第7話
「あ、来たみたいよ」
ギルドの木製の扉を開けて入ってきたのはレザーアーマーを先頭に昨日一緒に戦った3人。
レザーアーマーが口火を切る。
「おお、昨日はどうもな。そうそう。
入手したコアだけどな。
こっち全員で7
にいちゃんに3
てさせてもらった」
「え、それって、人数的にもらいすぎじゃ…」
「いいってことよ。にいちゃんには本当に世話になったからな。
カッコ良かったぜ。
『自分が引きつけるから行ってくれ』って言うやつ!」
「いやそれは...」
本当になんであんなこと言ったんだろう。
いつもの自分ならありえない。
「まあ、とにかくな。そのおかげでここにいられるってことさ。
また、行こうぜ、にいちゃん!」
そう言うと、コアの入った袋を置いて、彼らは去っていった。
ヴンダーは受け取った袋の中を覗き込んだ。
これがコアか。
「ああ、そうか。もしかして初めてだっけ。モンスターは倒されるとね。
コアっていうのを落とすの。そのコアっていうのはモンスターによって違う。
討伐モンスターを倒した時は、そのコアをギルドに持っていけば換金できるわ。
ゴブリンやコボルトは安いけど、いつも討伐依頼が出てるから、すぐに換金できるわ。
高位モンスターになると死んでもそのまま身体が残ったりすることもあるみたい。
あ、後、レアドロップとかとかいって、特殊なアイテムを落とすこともあるみたい。
そんな高位のモンスター倒せるレベルじゃないから知らないけどね」
とりあえず換金か。
カウンターに向かう。
カウンターは先程まで混み合ってたが、かなり空いてきてる。
話している内に結構、時間が経って、冒険者たちは自分の仕事を見つけたのだろう。
受付の女性はやっぱり美人だった。
ショートカットの金髪に切れ長の目、可愛いというよりキレイな人って感じ。
「依頼達成ですか?それとも買取でしょうか?」
「すいません、買取をお願いします」
「ギルドカードをお願いします」
あ、カードか。
ポケットに入っているカードを取り出す。
Fという文字が見えた。
「あの...。やっぱり、ランクってあるんですよね。
ランクって上げるとどうなるんですか?」
「あ、はい。冒険者にはみなランクがあります。
ランクが上がると、まず、買取額にボーナスが付きます。
頑張ってランクを上げようとするモチベーションが上がって
持ち込まれる量が増えますし、稼いでるハイランカーの姿を見せる事で
後に続こうとする人も出ますので
冒険者にもギルドにも利益があるって事ですよね」
「それとランクによって受けられる依頼の等級が変わります。
具体的には自分の等級の一つ上までしか基本は受けられません。
例えばFランクならEランクですね。
そんなところでしょうか」
「ランクを上げるにはどうすればいいのでしょうか」
「高ランクと低ランクで違いますけど...
Cランクまでは一定回数以上、依頼を達成すると自動的に上がります。
Bランク以上は同じく依頼達成回数などの条件をクリアした上でテストがあります。
まあ、まだ先のことかもしれませんが...」
まあ、そうだろうな。
「ちなみに普通の人がⅭランクになるには早い人でも5年位。
10年以上かかっても上がれない人もいるみたいですね」
つまり、Cランクはベテラン。B以上はエリートってことだよな。
自分のラノベ知識からして納得できる。
そもそも、これはラノベツクールに関連した世界なのだから。
「はい、お待たせしました。
ゴブリンは常時討伐依頼が出てますので5匹当たり銀貨1枚となります。
それと、買取は1匹当銅貨1枚になっています」
説明を受けている内に中で確認してくれたみたいだ。
銀貨5枚と銅貨8枚を渡された
思ったより高収入で思わず笑みがこぼれる。
「ありがとう」
「さて、この後はどうするの?」
振り向くとファベールがいた。
やっぱりレベル上げだろうな。
昨日、自分がどのくらい戦えるのかを確認した。
召喚士だけど、今、召喚できるのは昨日の2体だけ。
攻撃の頭数にできない。
となるとブーメラン?
いやいや狭いところじゃ使えないし…。
なんでブーメラン?
アホかーっ!
こうなると分かってたらショートソードとか、普通の剣にしてたのにぃーっ!
まあ、いいか
とにかく、ブーメランで戦う必要がある。
「比較的広い場所で、例えば草原とか。
ゴブリンなんかを狩れる狩場とかないかな。」
「ああレベル上げかあ。ギノーム平原に結構出るって聞いたけど」
よし。今日はそこに行こう。
たくさん倒せば収入にもなるし。
「よーし。じゃあ行こうか」
「え、来るの?」
「もちろん...え、イヤなの?」
上目遣いにじっと見られる。
断れないし...そういうの断れないし。
「う、うん...。じゃあ、行こうか」
ギルドを出て、町の出口に向かう。
当然だけど歩いて出ることになる。
町の出口に着いた。
「町の外に出るのか」
入口の門番の男に声を掛けられる。
「ああ、ちょっとゴブリン狩に」
「そうか、気をつけてな」
髭面のゴツイ門番は気のよさそうな笑顔を浮かべた。