ウエイ防衛命令BC486 2月 20日
デマラトスの視点で書くと話が進みづらい・・・やっぱまだ慣れてないんでしょうね。
アーシア君も年貢の納め時です。
年貢取立てに将軍やってきました・・・
=BC486 2月 20日 カンピーア近郊 デマラトス=
「ウエイの防衛に戻れというのか!」
ローマからの騎兵の伝令が告げた内容にデマラトスは顔をゆがめた。
「はい、元老院の決定です。トラキアーノ軍団はエトルリア勢力に攻撃されているウエイ救出に向かうこと。ローマからの増援がつくまでウエイを防衛すること。以上の2点です。」
「ここから、ウエイに行くよりローマから直接の方が早いじゃないか!もう川向うはカラブリア地方だ!戻るのに1週間はかかるんだぞ!!」
デマラトスは川向うのカンピーアの街を指さした。
「現在ローマでも編成が行われていますが、編成次第カイスラとの戦線に投入されています。ウエルツナからの攻撃にはウエイ防衛隊が単独で当たっている状態です。至急援軍に向かってください。」
・・・
カンピーアの街はカンパーニュ地方の安定を考えると落としておきたかったが、現状を聞かされるとそこまでの余裕はなさそうだ。
とりあえず騎兵をおいていき、歩兵は全部移動させる。
カンパーニュ地方の治安維持に足の速い騎兵は必要不可欠だ。
2個騎馬隊すべて残し、10個百人隊で移動することにする。行軍ついでに現地で募集した新兵の訓練も行いながらウエイに向かえば腹立ちも少しは収まる・・・そう考えた。
「しかしエトルリア国家に南下する余力があったとは・・・まだケルトが引き上げるには早い時期だ。どうやって打ち払ったんだ?」
俺の呟きに伝令が丁重に返答した。
「それが、ケルトの光明神の息子がポー川以南を自分の領土と宣言して、イタリアに入ったケルト人を殲滅するとの噂が流れたようです。」
「噂?」
その程度で彼らが北に戻るとは思えなかった。
彼らは現実に飢えているのだ。食料を手に入れられなけば苦しむ。
それに対して噂程度では効果があるとはおもえない。
「実際にはゲイボルグと名乗る騎兵が打ち払ったらしいですが・・・」
ゲイボルク・・・クーフリンの槍の名前か。なんとなく腹が立ってきた。
こんなことを思いつくのは、ギリシアの光明神の教皇だな・・・符合点が多すぎる。
「どうせアーシアがクーフリンと名乗ってケルトをだましたんだろう。」
残念なことに伝令は細かいことは伝えられていないらしくアーシアという人物を知らなかった
「了解した。直ちに北に向かう。」
伝令を帰すと直ちに軍団に命令を出した。
アーシア、つくづく邪魔してくれる。
南下したところを迎撃と考えていたが、そのままケルトを追い払うつもりとは思わなかった。
エトルリア連合を縛っていた手枷を壊してくれたおかげであいつらが暴れだした。
いまやトラキア人の根拠、ローマを守らないわけにはいかない。
史上最大の詐欺師が宗教家というのも皮肉な気がするが・・・今回は乗せられてやる。
ウエイ攻防戦の間に兵士を鍛え、カンピーアの攻略法を考えてやる。
後で今回のこと後悔させてやるぞ。
=BC486 2月21日 ピレウス近海 アーシア=
「ご主人様、アテナイが見えます。」
「ピレウス港か、入港するぞ!ソバネス艦長入港準備!」
マストにピュトン旗が掲げられ、アポロ教皇御座船であることを明示する。
縮帆しオールでの移動に切り替えると、ゆっくりとピレウス港に侵入した。
ソバネスは以前イオニア号の副長だったがキモンのエジプト王転出に伴い昇格した。
他にも船長のうち数人がシベック船団の指揮官(提督)に転出したため入れ替わっている。
「さて、義父に挨拶に行かないと怒られるだろうな・・・」
「ご主人様、その心配は意味がないですよ。ほらあの桟橋の先の人物。」
コリーダが指さした先にはガタイのいい老人が・・・ミルティアデスだ。
「とりあえずキトンに着替えて、正装で会いに行かないと怒られそうだな」
ひとまず船室に降りて着流しからキトンに着替える。寒いのでヒマティオンを上に羽織る。
キトンもヒマティオンも白に銀糸で刺繡が入った。アポロの祭事に使う正式なものだ。
問題はないだろう。
まさかこの世界で「お嬢さんをください」宣言させられるはめになるとは・・・いやもうもらってはいるから「長いことほおっておいてすみません」か。
早いとこ結婚宣言しておけばよかった。後悔先に立たずとはまさにこのことだ。
船が近づくにつれ、ミルティアデスの表情が晴やかな笑顔であるのが判った。
接岸と同時に彼は船に乗り込んでくると、
「婿殿、話は聞いている。一緒にサモス島に行くぞ!」
肩をバンバン叩かれながら宣言されてしまった。
こんなことならコリントス寄って師匠も乗せてくれば良かった。
サモス島までミルティアデスの話相手とか・・・気が重い。
サモス島まで1週間はかかるんだから、話題が尽きるのは目に見えている。
上手くごまかせればいいんだけど・・・




