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黒狐の少女と優しい少年  作者: 龍美邦彦
17/27

小暮家と日輪

次の日。夜中の3時時くらいには家に戻った時家の中が変な空気で充満しているのに気づく。急いで原因であろう息子の部屋にたどり着く。そこには何かにうなされるように眠っている宗一がいた。

「大丈夫?!宗一!」

はっと目をすぐに開け起きる宗一。

「おかん…うわ…なんなんこの寝汗…気持ち悪いしなんか嫌な気分だし…」

日輪は少しずつ空気が薄れていくのを感じ聞く。

「宗一?お守りちゃんと持ってる?」

何故そんなことを聞くのかわからないがとりあえず机の上に置いたと言う。日輪は。

「あのお守りはあんたのために作られたお守りだから今度から肌身離さずもってなさい」

宗一は聞く。

「おかん…どうしたん?」

日輪はいつも以上に真剣な顔をしているので宗一は何かわからないが心配をかけていることに気づく。

「わかったよ。おかんなんかしらんけどもってればいいんやろ?」

「うん、ごめんね宗一、中学3年になったら家の事色々教えるからね」

「なんでいきなりあらたまるん?別に家の事はしってるけど?」

宗一の知っているは小暮家が一般の家庭よりちょっと政治家の祖父や厳格な祖母ぐらいである。それを日輪は知っているので。

「ううん。宗一とお義母様の家系のこととあんたのお父さんのことも」

「まあええけど…とりあえず下着着替えるわ。気持ち悪いしベッドもタオル敷かなきゃヤバいな…」

マイペースな宗一に少し安堵する日輪。

(持って数か月なのは本当の事のようね…天空さんに教えてもらって良かったわ)

宗一は着替えてベッドにバスタオルを敷きまた寝ようとする。

日輪は電話をする。



「もしもし?あなた?」

軽快な声で帰ってくる声。

「もしもし?日輪?どうしたん?」

それは宗一の父、小暮加久間だった。

「あのこの封印が解けそうなの。なにかそっちは見つけれた?」

「はぁ!?封印が?!おかんの封術やで?!あと4年は持つはずじゃ…」

「私の前に十二天将の柱が現れて教えてくれたわ」

「ちょっとまて!どうなってん?」

日輪は天空の事を教えた。


「ふむ…今インドやからまだ少しかかるけどすぐに帰るわ」

「お願い早めに帰ってきて!こっちは天空さんと連携して様子を見るから」

「わかった!ちょっとこっちのほうにもいい土産があるからな!落ち着くんで?大丈夫!俺の子や、俺から色々説明するから任せろ」


日輪と加久間は一周間に一回は電話することを約束していた。


(12月までにはあの人は帰ってこれるはず…大会に…もし優勝したら全国?いやいやそれより今は私にできることをしないと…)

日輪は小暮家の地下倉庫に潜りお守り以上の品か何か自分の呪術で作れる媒体になるアイテムを作ろうとし始めたのだった。



朝6時になり宗一は夜中の事は特に考えず起き。おかんが台所で何故か眠っていた。起こそうかと思ったが軽い毛布を肩にかけてあげた。

「ん…もう朝か…おはよ宗一」

「おこしてしもうたか、すまんねでももう寒いしとおもってな」

「大丈夫よ、ちょっと色々していつのまにか寝ちゃってた、あ、あたしにもパン焼いて」

宗一は2枚のパンを出して焼く。その間に制服に着替えチンとなると日輪がパンをとりだしていた。

「今日も天空先生の所に行くの?」

「いや、一日置きで行くことになってる、まだまだ感覚に体が追い付いてなくてな、はーまだまだや」

「そっか。どうせだから今からでもいいから部活入ったら?」

「んー…流石に俺としては微妙な期間になるからやめとく」

「まあ無理しないでね?」

「あぁ、わかっとる」



朝食を済ませ学校に行く宗一を見送って日輪はまた作業に戻る。お義母様に認めてもらった霊感などを駆使しもう一つのお守りを作る。それには家に少し置いておいた鶴美の遺骨を粉にしそこに呪力を加えお守りにしたものだった。

