告白の翌日
次の日、北村先生の口から昨日のことが出ることはなかった。
賢明な判断だ。そんなことを言ったら、女子たちが「佐村様はそんなことしない!」みたいなことを言って教室が騒がしくなってしまいかねないからだ。
……レイチェルちゃんとごく一部以外の女子は佐村のことを「佐村様」と言うようになった。中には確か彼氏がいた女子もいた気がする。うろ覚えでしかないが。その熱気はもはや外国のスターさながらであった。
あれから北村先生には「あまりこういうことは言いたくないがなるべく2人一緒に帰るように」と言われている。
言われなくても2人で帰ることにしているが、帰る時だって片時も俺とレイチェルちゃんは手を離さなくなった。
その日の昼休み。
「そんなことが……大変だったな……」
教室で、俺とレイチェルちゃん、そして原田の3人で弁当を食べる。
「俺だったら告白すらしねーよ……水川の話を信じるならガチでヤバい奴なんじゃないのか?」
「おいおい信じてないのか? 先生がいなかったら多分俺死んでたぞ?」
「私も証人だよ! 本当にせいちゃんが死んじゃうんじゃないかって怖かったんだから!」
そして、原田は佐村にかかわる新たな噂を俺たちに話す。
「その佐村義人なんだがな……他校の結構不良な奴らと関わり始めたらしい」
「1ヶ月前に似たような話をしていた時は半信半疑だったがあんなことをされたら信憑性は高いな……あの時は本気で俺を殺すつもりだったみたいだしそういう奴らと協力する可能性は否定できない」
「佐村義人は"ハーレムをおすそ分け"という売り文句でそういうのを集めているとも聞いた、今でこそ他校だが元不良の友達にもそういう話が来たというのも聞いてるから多分この話は正しいんだろう」
ハーレムをおすそ分けで集まるのか? でも不良って女に飢えてるイメージがあるから何も考えず乗っちゃうんだろうな……と考えてしまう。
そう考えている間に3人は弁当を食べ切った。
放課後。
俺とレイチェルちゃんはあの噂を警戒し、いつもと違う道で帰路についた。
俺とレイチェルちゃんの身には何も起こらず、無事帰宅することができたのだが……
――次なる事件が、自分の知らないところで起きることになるのである。
実は次回の話をいきなりこの回に挿入しようと思っていたのですが……違和感があったので一旦この話を挟みます!