2.第15章 廃墟の結婚式4-4
崩れかけた廃墟の中を、生徒達は逃げ惑った。
校長を筆頭に、生徒達を追いかけまわす先生達。
ある女子生徒はその場に座り込み、泣きじゃくって居た。
「パパに怒られる~。こんな事をしてパパに叱られる~。」
廃墟の祭壇は、ハチの巣を突いた様に、大騒ぎとなった。
ただ一人、ポポルは校長に体当りして行った。
「みんな負けるなっ!。校長達は6人!。俺達は30人だぞっ!。」
「いつも威張っている奴らに、仕返しだっ!。」
「5人がかりでやっつけろっ!。」
そう言うと、校長の右袖を引っ張ってはぎ取った。
「コラッ。このガキっ。私の大事な服に何をするっ。」
「まだまだっ!。」
ポポルは勢いにのって、校長の上着の縫い目から左右に引き裂いた。
「あらら、何と云う事を…。」
校長がへなへなと座り込んでしまった。
「そうだっ。やっちまぇ!。やっちまぇ!。」
そこここの生徒から声が上がった。
一挙に形勢逆転。
先生達が逃げまどい、生徒達が追い掛け回した。
先生達は皆、ズタボロになっていった。
「コアトル、逃げ切って結婚式を成就させろよ!。」
ポポルは心の中で、つぶやいた。
廃墟の祭壇から抜け出したコアトルとエカリー。
走り疲れて、街はずれの草薮に身を潜めていた。
「コアトル…、このまま二人でずっと逃げ切っちゃおうか?。」
「うん、王宮から離れてどこか遠くの山の村で、ひっそり暮らそう。」
コアトルはエカリーの頭を引き寄せ、初めてその唇にキスをした。
柔らかく、なまめかしいエカリーの息遣いを肌で感じた。
二人はじっと瞳と瞳を見合わせた。
「あら、あの煙。王宮の方から、何かしら?。」
「えっ、あれは。衛兵達への伝令ののろしだっ。」
コアトルは、のろしの煙を目で追った。
のろしは、大きくなったり、途切れたりしながら、同じ信号を繰り返した。
「逃亡者あり。捕まえろ。コ・ア・ト・ル。」
「だめだ。各地に駐在している衛兵達に伝令が送られている。」
「一旦どこかに、身を隠さないと。」
「衛兵達が僕達を探し回り出す。急ごう。」
コアトルの頭の中には、一つの場所が浮かんでいた。
書庫蔵。
書庫蔵の天上の窓から、中に入り込める。
あそこなら、イサムナ以外気が付かないはずだ。
二人は急いで取って返して、廃墟の祭壇の脇を抜けて、書庫蔵へと向かった。
果たして、そこにはイサムナが待っていた。
「イサムナっ。書庫蔵に隠れさせてくれっ。」
コアトルは叫びながら、イサムナに近づいて行った。
「ようこそコアトル。」
イサムナは両手を上げ、交差させた。
その途端、両脇の建物の陰から衛兵達が現れ、二人を取り囲んだ。
「ここへ来る事は、分かっていましたよ、コアトル。」
イサムナが言った。
二人は衛兵達に縛り上げられ、王宮へと連れて行かれた。
幻となった二人の結婚式。
囚われの身となってしまった二人。
ポポルは、二人が衛兵達に連れ去られたと云う事を聞くと、祭壇に唾を吐いた。ベッ!。
廃墟の祭壇に居た生徒達も一斉に祭壇に向かって唾を吐いた。
ベッ。