「なんとかできたけど…お義母様にまた頼ってごめんなさい…今はまだ協会にかんづかれちゃだめなの」

美鶴の霊は日輪に近付いて。

『あの子をお願い、私も見守るから』

頭に聞こえてきて。日輪は。

「任せてくださいお義母様。わたしもできるだけ頑張ります!」

と答えたのだった。



日輪の霊感は普通の人より大分強かった。そのせいで気味悪がられ。高校の時は不良になり誰も近づけなかった。周りも近づいたら悪いことが起こると噂立っているらしく近づかなかった。

そんな中で一人だけ日輪に時々絡む一人の男子がいた。加久間だ。

「日輪さぁー、もっとおしとやかになりぃよー」

「うっさいわねあんたはいつも…声かけんな!」

加久間は今の宗一よりのんびりな性格なのだが日輪には見えて自分には見えない者に憧れていた。と言うより羨ましかった。だから時々絡む。

「俺にも霊とか見えたらなあー…ふぐぉ!」

頭に痛みを感じる。拳骨で殴る日輪はその手の話が大嫌いだった。

「あたしの前そんなはなしすんな、あんたの周りに悪いこと起きてもしらないかんね」

「俺はだいじょうぶよー安心してぇな」

(こいつは何を根拠に…まあいいわ)

「そういやうちにこない?家にはおかんがいるから」

「あんたねぇ…付き合ってもない女子家に上げるとか頭沸いてんじゃないの?しかも母親付きとか逆に安心だけどあんたのお母さんなんかこわいのよ!」

「前から言うけど日輪とは気が合いそうなきがするよー」

「男の勘は当てになんないのよ!」

いつも加久間はこんな感じで話してくるが日輪は加久間の母、小暮美鶴のことが怖かった。何故かすべてを見通しているような眼が、あの覇気ある眼でみられるとどうしても怖かった。加久間のことは別に怖くない、しかし鶴美はまた別の話である。

「とにかくあんたはあたしに近付きすぎ!もう寄るな!」

「俺の場合お前がうらやましいんよ」

こいつは見えないからいいけど見える世界に嫌な思い出しかない日輪は加久間を睨み顔を背け無視をした。

「つれんなー」

(つられてたまるか!馬鹿!)

加久間が嫌いではないが自分に近付いて気味悪がられのが嫌なのでほっとくことにする。

そんな高校時代にある転換期が来る。

ある日の事嫌に気味の悪い変なものが見えてきて本当に気持ち悪くなり授業中倒れる日輪。担任が動こうとしたとき加久間が動き保健室へ連れて行く。

保健室に連れて行きベッドに乗せる。何故か加久間の近くにいると何かに守られていた気がした。

「ん…あり…がと」

「いやいやお前いつも以上に顔ヤバいけど大丈夫か?」

「なんか今日は気持ちにあてられるみたいに気分が悪くて…あんたが近くに来てからよくなったけど…」

「せやろなー」

「なんで?」

疑問を問いかけてみると加久間はお守りを見せる。

「これうちのおかんが作ったお守りなんよ」

「それだけ?」

「それだけって…それだけでお前たすかったんちゃうん?」

「うぐ…それはそうだけど…」

「お前一回うちに一回来いおかんに見てもらえ」

「あんたの?なんでよ?」

加久間は母親のことを話し出す。そして何故羨ましかったのか理解してきた。

「じゃあ…一回だけ…」

「安心しぃ。おかん眼は結構きついし厳しいとこあるけど優しいから」




小暮家へきた日輪は改めて小暮家の大きさに驚く。

「おかんー日輪連れてきたよー」

奥の方から加久間の母美鶴が出てくる。一応会うのは久しぶりなので緊張する日輪。

「お久しぶりです…こんにちわ」

「こんにちわ鏡日輪さん緊張しなくても大丈夫よ、今日は結構当てられてるみたいね」

美鶴は何も聞いてないのに日輪を見て何かがあるのに気づく。加久間から聞いていたが本物なのかなとまだ疑心暗鬼だった。顔色を見て適当言っただけかもしれない、とまだ思っていた。美鶴は部屋のある場所に日輪を連れて行く、加久間も付いて行く。


