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第2話

よく分からないけど、折角、助かったのに、こんなとこで死ぬなんて、ARIENAI!




反対方向に歩き始めた。




やはりマッピングするとマップにルートが書き込まれていく。


だめだ。この先は行き止まり。

別のルートへ。


また行き止まり。


くそ、まずい!あと1本しかないぞ。




まさか、ここも?

戻ったら奴が...。


「待って!ここ!!!!」

フードを被った盗賊衣装の女の子が叫ぶ。


彼女は壁に沿って、手を滑らせる。

「あった!」


次の瞬間ドアが開いた。隠し扉だったらしい。


「おおおおおおおぉ」

全員の歓声。


「え?」

ドアは途中まで開いて止まってしまった。


「どういうこと?」

盗賊の子が隙間から覗き込む。


「あ、石が」


ベヒーモスが暴れ、ダンジョンの一部が崩れた結果、ドアの動きを阻害して、途中までしか開かないようだ。




「どうだ?」

レザーアーマーが聞く。


「なんとか通れそう。

でも狭いから通るのには、ちょっと時間がかかるかも」


「おいおい、もうそこまで来てるんだぞ」

魔法使いはいら立ちを隠せない。


「分かった」


「え?何が分かったんだ?」


「僕があいつを引きつけるから、その間にみんな逃げてくれ」




「えええええええええ!バカヤロウ、ベヒーモスだぞ!!」


「いや、だって、このままじゃ、みんな死ぬよ」


「そりゃあ、そうだが…よし、分かった。

小さいやつからくぐれ!弓は援護だ!」




ベヒーモスが近づいてきた。




でけー!

アリエねー。


僕は両手を上げる。

「アナライザー」


再び魔法陣が浮かび上がり、何かが現れる。


「おいおい、2体目かよ」

レザーアーマーが呆れか驚きか分からない声を上げる。




白衣を着てメガネをかけた、一見医者に見える青年。

怜悧なイケメンていう感じだ。


彼が右手を上げると僕の前に「ベヒーモスのステータス」が現れる。




うわ、ナニコレ。絶対ムリ。

弱点がほとんどないし、マジ強すぎナンデスケド。




どうしよ。

なんであんな偉そうなこと言っちゃったんだろ。


普通なら考えられない。

あ、普通じゃないか。




でも、いや確かに...僕がなんとかしなきゃ全滅だ。

どうする?




そうだ!僕は知ってるはずだ。

記憶の中を覗き込む。


そうか。

僕は背中に手を伸ばす。




そこにそれはあった。

ブーメランだ




「おいおいおいおい!そんなもので、どうしようってんだ。

あいつにとっちゃ、そんなもン、つまようじで刺されたようなもんだろ」


それはそうかもしれないけどね。




奴が近づいて来る。




あいつはカラダこそ丈夫だけど、別にバリアのようなものがあるわけじゃない。

だとすれば…。




僕はブーメランを構える。




あれ?軌跡が見える。


アレだ。

み○ゴルとかで出てくるやつ。




「うわ、チートだ、これ!」

その軌跡をなぞるようにブーメランを投じる。




強すぎたようだ。


「だから!そんなもんじゃムリだって」

レザーアーマーが怒鳴る。




僕は再び投じる。


放たれたブーメランはクルクルと回り、ベヒーモスの右目にヒットして戻ってきた。

ベヒーモスは凄まじい声を上げ、その場にひっくり返る。


「う、うそ、嘘だろっ!当てやがった...」

レザーアーマーが目を見開く。


「よし、今の内だ!早く早く早く」


よほど痛かったのだろう。

ベヒーモスは右目をこすりながら、まだ転げ回っている。


「早く早く!」

よし後は俺だけ…。


「わ、ヤバ!」


態勢を立て直し、ベヒーモスが突進してくる。


「ふざけろっ、ここまでやったのに!」

僕はドアのわずかな隙間にギリギリ身体を滑り込ませた


ズズーーン!

ドアから足をひっこ抜くと、すぐに凄まじい衝撃がきた。




逃げ込んだ部屋の中でみんなひっくり返る。




振り向くと、わずかに開いていたドアはひしゃげ、誰も通れなくなっていた。




...危機一髪だし。


ホッとする僕の肩をレザーアーマーがバンバン叩く。

「おいおい!あの距離でブーメラン当てるってマジかよ。ウソだろ。

弓矢じゃないんだぜ!」


「いやいや、弓でも達人クラスだろ」

と魔法使い。


「まぐれだって!必死だったからな。そういうこともあるよ」


「納得しねえ。だいたい、このダンジョンに入った時のお前と今のお前。ほぼ別人だろ。

途中でモンスター倒す時だって...こう言っちゃ悪いけどさ。ほとんど役立たずだったし」


「そりゃあ別人だ」って言えるはずもなく、まぐれを連呼する。


「それにアレだ。あの、なんだよ。お前ハンターだろ。なんで召喚なんてできんだよ。

しかも2体とか、どういうレベルだよ」


と言われても...ノーマルの召喚が分からない以上、下手なことを言って墓穴を掘る気はない。

「いや、まあ、その、便利だっていうのでさ。ちょっと昔な、習ったことがあるのさ」


「いやいや、そういうレベルじゃないだろ」

レザーアーマーがしつこく食い下がる。


なおも続ける男に、これは「アレを言うしかない」と思う僕。


「いいか。冒険者が、自分のスキルの秘密をペラペラ喋ると思ってるのか?」


「あ」

と言って、そのまま男は固まる。


...ま、冒険者じゃないんだけどね




「まあ、とにかく、ここから逃げなきゃいけないわけだし、俺も最大限力を貸すからさ」


「あ、ああ」

レザーアーマーも冒険者ルールには勝てず、口をつぐんだ。




その後はマッピングも使用して、僕らは無事ダンジョンを抜けた。

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