第5話
あ、思い出した。
しまったあ!
なんで、もっとチートにしなかったんだよお!
何が歯ごたえだ!
それはリセットとかニューゲーム前提の話。
ここじゃあさ
死ぬんだぞおおおお!
アホ
エリクサー100個とかさ、そもそも、所持金チートにしておけば…。
ここがゲームの世界かどうかがはっきり分かったわけじゃないけど、少なくとも、あの時の設定は影響してるわけで、だとすれば、所持金の項目を設定できていれば、そうなったかもしれない。
あの時、時間切れになってなかったら…
翌日に設定できてれば…
まあ、実際には時間切れになって、翌日を迎えることもなく...。
それにタネだってさ。
レベル100の種とかにしておけば...
ああ思い出した。
そうだった。
そうでした
僕は運が悪いんだった...。
だいたいさ
異世界に転生してさ。
いきなりベヒーモスに襲われて...死にかけるなんてストーリーある?
ラノベならさ。
はしめから最強とか無双とかさ。
目が覚めたら、カワイイ女の子に囲まれてるとか、そういうことじゃないの?
俺ツエー、最強!
そういう感じだから、俺、ラノベ好きだったのに...いざ、その世界に入ってみれば...。
実際、そういう設定にしようとしてたのにー!
まあ、「re○ロから始まる」みたいな最序盤、悲惨すぎるのもあるけど稀ですよマレ。
クソお、レベル100の種!
あ、そうか。
レベル10のタネはあるのか。
よし
頭で思い浮かべると手元にそれが現れた。
5ミリくらいだけど本当に植物のタネみたい。
これって普通に飲み込むのかな。
ド〇クエとか、実際にどうしてるんだろう。
その辺、よくわからない。
「まあいいか」
一気に飲み込んだ。
「レベルアップしました」
ちょっとだけ機械的な声。ラノベツクールの声と似ている。
「レベルアップしました
レベルアップしました
レベルアップしました
レベルアップしました…」
頭の中で繰り返される声。
ちょっとうるさい。
ちょうど10回...声がなくなった。
これでまた、一つ分かった。やっぱりレベルアップするんだ。
ベヒーモスは倒していないから、確認できなかったんだよね。
ステイタスって見れるのかな。
あ、しまった!タネ飲む前にステイタス見ればよかった。
どれだけ増えたのかわからない。
ステイタス。
念じると、目の前に数字が浮かび上がる。
HP 354
MP 120
力 34
知恵 52
魔力 28
生命力 55
素早さ 61
運 1
まあ、知恵とか、力とかはわかるよね。
運て、何?
RPGとかでも、よく分からないよね。
これヘルプは?
頭で思い浮かべる。
>なんかいいことがあります、きっと
どういうことだよ、これ!
ちなみに魔力は?
...魔法攻撃の威力アップ
...魔法攻撃の防御アップ
知恵
...作成魔道具のレベルアップ
...魔道具使用時効果アップ
普通はこうだろ。
「なんかいいこと」って...。
まあ、それでも、運1って...。
1
やっぱりなあ...なんだよ1って!
いや待てよ。
よく見たら1/10ってなってる
他のにはないから、運は最大でも10か。
にしてもさあ。絶対低いだろ、1って。
あれ、パラメータを変更できますって書いてあるな。
例えば力
...5ずつ増えるのか。
魔力も同じだ。
ヘルプは?
あ、やっぱりそうか。
レベルアップすると、HPやMPは上がるけど、パラメータは変わらない。
パラメータを変えるにレベルが10上がる必要があるってことだ。
ハードル高っ!
強くなれないじゃん!
強くなる前に死ぬじゃん!!
なんてハード設定!
あれ、もしかして、自分はレベル無制限にしてたから、まあいいとしても
もしレベルが最大99とかだったら、パラメータって、ほとんどいじれなくて、生まれもってのパラメータ運だけってこと?
いや、それはあっちの世界も同じだった。
生まれに左右されるのは間違いない。
ええと...まあいいや。
で
さてパラメータ変更は...
もちろん運アップ一択!
運プラス1。
「これでいいですか?」
はい
運が2になった。
やってやった。
それでも2かあ...。
低いなあ。
それにしても、今の自分がどのくらいなのか。
知りたいなあ。
そうしないと、おちおちモンスターとも戦えないし...。
明日、昨日の仲間に会ったら、それとなく、聞いてみよう。
まあ気をつけないとな。
弱ければ侮られるし、実際被害を受ける可能性だってある。
もちろん、今日の感じを見れば最弱ってことはないだろう。
で、でもっ!逆に変に強い可能性もある。
そりゃラノベだし十分ありうる。
例えば強ければ強いで警戒されたり、変な誘いを受けるとかもあるかも。
うまく、こちらの手の内を見せずに聞けるといいけどな。
...と虫のいいことを考える。
それにしても、僕はこの世界の言葉が分かる。
これは彼と融合してるからだよな。
これは助かった。
言葉が分からなかったらやばかった。
あのときもうまく逃げられたか自信ない。
言葉は大事だよな。