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黒狐の少女と優しい少年  作者: 龍美邦彦
12/27

隠し事

ちょっと少ないですが神様たちの会話は自分でも恐ろしいと思うので少しだけです。

天空貴一郎は日曜の朝は神有月の地に移動しようとしていた。

(ふぅ…また同じようなことを言われるんでしょうねぇ…まぁこれも仕事ですしね)

人の身に化け本当の自分を隠し生きる自分とは別の存在達のことを思っていた。

少し人気のない場所で一瞬で神有月の地へと転移した。

早速神使たちが集まって話をしていた。一応天空は自分も霊体になり隠れて聞くことにする。

聞こえてきたことはマスカケを両手に持つ人の子、その子をある二柱の神が加護していたのを知っている天空はすぐに自分の教え子だということに気づく。そして彼が持っている本当の力を知ってから知らずかただの人の子と判断し融合させた魂が彼を内側から食うなどとたわごとを言う間抜けな神使たち。

(知らぬとは滑稽な…)

仕方なく会話に介入しようとする。


「やぁこんにちは皆様方、話を聞くにその人の子はわたしも知っています。」

やはり訝しむ神使達。

「あなたは…なぜここに?」

(まったく何百回目ですか…この間抜けな子たちは)

「一応式神でも神と付いてますしってこの話は何百回目ですかね?まあいいです。その人の子の小さいころの話、聞きたくはないですか?」

「人の子の話を聞いてもこれから幾年と続くわれらの世界ではちっぽけではないですか?」

(本当に滑稽ですね…彼はこの国…いや世界も変えかねない力の持ち主なのに)

一応前から知っていたことを言う。

「あの子はこの国の天下人になるやもしれない存在ですよ?まだ小さきころはその力は発揮されてませんでしたが。そうでしたか宇迦之御魂神様の父君とタケミカヅチ様でしたか。通りで…」

レイラが問う。

「どういうことなのですか?天空殿?」

ようやく興味を持ち始めた神の使い達。

「その人の子があと1年もすればわかるでしょう…持ってあと1年ですから」

何かわからない者たちがなんのことか問う。

「なにが1年なのですかな?天空殿?」

「その際あなた方もただで済むかどうか…」

もったいぶってしまう天空。しかしこの食いつきはここ数百年に見ない顔をしていた神使たち。

「あと一年で我々や柱様たちにまで危害が有ると申されるのですか?」

「まぁまぁ落ち着きなさい。別に危害か喜びかは彼によるでしょうね、ただ私も神の扱いをされる柱としてはあなたたちに情報をすんなり提供する覚えはないので…それでは…」

そういって結局なにも言わず天空は去っていった。残された神使達は憤る。

「ふん!たかが名を歴史に残した十二天将だからといって偉そうに…気分が悪くなるわ!」

「一応彼も土神、われらよりは上位の存在ですからしょうがないでしょう…それにしても我々の世界にまで手が伸びる人の子ですか…気になりましたね…」

レイラは彼と融合した魂も考慮して話す。

「もしかしたらあと1年はあの龍の魂は人の子を喰い破れないなにかがあるのかもしれませんね…この話は終わりにしましょう」

そして神使達は自分の主のもとに行くことにする。



ある場所で天空は幾年の間同じ人間に使役された同志たちと顔を合わせる。彼らは十二天将と呼ばれる存在達だった。あるものは獣の姿をしあるものは人の姿をとっていたりと様々だったが天空にはさほど関係なく。彼らに挨拶する。

「また会いに来てしまいました。すみませんねぇみなさん」

「貴様か…なにやら神の使い達と話していたようだが。何を企んでいる?」

「企んでなどおりませんよ?ただ何も知らないというのは滑稽だなと思って少し会話しただけです」

「お主のことだ、面白いことをかんがえているのであろう?」

「えぇ…それはもう…面白くて後一年数える様です」

天空はある質問を他の11柱の式神たちに問う。

「もし晴明がまた私たちを使役すると言ったらあなた方はどうなさる?」

1柱が言う。

「ふむ、いきなりその質問は考えるな、まず我々を使役できるほどの力が備わっている人がいるのか?」

「すいません。いたらという前提でお願いします」

「ふむ…ならばお前はどうなんだ?天空?」

「私ですか?もちろん力あるものに従う想いですが?」

「なら私もだ。力があるのならば従う、なければ必要がない、でいいのだろう?他の者も?」

「そうだな」

他の柱が全員頷く。

「それを聞いて安心しました。では私はこれで失礼します」

「一年に一回会うか会わん相手をそのまま帰すと思うか?いい酒が手に入ったのだ一杯でものんでゆけ」

「ならばもらいましょうか、しかし口が軽くなるとは思わないように」

一言自分と仲間にくぎを刺し酒盛りをする。そして一言だけ口走る。

「ふっふっふ…あの子は清明以上だ…」

酔いしれている他の式神達は気づかなかったが1柱だけ酒をあまり飲まず天空の言葉と行動を注視していたものがいた。その名は玄武という式神だった。




夕方になり天空はまだ始まったばかりの月初めにもう帰ると言った。

「すみませんねみなさん。私は用事があるので一足先に帰らせてもらいます」

「なぜまだ人に化け生活をしている?」

「そうですね…他の方もしてみればわかりますではまた」

玄武が見送ると言い他の十二神将はまだ酒盛りをしていた。


「すみませんね。玄武」

「天空…清明以上の人の子がいるのか?」

天空はつい喋っていたことに気づく。

「世界は広いですからね」

「戯言を…貴殿の言うことだ。本当なのだろう」

「まああと1年待てばわかりますよ、私がうっかり解いてしまうかもしれませんがね」

「お前がここまで酔うのは初めてだな…人の影響か?」

「そうですね…この数十年は辛い時も楽しい時もありましたね…ですが人というのは成長過程が面白いのですよ、あなたも一緒に来ますか?」

「我もか…その人の子が清明以上であれば強制的にわれらが動くのではないか?」

天空は笑いながら返す。

「そうですね…ふっふっふ…ではまた」

そして一瞬に転移して帰る天空だった。

残された玄武は独り言を言う。


「清明以上か…確かにそれは面白いな…」


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