「どうやら第三の眼が開きかけてきてるみたいやね」

「第三?」

意味の分からない日輪に加久間が説明する。

「要は第六感のさらに奥の方が開きかけてるってことかな。おかんは俺に開かせてくれんのよな」

「あんたは知らんでいいの。今までようがんばったね。日輪さんあなたは私が目を閉じさせてあげる」

「え?それって?もう霊とかみなくて済むってこと?」

「えぇ。私ならできます。あなたの事を聞いてからこの日が来るのを待ってました。儀式の用意はできています。一応言っておきますと第三の眼はあっちから無理やり開かせようとされてます」

「あっちって?」

「妖の類です」

「嘘…」

絶句する。自分には妖怪が着いていると言っているのだから。

「まずは加久間、日輪さんに胸を出してもらうから出て行きなさい」

「はいな」

加久間は部屋から出ていく。よく見るとこの部屋は床に陣が敷かれていた。

「え?む!胸?」

「人の胸、厳密に言うと心臓と言うのは以外と心の場所に近いのです。第三の眼は心から脳が反応して眼が霊が見え次第にあちらの世界、妖の世界から妖が無理矢理こじ開けようとしてきます。あなたに着いている妖は弱いもののあなたにずっとついていたため少し力をつけあなたをあちらの世界を見させ最終的には地獄に堕とそうとします」

「どうすれば…いいんですか?」

「力をぬいてくださいな。まず私の眼をずっと見続けてください」

小暮美鶴の眼を見続けるというのは結構至難だがそれで済むならとじっと見続ける。

「そこの醜い妖出てきなさい」

美鶴の覇気のこもった眼を見つめる日輪は倒れそうになりながらも堪え見続ける。

「意識を保ってください!日輪さん!」

美鶴に手を握られる。何か暖かい力が流れてくるのを感じる日輪。気持ちが安らぎ美鶴を見続ける。

「もうちょっと辛抱してくださいね日輪さん。一回だけ眼が開きますが後で閉ざしますので」

「え!?」

言われるないなや目の前に人の2倍の大きさの熊のような気味の悪い者が現れた。

「これがあなたの霊気をすって成長してしまった妖です」

「おえ…」

吐き気が込み上げて吐いてしまう日輪。

「さて…ここは結界内…妖は動けませんし大丈夫ですが瘴気にふれてしまったようですね」

「これが…妖?」

人の声のようでそうではない変な声を聞いてまた気持ち悪くなる。

扉越しに加久間が。

「大丈夫か?日輪?おかん?」

「大丈夫ですよ加久間。ではこの妖怪には消えていただきます」

なにやら祝詞を唱える美鶴に言葉の意味がわからない日輪。美鶴は薙刀をいつの間にか持っており妖に一閃縦に斬りつけると一瞬で爆発するように消えていく。

「妖には消えてもらいました、あとはあなたの眼を閉ざすだけです」

「もう殺したんですか?今の?」

「殺した…ですか…殺したのは確かですが。四悪趣からにげて人に着いてきた存在です。殺したというより消えてもらいました。あの手はまた地獄に戻り輪廻の世界を延々と周ります。人になるには重い業を背負わされるでしょう」

