つられて話すもおこがましいが…… ~懐かしき関西弁の話~
他愛もない話って、こういうのを言うんでしょうかね。
年末以来久方ぶりに関西出身の友人と長電話をした。
中身自体は他愛もない近況報告だったり世間話なのだけれど、その最中にふと思ったのが、相手の関西訛りに合わせてこちらも関西弁になっていた、ということ。
幸か不幸か、長い間郷里を離れて西日本にいた割に僕はデフォが関西弁になる、というような器用なことはなかった。下手な関西弁を使って顰蹙を買うのも嫌だし、というわけで別段深い事情もないのだが、やっぱり相手が関西弁で話しているとつられて相槌なんかは見ごとに染まる。
なんというか、引っ張られる感じがあるのだ。
比較的イントネーションの大人しい新潟に比べれば陽気な調子の関西弁なのだから、まあ水はなんとかに流れる、という式にそうなるのだろう。ともあれ、久々にこんなことのあったのが懐かしくて筆を執ってみたわけだが――。
思い出すと、相手の関西弁も多種多様であった。そりゃまあ、大まかにくくれば「関西弁」というわけだが、内実を見ると大阪弁、京都弁、滋賀弁、兵庫弁というのはなかったが、地域ごとに結構音の上げ下げも違う。世間にあまり知られていないのが、「~はん」と呼ぶのは大阪だけ、ということ。実際これは鴨川浮音の中で「警部さん」と浮音が呼んでいるのに反映されている。もっとも、そのあたりはわりとごちゃまぜにはなっていたりするから些末なこだわりともいえるのだが。
で、話を元に戻すと、同級生でも住んでいる地域が違うと微妙に言葉が違う、ということに気付かされる。大阪でもキタとミナミでは面白いくらい違う。「河内のオッサンの唄」を地で行く、というと言いすぎだけれど、あんな感じ。
他では、短い付き合いではあったがいわゆる良いところのお嬢が同級生にいて、絵にかいたようなコロコロとした鈴の音のような穏やかな京都弁であった。で、時折女の子同士でのやりとりでお上品な皮肉が混じるのがまァなかなか見ていて面白かったのは別の話。
ところがここで滋賀のほうへと移ると、これぞ滋賀弁……というような感じの経験はなかった。なんというか、見聞きした範囲では「ひ」と「し」が入れ替わる人が多い、という印象は強かった。サ行とハ行がごっちゃになる。そんなのは江戸っ子だけだと思っていたが、どうも専売特許というわけではないらしい。
で、そんな多種多様な地域から離れてみればどうかというと、実をいうと我が郷里新潟県も結構方言は地域差がある。なにせ県が縦に長いから無理もないのだが、最端どうしだったら同じ兼なのに全然方言が通じないかもしれない。
その辺の追及・探求はまあいつかするとして、なんとなく、懐かしい場面であった、というので話の結び。
ちなみにウチダ勝晃はなぜか地元の方言も出ません。どこで生まれたんだっけ、となります。