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ヘレネ島戦終焉

久し振りにクトゥルフがらみの回です。

まあリビア編の種まきクラスですが・・・

ここまででマラトンの戦いが終結です。

・・・本当はここまでが改革に入る予定だったので変更して正解ですね。

カッターから降りたアーシアを呼び止めたのはサンチョの声だった。

「殿、こちらをご確認下さい。」

言われるままにサンチョの横の死体をのぞき込む。

「この剣を持っていました。」

サンチョが鞘にいれた剣を渡してくれた。

剣を引き抜くと見事なダマスカス模様が浮き出た刀身が夕日の残光を照り返した。


「100ドラクマはくだらないな、柄の刻印といいエウリュポン家の近衛兵の持ち物だろう。サンチョお前がもらっておけ。」

「よい剣なので嬉しいですが、王家の刻印はまずいかと・・・」

「レイチェルがエウリュポン家だ。スパルタ海軍所属だし問題はなかろう。」

アーシアはそういうと指揮官の死体を調べ始めた。

中肉中背、全身細マッチョな理想的戦士体型、ドーリア人の特徴が強く出た顔。

間違いなくラケダイモンだろう。


「ん、これは?」

男の胸の部分、サンチョが矛で突き刺した部分に、焼印らしいものがある。

噴き出した血で見えなったようだが、血糊をふき取ると模様の入った5角形が見えた?


挿絵(By みてみん)


(・・・ナトコ五角形)


頭の奥底で誰かがささやいた感じだ。


「なぜ、これが・・・?」

「何ですか、この模様?」

横からサンチョが覗きこんできた。

「たしかナコティカって本が、この時代にあるはずだ。ハイバーボリアの魔術師が書いた魔導書でその中にあるはずだ。魔法の印だよ。」

「何に使うんですか?」

「たしか時間遡及の魔術薬とかに使うはずかな、他もあるとは思うが?」


「総隊長、兵士が変なものを持ってます。」

「変なもの?」

いぶかしげに報告したサルピズマもとにサンチョが向かった。

アーシアもその後ろについていく。


「このコインです。」


挿絵(By みてみん)


「エイボンの印じゃないか!」

アーシアが叫んだ。


「eibon?何ですか、それ?」

「魔術の印だよ。なんでまた?」

(エイボンの印はニャルラトホテプの力に対抗する印のはずだ。実際に効果があるかはわからないが・・・姫様や俺の魔術を警戒しているということか。)


「デルフォイの秘密に相当通じてる人物がいるようだな。」

「デルフォイ・・・というとやはりスパルタ王家でしょうか?」

「ああ、追放王デマラトスが絡んでいるのは間違いなさそうだな。」


周囲を十分に捜索したが他に誰も見つからなかったので、漕ぎ手も動員して遺品を収集して死体の埋葬を行った。

遺品には価値のあるものも多く、ペルシア軍が急いで撤退した様子がうかがえた。

埋葬した遺体は1500体に及んだ。

・・・この数を考えると、アテナイのガレー船6隻の船が見えないのは、漕ぎ手ごと奪われて脱出に使われたとみるべきだろう。


「この男が殿しんがりを務めた決死隊隊長ということか。」

最後に指揮官を埋葬しながらアーシアがつぶやいた。

「恐ろしい使い手でした。不意を打たれても、私に傷を与えるのですから、部下だと瞬殺されたでしょう。」

アーシアはうなずくことで賛意を示した。


「しかし、まいったな。これでペルシア軍の中でデマラトスの名前が響き渡っただろう。今後の作戦は彼も参加してくるぞ。」

「戦術眼もあるようですし、近衛兵も厄介ですね。」


サンチョと話していると、キモンが駆け寄ってきた。


「父上、対岸のスニヨン岬から伝令の小舟カッターが来ました。状況を報告せよ。とのことです。」

「ミルティアデスか?」

「はい。実父ミルティアデスです。」

「わかった。カッターに案内してくれ。軍司令官ボレマルクとして直接話そう。」


アーシアはキモンにメッセニアを応急修理して曳航し、分遣隊をファレロン港にもどすように命令した。

そして自身はカッターに乗りサンチョとコリーダのみを護衛にして、スニヨン岬に向かった。



「アーシア待ったぞ。なにがあった?」

到着したアーシアにミルティアデスは平然とした態度を装い尋ねた。

「アテナイ海軍が独力で攻撃を仕掛け、完敗しました。スパルタ海軍が到着したときには、敵の主力は脱出していました。」

「三層櫂船が燃え上がっていたのでそうではないかとは思ってたが・・・」

「奪われた船は六隻、これから考えると敵は二〇〇人程度だったと思われます。」

「そうか。」

「被害は戦闘員300名、漕ぎ手1200名の1500名です。」

「な、1500名・・・」

あまりの数にミルティアデスが絶句した。

それはそうだろう、マラトンの戦いで81人しか犠牲者を出さなくて済んだ直後だ。


「海軍指揮官に連絡願います。遺体は埋葬しました。遺品はイオニア号がファレロンまで輸送します。」


ミルティアデスはアーシアの言葉に力なくうなずくと伝令を仕立てていた。


(・・・ほんとに、これから先は異なる歴史になるだろう。アドバンテージはなくなったな・・・)

「一旦、師匠ヘラクレイトスと相談するか。」

あわただしくなるスニヨン岬でアーシアは一人、今後の計画を立てていた。

特殊技能(神学)ランクF→ランクEに上がりました。


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