「しあくしゅ?」

「地獄、餓鬼、畜生、修羅の4つの世界のことです。あまり深入りはしない方がいいですよ?」

「はぁ…」

まだ意味の分からない日輪は言われた通り深入りしない方が無難と感じた。

「それでは胸をだしてください」

「おーい終わったー?」

「まだだから入らないで加久間、あなたが年頃とは言えやすやすと女子の裸を見て良いものではありません」

「へーい」

美鶴は支持をして日輪に服を脱いでもらい胸に墨で文字を書く。

縛と言う文字だった。また祝詞を唱え次第に美鶴の両手に光が集まり胸の字も光り出す。そして両手を突きだし日輪の胸に手を押しあて最後に。

「封心縛鎖!」

と唱えると目の前がまばゆい光に包まれ次第に収まり胸の縛という文字が消えていた。

「え?今の字どこいったんですか?」

そして改めて美鶴をみる。初めてよくみた美鶴の姿は黒い長い髪にとてもきめの細かい肌に鼻の高い美しい和服美人ということに気づく。その顔は穏やかな顔で眼からもやさしさがあふれていた。それは心の清い人の放つオーラだった。そして日輪を優しく両腕で包み込む。

「今までようがんばりしたね。もうこれからは普通の人として歩んでいけますよ」

日輪は一瞬で悟った。それは心から感じるものだった。もう見えないやっと普通の人生が送れる。涙が止まらなかった。今までこんなに優しい暖かさを持った人に出会ったことがなく本当に自分を想ってくれる、いや話を聞いてからずっと考えていてくれたのであろうと思うと目から涙がとまらない。

「もう…いいんだ…あたし…普通になれたんだ…うぅ…」

「泣いてもいいんです。泣きたいときに泣かねば心をだましてしまうことになってしまうんですよ?心は他人をだませたとしても自分だけは騙してはいけません、よしよし」

「おわったー?」

「あなたは少し女性の心を理解しなさい!もう…ごめんなさいね日輪さん、服を着てもいいわよ」

「あ…はい…」

制服を着て美鶴はその日感謝を言葉では伝えきれず親と一緒に数日後訪ねて親からも感謝されていた。

「あなた方は自分のお子なのに何故今まで悠長にことを構えていたのですか?偽物が多いこの時代ですからしょうがないとはいえ…」

逆に怒られてますます日輪は美鶴のことが好きになる。親も好きだが日輪は美鶴が本当に親と同じくらい好きになり小暮家へ訪れることが多くなって行った。そして数年後に加久間と付き合うが一回振ってしまう。しかし美鶴からの願いで加久間とよりを戻し結婚する。その後色々教えて貰った、土御門家や陰陽の世界の事、占いなど式神や神様たちなど。自分の眼を霊を軽く見る程度なら戻せる術も。日輪も霊気を結構持っておりいろんな術を教えて貰う。子を授かるのはまだやめたほうが言いと美鶴に言われ。時期が来たらと言われ、何かの星の手違いか美鶴の良きせぬ力をもった。逸材が生まれてしまう。その子には宗一と名を付けた小暮家に入った日輪達だった。

初めから力を持って生まれた宗一の力はすさまじく。美鶴と日輪は協会に知られてしまう前に封術を試すが上手くいかず最後は美鶴の寿命を6割も削った大秘術で封じ込めることに成功したが。宗一が2歳になったころに美鶴は亡くなった。小暮美鶴享年53歳で葬式には聞いていた協会の人たちが来て宗一を見て落胆させていた。日輪は協会の人たちの物を測るような眼をみて追い返す。康治郎も協力してくれたが康治郎はその後病気が見つかりあとを追うように亡くなった。

政界では天才政治家を悔やんで葬式には多くの人が集まった。二人の死は加久間にとって大きかった。男涙を流す加久間だが宗一を普通の子として成長させるためにと全国を回り封術の強化の道具を探すが日本でいろんな道具を試した、曰くのある勾玉を使ったり時には神社仏閣を回った。全国にとどまらず加久間は世界の秘宝を探しに出ると言い日輪は加久間の事を理解しており送り出したのだ。

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