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第1話

「おい、何ボーッとしてやがる。危ないぞ」




目を開けると目の前には理解できないものがあった。




それはケモノ?

いや

ケモノのカテゴリから大きく逸脱した巨大な姿。




それは

それは


記憶の中をたぐると「ベヒーモス」に類似してるようだ?




は?

何だそれ!ありえないだろ?

ここはどこだ?


あれ、何をしていたんだっけ。


ええと確か...そうだ。

般若にやられそうになって、それから


それから...記憶がない。




あの後、どうなったのか?




思い出そうとして全く思い出せないってことは気を失ってたってことか。

幸か不幸か、自分の場合はそれしかない。




「あ、バカ!」


「え?」


「か、はっ」

自分の身体は強い衝撃を受けて、弾け飛んでいた。

ベヒーモスの尾がハードヒットしたらしい。


らしいなんて状況じゃない。


おそらく内臓は破裂し骨も折れてるだろう。

だから呼吸することさえ苦しい。


死ぬのか?

いやだ、死にたくない。




「撤退だ。とにかく逃げるぞ」

襟を掴まれ、僕は引きずられてる。


止まった。


「クソ。だから、俺は反対したんだ。 知らないやつなんかパーティに入れても足手まといだって!」

遠くで誰かが、話してる。


僕の事なのか?


今の自分がどこにいるのか?どういう状況なのか?

全く分からない。


ただ、はっきりしてることもある。

このままだと自分は死ぬだろう。


いやだいやだいやだ

いやだいやだいやだ

いやだいやだいやだ


ふと

本当に何気なく

僕は自分の手をお腹のあたりに動かした。




するといつの間にか、手に何かが握られていることに気づく。


力を振り絞って手を上げ、握られたものを見ると頭に何かが浮かぶ。

これは「エリクサー」。


え、エリクサー?

なぜ、それがエリクサーと思ったのか分からない。


とにかく何もかも分からないのだ。

でも、生きるために何をすればいいのかは知っている。


そのビンの蓋を外し、光るその液体を一気に煽る。

柑橘系の味のようだ。


僕はそんな風に思いながら、必死でその液体を飲み込む。




身体の奥が急に熱くなった。

気のせいか、身体が光っているようだ。


不意に身体が、軽くなった。あんなに苦しかったのに。




「こいつ、どうする?どうせ、もう助からねえよ。

俺たちだって、ここにいたら、いつやられるか?」




僕は立ち上がる。


「え?お前、どうして立てるんだよ。さっき、ベヒーモスに吹っ飛ばされてたじゃねえか」


「いや、分からない」


「分からないって…お前。...えーっ?」

 男は驚愕と呆れが綯い交ぜとなったような複雑な目で見る。




なんか、変に落ち着いてきた。

男を見ると、彼は軽量な鎧を着ているようだ


その形状はラノベでよく出てくるレザーアーマーのように見える。




ラノベ?

ラノベ?




まさか、ここは?

...本当に転移したのか?




いやいやいや

昨日、確かにラノベツクールの設定はしたけど、そもそも、ゲーム始めてないし、だいたい、記憶の最後のシーンと整合性が、全くない。




となると「ありえない」。

...ありえないことだけど、ここは本当に異世界ということ?




さっきの痛み。

死にそうになったことを思い出し呟く。

「これはゲームじゃない!」


「当たり前だろ。何言ってるんだ。早く逃げないと!」


「あームリだ。みんな、大ケガしてるし、とても逃げ切れない」

そう言っている男の怪我はそうでもないようだ。


男だけなら逃げられるのだろう。


だが、シガラミや人情?

なにかは分からないが、そう簡単に逃げられるものでもないようだ。




再び周りを見回すと男の他には男女含め4人。服装からすれば、「魔法使いや盗賊」。

パーティーのバランスは良さそうだ。




「クッソー!どうすればいいんだ」




ベヒーモスの鳴き声が聞こえてくる。

足音も近づいて来ているようだ。




「ヤバい。ヤバい」

男が焦り出す。




倒れてる他の仲間の元に近づき、僕は何故か、両手を上げる。


「テメー。こんな時に何わけわからんことやってるん…」


「え?」


「エンジェル」

僕はそう呟く。


僕のおよそ1メートルほど前に魔法陣が現れ、輝き出す。


うっすらと何かが浮かび上がる。


それは次第に形を成し...そう。

それはまさに「天使」の姿だった。




現れた天使は僕と同じように両手を上げ、優しい落ち着くような、そして美しい女性の声音で声を発した。


「ヒーリング」

青い風のようなエフェクト。

それは次第に広がり、周囲を優しく包み込んで行く。


「な、なんだ。これ」

青い輝きに包まれたパーティを見ると、流れ続けていた出血が止まり、無数にあった傷が次第に消えていくのが見えた。



「ま、まさか...こいつは召喚?これは召喚なのか?」


「おい!

お前、ハンターじゃねえのかよっ!」




そう聞かれても

自分には答えようがなかった。


ただ一つだけ、分かったことがある。

これはラノベツクールで設定しようとした能力だ。




僕は自分の記憶の中を探って見る。


おそらく僕はどうすればいいのか、知ってるんだ。

そう、知ってるはずだ。




そして、答えがあった。




頭の中でコマンドを操作する。


「マップ」

目の前に今いる場所のマップが表示された。




「もう、みんな立てるはずだ。逃げよう」


「て言っても、あいつが出てきてわけ分からず逃げちまったから、今どこにいるのか分からないよ」


「それでいい、行こう!とりあえず、ヤツと反対方向へ」

異世界での生活スタートです。

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