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閑話「ヘラクレイトスの手紙」

ヘラクレイトスからミルティアデスへの手紙です。

マケドニアの説明回みたいなものです。

あのころ彼らは、こうやって大量の手紙を出し合って行動を決めていたんですね。


アリキポス商会会頭 ヘラクレイトス より アテナイ ミルティアデス将軍へ


取り急ぎ、手紙での質問の内容を回答する。


ヘレネ島侵攻で指揮を執っていたカリアス家が凋落したのは痛いが、テミストクレスと協調して、この難局を乗り切ってほしい。

今は君がアテナイで最も重要な位置にいる。くれぐれも自重してくれ。


さて、先日報告したデマラトスの総督(サトラップ8)着任の対応だが、アーシアは今デルフォイで、何か画策しているようだ。

進捗があれば随時伝える。


それと頼まれたマケドニアの概略だが、以下に記しておく。


現在、マケドニアの王は在位9年目のアレクサンダー1世である。


父王アミュンタス1世がペルシアに服属して以降、ペルシアの従属国になったマケドニアであるがアレクサンダー1世は親ヘレネス派としてクセルクセス1世の遠征(ペルシア戦争前期)に多くのヘレネスを救う行動を行った。

またこの時期にマケドニアは領土を広げ、沿岸地域を占領した。


マケドニアは木材の産地としてヘレネスに知られており、アテナイとの関係は木材供給を通じて深いが、のちのちアテナイがエーゲ海の覇権を目指すときは、敵対したり、協力したりという虚々実々の関係となると思う。


しかしヘレネスに比較し、辺境のマケドニアは、まだ遊牧民の緩い結合によってできた地方体としての側面が強い。

ポリスも存在せず、住民の帰属意識も部族どまりで、マケドニアへの帰属というものに対してはあいまいなものである。


ここで、アレクサンダー王のオリンピアへの参加に端を発した、「アルゴス人を祖先とするヘレネス」という主張は民族の帰属意識の改革という面で大きく取り上げなくてはならない。


この結果、彼らは同胞ヘレネスであると認められたことにより、マケドニアに属するものは先進地域のヘレネスと同じ人種と認めてもらえるとの判断が加わったのである。


もちろん現実的な利害関係に比べれば優位性は低いが、他に判断材料がない場合には「錦の御旗」は天秤を傾ける力を持つ。

アーシア曰く、マケドニアは王家の内乱は頻繁に起きるが、地方単位の反乱は起きないそうだ。


挿絵(By みてみん)


これはデルフォイの書庫より出してきたマケドニアの古地図を複製したものである。

これを基にアーシアが木綿布に作ったのが


挿絵(By みてみん)


である。文字は代表的な部族と地名だ。


アーシアの図によりマケドニアは川と湖に恵まれた周囲を山で囲まれた地域であることがはっきりとわかる。

赤い破線は現在の勢力範囲、薄い赤の実線は、対ペルシア戦争防衛線の構築予定ラインである。

一見してわかるように、防衛線は川を境にしているものが多い。


これは川の両岸の木を伐りだして川に流し、下流で木材として加工するとともに、川の両岸の見晴らしを良くして、こちら側に見張り台を作るつもりらしい。

アーシア曰く「帝政ローマのゲルマン民族防衛線のマネです。」ということだ。


たしかに利点は大きいため採用したいが・・・それだけの人的資源、資金をどうするのか?

諸ポリスに分担させるにしても、どのように分配するか相談だけで戦争が起きそうである。


このあたりはアーシアに任せるしかあるまい。


テミストクレスには木材の供給についてマケドニアに使節を送るよう進言してくれ。この話が進めば大量の木材が切り出される。船用には必須だろう。


コリントスは現状問題ない。今のところは新しいおもちゃを与えれられたばかりの子供のように、アリキポス商会の新製品を心待ちにしている。しばらくはペルシアの影響は妨害できそうだ。


ペルシアの影響といえばヘタイラのタルゲリアはどうしてる?

できれば、捕まえてコリントスに送り込んでほしいのだが・・・


最近、パンドラがコリントスから離れたがらなくて、・・・いや離れにくいだけなのかもしれないが・・・代わりの北航路用客船の歌姫がほしい。


こちらなら船内で監視できるし、彼女も護衛がつけられるので、強硬派の襲撃を防げる。

お互いに有益な取引だと思うのだが?

なるべく急いで頼む。


ラケダイモンは相変わらずだ。

マラトンの戦いに参加できなかったのが、よほど悔しかったらしい。

スパルタ海軍に急速展開軍の常設を申し入れてきた。

もっとも、金がないのでヘイロイタイの供出で何とかしてくれるよう頼んできている。

おかげでアリキポス商会はいつまでたっても儲からない。

だいぶ稼いだはずなんだがな・・・


金といえばアーシアがイベリア半島の金山の場所を神託してくれた。

一口乗るなら連絡してくれ。

こっちも採掘用の奴隷がほしい。ラウリオン銀山から回してもらえると助かる。




しかし俺も46才になった。・・・髪の毛のせいでそう見てはもらえないが・・・

あんたも61だ・・・お互い年をくったもんだ。

若い連中が育ったら、どっかでのんびりしたいな、お互い働きすぎだ。



追伸)近いうちにスパルタ王家のエウリュポン家からキモン家に使者が行くはずだ。オロロス殿に姫を嫁がせたいらしい。直系ではなく傍系だがアレティア姫という。対応よろしく頼む。


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