葬式にて
さすがに親友ともあらば……ということで俺は原田の葬式に参列する。
家族や親戚の人々が、「何故連続殺人の餌食になるのだ」と皆涙していた。
俺の他に、夏草高校のクラスメイトとして参列しているのはレイチェルちゃんしかいない。
恐らく原田の友人だった人物も、自分以外ほぼ全員連続殺人の餌食になってしまったのだろう。
「お2人さん……ありがとうございます……クラスメイトとして参列していただいたのはあなた方だけです」
原田の母に感謝される。
「いえ……」
レイチェルちゃんは終始無言だった。
葬式を終え、俺は2人で帰路に就く。
「レイチェルちゃん……本当にどうして"犯人"は夏草高校の男子生徒ばかり狙って殺すんだろうな」
「わかんないよ……でも私もせいちゃんが殺されたらどうしようって思うもん」
「俺がもし殺されたら……その時はどうする?」
「私はずっとせいちゃんのことを想い続けるよ、誰とも付き合わないつもり」
レイチェルちゃんの会社の財力と技術力なら俺を蘇らせることなど容易いことなんじゃないか?
それでも一瞬たりとも「死ぬ」なんて瞬間は味わいたくないものだが。
それに俺が「蘇った」として、それは本当に今まで生きていた「俺」なのだろうか?
……何か嫌になってきたから考えるのはやめよう。
そして家に着く。
今日はどうも虚無感に苛まれているので、そのまま自分の部屋のベッドに寝転がる。
スマートフォンを付け、電話帳の中の原田の項目を開く。
そこには、原田の電話番号とメールアドレスが映し出されているのみ。
俺はこの電話番号にかけて、最後に少しだけでもいいから原田と話ができないかと思った。
しかし、そんなことができるはずはない。
「……レイチェルちゃんがもし本当にあの夢のようになっちゃったら、意外と涙も流さないでこうして虚無感があるだけなのかな」
俺は自分の他に誰もいない部屋でつぶやく。
喪った時に最も悲しくなるのはレイチェルちゃんで、それ以外は喪ってもそんなに悲しくないんじゃないかと考えたことがあったが、それは全くの間違いであった。
虚無感に耐え切れず、俺はレイチェルちゃんに電話をかける。
『もしもし?』
「レイチェルちゃんか? どうしてもちょっと気分がすぐれなくてな……」
『そっか……原田くん死んじゃったのがショックだったんだね……』
この後しばらくレイチェルちゃんと話すことで、少しは虚無感が紛れた気がする。
だが、俺とレイチェルちゃんに、最大の試練が降りかかることになることを、今の俺とレイチェルちゃんが知る由はなかった。




