危機的状況
いよいよ最終章でございます!
原田の葬式の翌日。その日は普通に学校がある。
あまりの虚無感に久しぶりに学校へ行きたくなかったが、レイチェルちゃんが許さないと思うし仮に休めてもレイチェルちゃんを巻き込むことになってしまうので行かない選択肢はなかった。
今日もいつものように学校へ通い、いつもの教室へと向かう。
家から高校までは比較的近く、だいたい20分ほどで到着する。
そのためホームルームまでは5分から10分ほどの猶予があり、その間はレイチェルちゃんと適当に話したのち定位置につくことにしているのだが……
そこに、佐村がやってきた。
「レイチェルさん! 今日放課後、2人でちょっと話しませんか!?」
「……何? 告白なら受け付けないわよ? 私にせいちゃんがいることはわかってるはずよね?」
佐村に告白という名の脅迫を受けたことを今もなお根に持っているレイチェルちゃんは、明らかに不機嫌になる。
本来なら怒りを露わにしたいところだろう。だが、周りの迷惑を考えるとそれはできないだろう。
更に言えば……今いる女子生徒のほとんどは佐村の味方だ。そんな状況下で佐村に対して怒りを露わにしてしまったら……
「いやいや! 別に告白とか大した話じゃないですよー! 僕はただ単にレイチェルさんと話したいだけなんです!」
「あの時私にしたこと、忘れたとは言わせないわよ? あんなことしといて私とあなたで2人きりになれと? まさかとは思うけど……」
ここでチャイムが鳴る。先生が来る前にレイチェルちゃんと佐村はそそくさと自分の席に座る。
俺はこの後レイチェルちゃんが何と言おうとしたかある程度察しがついた。だが言葉にしてしまうのは憚られる。
その後昼休み、放課後と佐村はしつこくレイチェルちゃんに接してきていた。
だが、レイチェルちゃんはそれらも適当にかわし、俺とともにそそくさと帰路に就く。
SPがついてきているため、さすがに家まで押しかけてくることはなかった。
「えー!? そこで6のゾロ目!?」
俺はレイチェルちゃんの家に遊びに行き、レイチェルちゃんの部屋でバックギャモンに興じていた。
バックギャモン、遡ること古代エジプト時代にルーツを持つ、いわば「難しいすごろく」だ。
「青天兄さんって肝心なところで6のゾロ目出すよね……勝負の神様の生まれ変わりだったりして?」
「そうか?」
俺が青の駒、レイチェルちゃんが赤の駒。ゲームは俺が優位に進めていた。
5ポイントマッチで俺が3ポイント、レイチェルちゃんが1ポイントという状況。
このゲーム、レイチェルちゃんがダブルをかけており勝てばポイントが2倍のゲームになっている。
フォーレくんも手に汗を握りながら、ゲームの様子を見守っていた。
結果は俺がシングル勝ちで5ポイントになり、俺の勝利で終わる。
気がつけば時刻は18時になっていた。
「もうこんな時間になってしまったな、俺は帰ることにするよ……すぐそこだけどな」
「もう1回やろうよー、ご飯ならうちで食べてけばいいからさー!」
「いやいや、あまりレイチェルちゃんの家に世話になってもよくないしな……」
「私たちがせいちゃんと一緒にご飯を食べることを迷惑に思うと思う?」
レイチェルちゃんはこの負けが気に食わないらしく、もう1戦やろうとしている。
だが、俺は家に帰ることにした。
家に帰ると、郵便受けに小包が入っている。
それは俺宛になっており、送ってきた人もまた身に覚えがない。
まさか、連続殺人の"犯人"がまた俺宛に誰かの死体の一部を送ってきたのか。
不安になり、俺はこの場で開けてしまうことに決めた。
俺は中身を見るや否や、またしても驚くことになる。
中身は、「レイチェルと別れろ さもなくばお前は死ぬ」と書かれた紙と、大量の虫やネズミの死骸が入っていたのである。




