転校生登場
翌日。
スマートフォンの目覚ましに起こされる。
朝のニュースを見ながら朝食をとり、身支度を終えるというなんでもない日常の風景。
朝の準備をしている間に、彼女、レイチェル・フィアンクスはやってくる。
「おはよう! 今日もいい天気だねー!」
「毎日ごめんね? 青天くんのために家に寄ってもらっちゃって」
「大丈夫ですお義母さん、私が好きでやってることですから!」
レイチェルちゃん、まだ俺たち高校生だろ。
何で「お義母さん」とか呼んでるんだ。毎度のことながら。
「青天くんもこんないい彼女がいて幸せね!」
「そうだな……折角なんだから大切にしなければいけないな」
「さあ、一緒に学校へ行きましょう!」
2人が一緒に登校する風景までが、いつもの日常。
なんてことはない日常の風景だった。
2人は無事高校に到着し、2年2組の教室で共に自分の席へと着席する。
「もう一部の者は聞いているかもしれませんが、この学校に転校生が来ます」
2年2組の担任、北村先生はホームルームの時間の開口一番そのように告げる。
「どうぞ」
そこに現れたのは、昨日の原田の言葉通りまさに「イケメン」を体現したようなルックスの男子。
彼が現れた途端、クラスの女子たちは一斉にわーきゃー騒ぎ始める。
まるでアイドルが空港に現れ、騒ぎ始めるファンであるかのようだ。
「静かにしてください! 質問とかなら休み時間の時にしても遅くはないはずですよ?」
北村先生が女子たちの声を抑えると、その転校生は自己紹介を始める。
「今日からこの高校に通うことになりました、佐村義人と申します」
「席は……あそこに用意しておきましたので、その席に座ってください」
ここで小説とかだとレイチェルちゃんの隣に座って……とかなりそうなものだがそういうことはなく、男子の隣に席は用意されていた。
これでレイチェルちゃん……否女子の隣にでもなったらその女子が他の女子から非難を受けることはほぼ確定的だっただろう。
そうしてホームルームは終わり、その日の授業を受けるまでが、いつもの日常の風景なのであった。
……転校生がその日に現れたということを除けば。
そして、その時は誰も知る由がなかった。
その転校生が現れてから、事件はすでに始まっていたということを……。
こちらの部分は3月31日に執筆しております。