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第1回接近遭遇BC487 11月30日

デマラトスはアーシアの能力の一部を持ったままですので、当然チートも一部コピーしてます。

完全ではないのですが・・・誰かの手助けがあれば未来視に近いこともできます。

ということでチートVSどチートのイタリア戦役が始まります。

=BC487 11月 サレルノ南方 アーシア=


「なんだこれは?」

思わずボクは呟かざるをえなかった。


目の前に広がる景色にはそれほどの違和感があった。


ここはネアポリス南部60kmの平野である。近くの丘からローマ側の防衛陣地を見たのだが、まるで函館の五稜郭そっくりの配置をしているのである。


少なくとも砲撃戦の考えがないとこの形状は出てこないはずなんだが・・・

火力そのものが存在しない世界で出来上がる形ではない。


簡単に形を言えば1辺200mの正三角形を二つ重ねたダビデの星になっている。

その形に堀を掘って、出た土で土塁を作って、堀の効果を強化している。

三角形の中にも通路用の塹壕がめぐらされ、腰をかがめれば地面に頭を出さずに移動できる。

要所要所には交番のような石造りの見張り小屋があって防御力を強化している。


本当に何を考えて作ってあるんだ、この星型要塞?


敵からの攻撃方法は投げ槍が主体だが、投げ槍器の採用もあって最大射程は100mを楽に超える。

こちらもエジプトで見たことはあるが南イタリアで見るとは思わなかった。


陣地内部には大量の投槍がストックされているようで雨のように降ってきた槍で偵察隊が大怪我をして帰ってきた。


この形は少なくとも15世紀以降の形状のはずだ。一体誰がこの形にしたんだろう?


=BC487 11月 サレルノ南方 デマラトス=


「軍団長、敵偵察、撃退しました!」

「ご苦労、引き続き警戒してくれ。」


アーシア軍との接敵が始まった。

あのピュトン旗は間違えようがない。

土塁と石の見張り台を組み合わせ、堀を巡らした、この陣地は作るのに2週間かかった。

普段の宿営地なら2時間程度なので、もう建築物といっていいと思う。

おかげで全周に対する防御力と確認力を手に入れることができた。


形状については夜寝ているときに夢の中で思いつかされた。

最初は陣は四角を考えていたのだが、三角形の組み合わせの方が死角が少ないと示唆された。

攻撃方法も投槍と投槍器が必須だと同時に思いつかされた。

具体的な闘いの様を夢で見せられたのだ。


兵士には時間があるときには土塁の強化と槍を削らせていたのがここにきて余裕を生んでいる。

いまや、一人当たり50本以上の投槍が準備され、敵が見えた今でも兵士は必死に作り続けている。

材料は木の枝だ、中央に山ほど備蓄がある。燃料として、建築材として、そして投槍の材料として使い道はいくらでもあるので、可能な限り運び込んでいた。


サレルノからの補充も1日で到達する。

ローマからの増援が到着するのは半月程度だろう。

騎兵の使者はもう北側から出発した。

引き付けてローマ全軍で壊滅させる、待ってろよ。


=BC487 11月 サレルノ南方 アーシア=


「総隊長、攻略法は思いつきますか?」

「いや、まったく。」


ボクは星型要塞を見ながらパンティティスの質問に答えていた。

実際、土塁だがあの規模の要塞を落とすとなると数千以上の兵力が必要だろう。

手元にあるのはサルピズマが26騎、スパルタ海兵が100人、タラント兵200であり、他の兵力はネアポリス近海での海賊行為に供出していた。


「でも、あの陣地、いい形だな・・・」

「は?」

「防御力も高そうだし、投槍も目の付け所がいい。」

「はあ?」


「パンティティス、お前は海兵とタラント兵を率いてカラブリアにあの要塞を作れ。」

「はい?」

カラブリアとはイタリア半島つま先の部分である。

「ポセイドニクスは血の気が多い。そういう作業は不向きだ。アリストダモスをつけてやる。」


「総隊長は?」

「残りの連中で初志貫徹だな」

パンティティスは不満そうな顔をしていたが、一言説明をするとにこやかにカラブリアに向かうことになった。


=BC487 11月 サレルノ南方 デマラトス=


「アーシア軍、歩兵南に向かっています。」

見張りからの連絡が来た。

「南に?撤退か?」

「いえ騎馬隊とピュトン旗は丘の上でとどまっています。」

南方に戦線構築でもするつもりだろうか?

いずれにしろ追撃するには騎兵が邪魔だ。

「騎兵の動きに注意しろ。」

そう言ってから、かなりの時間がたった。

「敵騎兵に動きが見えます。全騎丘を下り、こちらに向かってきます。」

待っていた連絡が入った。

デマラトスは急ぎ南の見張り台に向かう。

騎兵20騎足らずで何をする気なのか?

見張り台につくころにはピュトン旗は陣地南500mまで迫っていた。


煌びやかな馬への掛け布、長武器や弓を構えた騎馬隊。

噂に聞いたことがあるサルピズマだが実際に見るのは初めてだ。

それぞれがスパルタ親衛隊員並の力量という噂も伊達ではない雰囲気を漂わせている。

(あの連中、率いてなら、万の歩兵にも突っこめそうだな。)

デマラトスの心は昂った。

久しぶりに全力で暴れまわれるかもしれない。

所詮はスパルタンか・・・闘いが大好きでならないのは変わらなそうだ。

彼らは陣地の300m先で急に駆けだすと、左に大きく曲がった。

兵もいいが馬も早い、たちまちに東側に回られる。

(やられた!)

いま東側は南に比べれば弛緩して隙があるだろう。


ところが驚くことに彼らは東側全面を悠々駆け抜けると、そのまま北に向かった。

そして、たちまちのうちに姿が見えなくなる。

(・・・やられた)

「騎馬隊を出せ。追撃させろ!!」

命令を出しながら俺は怒り狂っていた。よりにもよって無視だと・・・絶対潰してやる。


あの時、アーシアはパンティティスに笑いながらこういっていたのだ。

「入国目的は観光サイトシーイングです。ってローマに申告しに行ってくる。」

アーシアの目的って本来偵察なんですよね。

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