2.第2章 剣士2
いよいよシバルバ国 最大の神事「勇者の心臓」が始まった。
十二人の剣士が競い合い、優勝者の心臓を神に奉げると云う神事だ。
しかし今回は少し違っていた。
十一人しかいない。
欠けた一人の首と心臓は、すでにピラミッドの祭壇に奉げられていた。
観衆たちも、それに気づきざわめき合ったが、ヤコック王は打消すように、剣士達の戦いを促した。
ドドドドドドドドドー―――――――ンン!!!
太鼓が大きく、鳴り響いた。
剣士達はトーナメント制で、戦っていく。
勝った剣士は、負けた剣士の首を切り落とし、心臓をえぐり取った。
その首と心臓を、武科の衛兵達がその都度、祭壇に奉げ祀った。
勝った剣士の村からは、大歓声が上がり血と肉のトランス状態が、高揚していった。
コアトルは、眉をひそめながら、観衆の興奮を見ていた。
ついに勝ち残った3人となった。一戦二戦は対戦形式だったが、最終戦は3人で行われる。
それぞれの村から、大声援が送られる。
拳闘場は、興奮のるつぼと成った。
3人は祭壇に礼をすると、剣を真中にして対峙した。
長身の剣士は、剣を上下に動かしている。
太った剣士は、対峙している二人を代わる代わる睨みつけている。
中肉中背の剣士は、どちらに打込もうかと体を左右に動かしている。
ジリジリとした時間が流れ、動きが無い。
武科長のカサスが大声を上げた。
「この拳闘場に、勇者は居ないのかっ!!!。」
中肉の剣士が、長身の剣士の剣を払った。
カキーン。
一瞬3人の態勢が崩れたが、それ以上進まない。
長身の剣士が、足で太った剣士に砂をかけた。
太った剣士は、長身の剣士に、砂を蹴り返した。
中肉の剣士も、足で太った剣士に砂をかけた。
太った剣士は、中肉の剣士に砂を蹴り返した。
太った剣士は、その意味が解らなかった。
「まずは、こいつから殺そう」と云う合図だった。
長身の剣士の刃が、太った剣士を襲った!。
続いて中肉の剣士の刃も、太った剣士に向かった!。
ガンガン!! カキーーン!。
二人の剣士の刃が、太った剣士を襲った。
だが、さすがに此処まで勝ち残った剣士。
長身の刃を受けながら、中肉の剣士に蹴りを入れた。
その蹴りが、中肉の股間に入った。
中肉の剣士は、もんどりを打って膝を付いた。
その瞬間を見逃さず、長身の刃が、中肉の首を落とした。