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惑星神話シバルバ  作者: 土御門 臥龍
第2部 シバルバ族の国
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2.第2章 剣士1

夏至の神事の当日は、卜占科の人々にとって、大変忙しい一日だった。


夜明け前からピラミッドの祭壇に集まり、太陽が石造りの十字架の頂点から登るのを確認した。

毎年同じ位置から太陽が登り、毎年同じ長さで影が伸びているのを確認した。

明け方の星の位置、二つの月の位置を、祭壇から測った。

そして、暦の誤差が無いか、手帳に記した。

また神々の為の祭壇を整えて、貢物や花を飾りつけた。


ヤコック王も、神山の滝でみそぎを行い、神事の準備を進めていた。

コアトルもヤコック王について、夜明け前から準備にあたっていた。


シバルバ族の国中から、夏至の神事を祝おうと、人々が集まっていた。

拳闘場には、前日からの人々も含め、何十万の村人が集まっていた。

自分の村から選出された剣士を、応援しようと来ていたのだ。


太陽が登り、雲が重なり合って、明白神が現れた。

卜占科長のイサムナが、ヤコック王に耳打ちすると、ヤコック王が楽隊に指示を出した。

ドンドンドン!!!。 プオープオープオ―――。


ヤコック王が開会の宣言を高らかに言い放ち、夏至の神事が始まった。

集まった観衆に、ワインとパン、羊の乾し肉が配られた。

コアトル達の前にも、同じく配られた。


宮殿の門から、白い神事用の衣装に身をつつんだ、少女達が現れた。

100人近くいるだろうか。


ワインの勢いもあり、観衆の歓声が大きく響いた。

ワオ――!!!。 ヒューヒュー―。

神々への舞が、はじまった。


年の頃はコアトルと同じくらい、皆はつらつとして、きびきびとした踊りだ。

楽隊の太鼓と角笛に合わせて、舞い踊る。

ドンドンドン。 プオープオープオ―。


ふとコアトルの瞳に一人の少女が、入り込んだ。

明白神を、小さくして少女にしたような、その姿。

腰まである長い金色の髪をなびかせながら、踊っている。


「なんてきれいな女の子だろう。」心の中で、つぶやいた。

その少女は、ニコニコしながら手足をスッと伸ばし踊っている。


「なんて云う名前だろう。」

コアトルの視線は、その少女に、くぎ付けとなった。


ドンドンドン。 ドンドンドン!!!。

少女たちの踊りが終わり、宮殿の門に吸い込まれていった。

コアトルは、その少女の後姿を、ずっと追い続けた。


夜明け前から朝食も取らずに動き回ったせいか、

空腹にワインを飲んだせいか、コアトルは、ぼーっとなり、頬は紅潮していた。


挿絵(By みてみん)

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