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青空の下で  作者: 青山 てん
1/6

中学サッカー

ピーーーーーーッ

試合開始のホイッスルがなった。

これが俺の中学校生活最初の試合。

前にはボールとトップが二人、隣には俺とコンビを組むもう一人のボランチ、後ろには二人のセンターバック。

そして、背中に響くキーパーの十人を鼓舞するような大声。

─メンバーは少し変わったけどまたサッカーができる…!─

頬を叩き、気合を入れ直すのとほぼ同時にボールは軽く前に蹴られた。

***

「あぁー、疲れた」

新入部員歓迎試合というこの学校、欅ヶ丘中学のサッカー部の伝統行事を終えた新入部員二十一名は疲れきった様子で荷物置き場に倒れていた。

新入部員である一年生達の試合ぶりは酷く、合計三試合全て上級生に大差で負けてしまった。

「いやー、ボロボロにされたけど、蒼井は上手いな!」

そう言われ、俺、蒼井遼太は声の主の方に倒していた体を起こした。

声の主の名は石川秋哉。中学に来て初めて会ったやつだが、クラスが同じで出席番号も前後だったこともあり、今ではよく話す友人だ。彼は攻撃的な右サイドハーフのポジションで五〇メートルを六秒六という足の速さを持ったいわゆるドリブラーで貴重なレフティーである。

「そんなことねぇよ、先輩達強すぎる」

「十分通用してたって」

正直なところ、蒼井自身もそこそこ通用したとも思っていた。だが、それは石川に関しても同じであったし、肯定するのも恥ずかしいという気持ちから上手く濁した応答をしていた。

石川もそれ以上話すことはなく、この話題はここでおわった。

今日の試合、結果的には三戦合計 十三対二で負けた。

それでも二点取ったのは蒼井だった。これが蒼井自身の通用したと思える理由であった。

一点目は石川のクロスからのヘディングシュートだが、二点目は中盤からドリブルで三人を抜き決めたゴールだった。

これには先輩、顧問も賞賛の声を上げていた。

(あとは、フィジカル面を強化していけば十分中学でもやっていける…!)

そう思った時だった。

「今日10番を付けてた、蒼井と言ったか?ちょっといいか」

と、顧問である桂木が来た。

桂木は多めの髭を生やした五十代の男だ。

外見はかなり怖いが、内面はそこまで怖くない。かと言って優しいという訳では無いのだが。

「はい」

応えて俺は立ち上がり、前を歩く桂木の背中を追った。

桂木が立ち止まったのは、この学校のシンボルである大きな欅が作り出す木陰だった。

「今日の試合、お前はやってみてどうだった」

「フィジカル面での差は大きいと思いましたが、技術面ではそこそこ通用したと思います」

そんな蒼井の回答に桂木は笑いながら話し始めた。

「はははは、大した自信だな。だがそれは俺も同じ意見だ、お前なら上の代の試合でも通用する」

なんと言っていいか分からず、蒼井は黙って次の言葉を待った。

「三年生が引退する来月までは一年生のメニューをこなしてもらうが、引退後新チームには絶対Aチームとしてやってもらいたいと思っている、頼むぞ」

俺は内心喜びながら、その一方で複雑な感情で「はい、よろしくお願いします」とだけ、応えた。



異世界ゲームと並行して書いていきたいと思います第3作「青空の下で」

自分の中でのサッカー小説のイメージはとにかく制作が難しそうというものでしたが、自分の大好きなサッカーを小説にするというのは、昔からの願いであったのでとても嬉しく思います。

最後に、異世界ゲームの方もどうぞよろしくお願い致します!

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