先祖返りするたばこ自販機
久々に書いたのは、大好きな「たばこ」のお話。
自他ともに認める愛煙家で、寝ている時と吸えないところ以外では大抵すぱすぱとロングピース、なければハイライトをくゆらしているのだが、そんな自分にとって青天の霹靂、というべき出来事がいよいよ間近に迫ってきた。一度もカードを作ることのないままに、たばこ自販機の年齢確認システム・タスポがその歴史に幕を閉じることとなってしまったのである。
なんでも年齢認証に使うための通信回線がガラケーと同じ規格だとかで、あちらのサービス終了に従う格好で来年三月の廃止が決まったらしい。もっともこれは、全体的に喫煙人口が減ったこと、わざわざ自販機を探すよりコンビニで対面で買う方が楽だから、という切実な理由もあるらしい。
考えてみると、吸いだしたころから幾年月、自販機を見かけるよりもコンビニ、街角のたばこ屋へ行くことの方が多かった。品ぞろえの点でも店の方が分があったから、まあこうなるのは時間の問題だったのかもしれない。
ところが、案外需要はあるもので、タスポの廃止と入れ替わるように新しい種類のたばこ自販機が早くも出現し始めた。免許証かマイナンバーカードをリーダーに差し込んで買う、古いタイプのお酒の自販機と同じようなシロモノである。こいつはあと付け改造が可能らしく、古いタイプのくすんだ自販機にクリームがかった真新しいリーダーがついているのを何台か見ている。ちなみに、こいつはお酒の自販機にもついている場合がある。古いやつよりかなり動作の精度は高そうでちょっと安心した(ろくにメンテナンスをしていないやつに出くわしたことが何度かあった)。
それにしても、当節風なマイナンバーカードはともかくとして、免許証を差し込むタイプが復活したというのはちょっと意外だった。一番所持率が高い身分証明だから、ということなのだろうけれど、先に書いた古いお酒の自販機のイメージが強いせいかどうも「返り咲き」という印象が強い。
残念なことに、愛飲のピース、ハイライトが入っている自販機が少ないせいかまだ新型リーダーのお世話にはなっていない。やっていればなるべく対面で、街角の小さなたばこ屋などのお世話になりたい、という気持ちが強いせいである。
とはいうものの、ああした店もかなり少なくなってきた。否応なしに自販機のお世話になる日も近いのかもしれない。もっともその前に、近場のコンビニへ駆け込みそうなのだが……。
時代の流れというやつがちょっと寂しい、そんな気がした。
次は知り合いの酒飲みの話でもしようかと思います。