甘い考え
いよいよ水川さんと"犯人"の決戦です……!
「俺はここで美術の先生に呼び出しを受けてここにいる、だが何故佐村がここに来る?」
「はっ、俺が来たことでわからねえのか? お前は俺の罠にまんまとはまったってことなんだよ」
やっぱりか……! だが何故美術の先生は佐村に協力した!?
「第一な、お前がレイチェルと付き合ってるせいで俺がレイチェルと付き合えねえのはわかるよな? 本来レイチェルは俺と付き合うべきなんだよ、だがお前のせいでレイチェルはお前のことを考えて、挙句の果てには俺に対して苛立ちすら覚える。この状況がおかしいと思わねえのか?」
「おかしいのはお前の頭だ、第一あんなに女子を侍らせておいてレイチェルちゃんと付き合いたいとか、女子たちに悪いと思わないのか? 何股かけてるんだ? それでレイチェルちゃんと付き合いたいなど甚だ理解できないな」
俺は目の前で異常にもほどがあることを話す佐村義人を前に、俺の話を理解しているかはわからないが言葉を戦わせる。
「当たり前だろ! 俺だけがハーレムを作ることを許された唯一の人間だ! 俺はフィアンクス・エレクトロニクス社の製品の部品を作ってる佐村工業製作所社長の一人息子だぞ! そんな俺が作るハーレムなんだ、ハーレム仲間の女子は皆幸せに決まってる!」
フィアンクス・エレクトロニクス社。確かフィアンクス・ホールディングス社の子会社で、家電とかパソコンとかいろいろ作ってたはずだ。
レイチェルちゃんの名字は「フィアンクス」。その名前通りレイチェルちゃんはフィアンクス・ホールディングス社の社長令嬢だ。
この分だと多分名字は見てなさそうだな……
「だがレイチェルはどうだ!? お前のせいでレイチェルは幸せじゃない! お前が幸せを邪魔してるんだよ! だから俺はそれを救ってやろうとしてるだけなんだ!」
「幸せかどうかは本人が決めることだ、お前の一存で決まるものか! 第一引く手あまただろ、レイチェルちゃん以外にもいるはずなのに何故レイチェルちゃんに固執する? 他に付き合ってる人間がいるはずのお前がな!」
「黙れ! 1度だけ言う……レイチェルと別れろ! 俺がレイチェルと付き合う! だから今すぐ言えよ! "私はレイチェル・フィアンクスと別れ、佐村義人様と付き合うことを承認します"ってな!!」
「お断りだ! 第一そんな方法で付き合って、長続きすると思うか?」
最早俺の話を佐村は全く理解していないようだった。こんな男がハーレムにも似た状況を作っていたという事実に反吐が出る。
佐村の話は、まるでどこぞの宗教団体の教祖のようだった。事実、佐村が作っていたハーレムはまるで宗教団体にも似ていた。
「そうか……ならば……今ここで死ね」
佐村はポケットから刃渡りの長いナイフを取り出した。
「お前……ここで俺を殺してレイチェルちゃんがお前を好きになると思うか? むしろ末代までお前のことを呪うと思うがな」
「うるさい! お前が死ねばレイチェルはお前というしがらみから解放される、つまりお前がいなくなればレイチェルはお前という悪魔から解放されたことを感謝して俺のことを好きになって俺のハーレムに入って幸せになるんだよ!」
最早安い小説でも見ないような世界観。本当に佐村の頭はいかれているらしい。
だが、佐村が俺を殺そうとしているのは本気のようだ。唯一の出口は佐村の真後ろにしかない。
最悪窓から飛び降りれば脱出はできる。だがここは3階、飛び降りれば命の保証はない。
まさに背水の陣。どうすればいい?
「そこまでよ! 佐村義人!」
ドアが開く音がする。そこには、レイチェルちゃんと北村先生がいた。




