表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

今後の事

 ディリへ戻った俺は、依頼品とインガル糸以外を素材屋へ売りに行った。

 そして宿屋へ行き宿を借りた。


 そしてラインドの家へエメラを自慢しに行った。

「おーいラインド居るかー。」

「マイル帰ってきたのか。って誰だそれ。」


 エメラは軽く会釈をした。


「廃鉱行ったら拾った俺の嫁だ。」

「意味が分からんわ。」

「まあそうだよな。でもそういう訳だから宿屋借りたと伝えにな。」

「どういう訳かは半分分かったが、詳しく話せよ。」


 そしてまた夕飯を馳走になりながら廃鉱であった事を話した。


「エメラちゃんの事の話より、インガルスパイダーをそんな楽に倒せる話の方が気になったぞ。」

「ラインドの興味はそっちかよ。」

「あのう、あの蜘蛛はそんなに強いんですか。」

「そうだなあマジックシーフ[1]なら下手をすると、一撃で死んでるかも知れないよ。下手に動かず叫んだのは正解だろうね。」


 エメラは血の気が引いた青い顔をしている。


「それとエメラちゃんよ、クラスレベル[6]何て滅多に出会わないからね。君は相当運が良かったと思うべきだよ。」

「は、はい。」

「そんなレベルならある程度名声もあるだろうし、一杯嫁が居てハーレム持ってても可笑しくない。」

「俺はエメラ以外特定の女はいねーぞ。遊び女は良く買ってたがそれすらもうサヨナラだ。俺はコイツさえ居れば良い。」

「ベタ惚れじゃねえか、聞いてるこっちが恥ずかしいわ。」

「幾らでも言ってやるよ。エメラ守るためなら何だってしてやるよ。」


 自分に言い聞かせる意味でも宣言しておく。


「おいエメラちゃんの顔が赤くなってるじゃねえか。いい加減にしとけ。」

「流石に恥ずかしいわよ。」

「赤い顔のエメラも可愛いな。ようしもっと言おう。好きだ、大好きだ。いつまでも一緒にいてくれ。」


 するとエメラに頭をどつかれた。

 恥ずかしいから人前でそんな事を言わないでだと。

 人前じゃなければ良いと言うことか。

 宿屋まで我慢しろと言う事だな。


 そんな馬鹿話をしつつ夜も遅くなったので、ラインドに食事の礼を言い宿屋に戻った。



 俺はもう我慢が出来ん。そう思いながら借りた部屋に入ると寝床にエメラを押し倒した。

 そのまま胸を揉んだり顔を埋めたりした後、服を捲り上げた。

 大きく形の良い胸の先がこっちを見ている。


 そしてエメラの唇を奪う。


 しかし何も抵抗も反応もないエメラだと思い顔を(しっか)り見てみると、目から大粒の涙が(こぼ)れていた。


 自分の欲望に必死で、何も見えてなかった。

 エメラは嫌だったんだな。

 そして大好きな女を泣かせてしまうと、こんなにも胸の奥が痛いものだと言う事を初め知った。


「ごめんな。俺が一方的に好きなだけだったよな。お前の気持ちとかそんなの何も考えてなかった。嬉しくて舞い上がって気付いてなかった。済まなかった。エメラはそこで寝てな。俺は床で寝るからよ。」


