天空の近くに走る宗一。何とか天空と合流できた。
「一応この人俺の先生だから保護者のようなもんです」
「保護者?…」
半次郎は訝しみ札を投擲する。すると火の玉となって天空に当たりそうになるが。
天空がなにもせずとも火の玉は一瞬で消える。
「あんたら敵意無いってたんやないん?ていうか何今の?」
「何者じゃ貴様…」
「あなたたちこそ何者ですか?手を出しておきながら名前も告げずに攻めるとは…この世から消えたいのですか?」
天空の気迫はすさまじく近くにいる宗一もビビるほどだ。
「身構えるなら敵対行為とみなしこちらも動きますが…どうします?」
「宗一ー!」
日輪が後から駆けつけてきたのだ。その後に先ほどの金髪の女の子が着いてくる。
「お嬢様!近づいてはなりませぬ!うぐぅ!」
「半次郎!」
天空は半次郎を宗一も見たことのないスピードで制圧していた。
「師匠!」
「卑怯者め!半次郎を離しなさい!」
春奈と金髪の女の子が叫ぶ。
「日輪さんどうしますか?」
「そうですね…話だけでも聞きましょう」
「しょうがない…」
天空は半次郎を拘束から解く。
「いててて…」
何がどうなってるのかわからない宗一は日輪が来たので一応安心する。
「しかたありません。小暮家より私の家の方が近いのでうちで話し合いをしましょう」