 そう言ってる間もエメラの目から涙が止まること無く、流れ続けていた。

 それを見てると滅茶苦茶胸が痛い。

 そうだよエメラは遊び女とは違うんだ。金払えば股を開くあいつ等とは違うんだ。

 何を勘違いしていたのだろう。


 ああ・・・罪悪感で今日は寝れそうにないな・・・。

 裏の仕事で暗殺とかしても、こんな気持になる事は無かったというのに。

 罪悪感なんていつ以来だろう。




 結局朝まで色々思い悩んで起きていた。


 エメラを抱きたかったが、お互いこんな状態ではどうにもならん。

 本当に嫌だったんだな、嫁の話は無しにしてやろう。

 惚れた女に泣かれるくらいなら開放してやる。


 エメラが起きるのを待とう。

 寝顔に涙の痕が残っている。それを見付けてまた胸の奥がが痛い。



 数時間するとエメラが起きた。

 顔を見るのもこれが最後かと覗き込んでいたから、意識がハッキリしてくると目を見開いて俺を見、そして動かなくなった。


「大丈夫だもう何もしない。」

 首を傾げながら俺を見ている。

「嫌だったんだろ、嫁になれって言った事を撤回する。もう自由だ。」

「私はこんな何もない所に置いてかれるの。」

「何なら近くの街まで連れて行ってやる。」

「でもお金も何もないから、一人じゃどうしようもないのよ。」

「ある程度生活出来るくらいの金ならやる。」

「わ、私はもう要らないって事?」


 何でだよ。何でまた目に涙浮かべてんだよ・・・。

 分からねえよ。何が駄目なんだ。


「なあ、どうしたら俺はお前の涙を止められるんだ。」


 何も答えてくれない。


「本当はお前を手放したくない。だが俺の事が嫌いで、無言で泣いてたんだろ。惚れた女に泣かれるくらいなら離れた方が良いんだよ。心が痛いなんて初めてなんだよ。どうすりゃいいんだよ。」


「嫌い・・・じゃないよ。顔は・・・好き。でもまだああ言う事するのが、怖いの。貴方の事も良く分からないし、もしこのままの流れで子供とか出来て捨てられたらどうしようとか考えて、気が付いたら涙が流れてたの。」


「捨てる訳がない。」

「それは貴方自身が思ってるだけで、私には分からないもの。」


 確かにその通りだ。


「じゃあまだ一緒に居ても良いか。」

「うん。それに私も戦い方を覚えたい。」

「なら俺は暫くエメラを抱かない。抱き抱える事はするかも知れんが、それくらいはいいか?」

「うん。」

「む、胸も揉んでいいか・・・な。」

「う、ううう・・・うん。」

「どっちだよ。嫌なら嫌って言えばやらない。」

「良いよ。」


 それを聞きつい拳を握ってしまった。

 それをジーっと見られていた。


「口づけはやめた方が良いだろう。昨日もそれで泣かれたから。」

「もう一回も二回も三回も変わらないよ。」

「して良いのか。マジか。良いのか。」

「必死過ぎでしょ。」

 なんて言い苦笑いしている。


「嫁の話はそのままで良いのか。」

「いいよ。でも今直ぐじゃなくて、もう少しマイノールの事も知りたいかな。」

「分かった。俺の全てを見てくれ。」

「ちょっ、ちょっと何脱いでるの。」

「先ず俺の全て(裸)を見て貰おうかなと。」

「今は結構です。」


「じゃあ最後に俺を殴ってくれエメラ。」

「何でよ。」

「昨日お前を泣かせてしまった事に対する償いだ。だから思いっ切り殴ってくれ。」


 何故か深い溜息をつかれた。


「分かったわ。」

「いつでも良いぞ。」


 そしてエメラを見ながら歯を食いしばる。


 少し勢いを付け拳を振り上げている。

 頬を殴られると思った・・・ら、エメラの右腕が俺の首に巻きついて、唇を奪われた。

 柔らかかった。


「貴方相当馬鹿ね。これで許してあげる。」


「あ、あのー。」

「うん?」

「もう一度いいですか。」

「ダメ。」

「そこを何とか。」

「ダメ。これがお仕置き。私からの口づけだけ、許可する事にしようかな。」

「え、それは、えええーー。」


 次に来る時までこの感触を、忘れない様にしなければならないのか。


「冗談よ。でも時と場合は考えてね。」


 胸を撫で下ろす感覚も久し振りだったな。

 ほっと一息なんて何年振りだ。

 しかしさっきまで全て終わりだと考えていたから、今は非常に晴やかな気分だ。




 宿屋に昼食を作ってもらいそれを食べた。


「いま着ている変わった服だけど綺麗で可愛いんだが、このままだと汚れたり破れたりするだろ。

 今から服屋で服を買おう。そして防具や武器も買おう。」


 もうエメラが本当は刺客だったとしても良い。エメラに殺されるなら俺も諦めは付く・・・本望だ。

 その後エメラを見られなくなることだけが心残りになりそうだな。

 などと考えていた。



 服屋で自由に服を選ばせそれに着替えさせた。

 ああもう何でも似合ってそして可愛い。


 白っぽい布服で下が短い為へそが見えている。

 ズボンは今のままで良いという。

 胸元からチラリと覗く峡谷。

 下から覗けば二つの丘が見えるのではないか。

 そしてスラリと伸びた脚に吸い寄せられそうだ。


「こ、これでいいのか。」

「特に可愛い服無かったからこれでいいよ。」


 俺には十分、衝撃的だった。

 次は武器と防具を買いに行く。



 武器は軽いものが良いと言うので、ダガー系を薦めておいた。

 だが選んできたのはショートスピアだった。


「これ何か軽いの。」


 だから何でこの装備屋には、こんなものが置いてあるんだ。

 セリットスピア

 これは普通のショートスピアよりやや短く取り回しやすいが、リーチを活かした攻撃を殺す事になるので使い手を選ぶ。その為売価もやや安い。


「これはセリットスピアって言うんだ。少し短いけど中々いい武器だぞ。」

「これが良い。」

「次は防具だな。」

「防具ももう決めたよ。これ。」


 布装備だと。お前はマジック系だがシーフだろう・・・。

 そう思っていると試着したエメラが出て来た。

 ああ・・・良いなこれ。


 ふとももの両方にスリットがあり、前後は足首くらいの丈だ。

 頭からスポっと被る様な服だった。


「初めて見た防具だな。えーっと。」


 ミーズリーオール、初めて聞いたな。魔防具か。ならマジックシーフには良いのかも知れんな。


「あとこの靴とこの手袋。」


 こいつ・・・全部魔防具じゃねえか。


 ギリギリだ。財布の中身がキリギリだ。

 鉱石での儲けも含めて本当にギリギリだ。


「むうう。」

「あっ、高いのなら靴と手袋要らないよ。」

「いや足りるから買う。お題はその胸で払って貰うから気にしなくて良いぞ。」

「いやー、それはそれで気になるんですけど。」

「へっへっへっへっ、もう遅ーい。これ全部下さーーい。」

「ああああ・・・・私の胸があああ。」

「減るもんじゃないし良いだろ。増えるかも知れんが。」

「そう言う問題じゃない。」



「よーしこれ着て来な。」


 そして頬を膨らませたまま奥へ着替えに行った。



 いやーやっぱり何着ても可愛いなあ。

 もうエメラだったら、何着ても可愛く見えてるのかもしれないな。


「フッヘッヘッヘッヘッヘッ」

「何かいやらしい笑い方だね。何考えてるのかな。」

「内緒だな。」


「じゃあ明日になったらディリを出発してバリアルスって街へ向うぞ。俺の本拠地で家も有る。今のうちにラインドに挨拶しておくか。」



 ラインドは仕事が終わり家に戻ってきていた。


「俺明日バリアルスに戻る事にしたわ。色々世話になったな。ありがとよ。」

「俺だって面白かったし色々教えて貰ったからな。またディリに来たら寄ってくれよ。」

「次はいつか分からんけどな。また友に会いにくるさ。」

「はっはっはっはっ!」

「へっへっへっへっ!」


「あ!そうだそうだ。エメラがさショートスピア選んだんだな何かスキル一つ教えてやってくれよ。」

「それくらいなら直ぐ出来るが一つで良いのか。」

「もうあの話忘れたのか。まあマジックシーフでも使えそうなのを頼む。」

「んじゃこれにしよう。ファストエイミング。」

「ああそれなら良いな。中々いいセンスだな。」

「一気に距離を詰めて性格な突きを出せるスキルだ。回避が難しいからよく当たる。」


 必要なアイテムは俺が持っていると言い、教わり方を教え二人を並べる。

 前がエメラで後がラインドだ。

 ラインドがエメラの頭を両手て包むよう押さえ、そのスキルの動きをイメージしておく。

 そしてスキル伝承用のアイテムの煙を二人に吸わせる。


 これでスキルがラインドからエメラに伝えられた。


「エメラはこのスキルだけを只管(ひたすら)使って[5]以上まで上げる事。そしてやっと次のスキルだ。」

「もっと欲しい。」

「沢山あっても弱いと使い物にならないんだ。使えるスキルを持ってからじゃないとすぐに死ぬ事になるぞ。

 俺はエメラにそうなって欲しくないから教える。俺の知ってる事は全部教えてやる。」

「分かったわよ。」


 ちょっと不貞腐(ふてくさ)れているエメラも可愛い。


「んじゃまたな。おやすみー。」

「おうまたなー。」


 こうしてラインドと別れ宿屋に戻り最後の宿泊をする。

 特に今日もエメラとは何も無く、胸を揉んでるとエメラが恥ずかしかそうにしていたくらいだった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