ヒュアキンティオス
パエトンがアポロの子供というのは古代ローマで書かれた「変身物語」に基づくものです。
太陽神とアポロ神の混淆はBC4-5世紀になっているのでBC490だとギリ始まりくらいです。
もっともアーシアのせいで歴史が若干進んでいるので現在進行形になっています。
あとプトレマイオス朝の有名なクレオパトラは7世です。いっぱいいたんですね。
太陽神と言えば本来ヘリオスのことだが、アポロの息子パエトンが太陽の車を暴走させ撃ち落されたのはナイル川と推測される。
アポロ自体もデルフォイで聞いた話では、現在進行形で太陽神との混淆が進んでいた。
パエトンもヘリオスの子供だったりアポロの子供だったりしたが・・・まあ都合がいい方を使えばいい。
アポロ語録に
「私は万事に節制をもって望んでいる。節制を持つことも節制しているのだ。」
とあるし、問題ないだろう。
そういえばエジプト神でアポロと最も似ているのはラーでともに光明神だ。
ただ具体的に現世に働きかけるのにアメン神(太陽神)と合祀されてアメン・ラーとなっている。
だからテーベのアメン神はヘルメス・アポロを合祀したあとのアポロ神が一番近い存在になっているはずだ。
「よし!」
「どうしたパトラ?」
いきなり頷いたボクにメネラオスは疑問を覚えたようだ。
「メネラオス。デルフォイの巫女の秘密なんだが・・・秘密を墓の中まで持っていける?」
「なんだ、それは?そこまで重要なことなのか?」
「アポロ神と直接かかわるアレティアと呼ばれる人々のこと。」
「?」
「スパルタの王統にかかわる女性たちの話になるの、洩れると困る。」
「だったら、話さない方が・・・いや、わざわざ言ってきたということは、話す意味があるということか・・・了解した。話さないことを誓おう。」
頭がよくて助かる。
「ワジ、出入り口の兵を見張っていて、こっそりとね。」
「わかりました。パトラ様。」
ワジが監視をはじめたのを見て、耳元に口を近づけささやいた。
「アポロ神の歴代の巫女の中に3人だけ永遠の命を持っている巫女がいるの。」
「はぁ?」
「そのうち二人は女性なんだど、最後の一人は・・・どういえばいいんだろう。両性とも経験中というべきなのかしら?」
「最後の一人の意味が解らないが?」
うん、そうだね。自分で言っててもよくわからなかった。
「昔は男性だった。今は完全に女性になっている。」
「・・・アポロ神の別名に両性神とはあるが神話の秘話か?」
「経験中といったでしょ、いまは女性。男性に戻れるかは不明なの。」
メネラオスは、それのどこが重要な話につながるかが理解できないようだ。そうだよな。
「最初の女性は出身はスパルタ王家、もう100年以上いきているけど、外観は成人直後ぐらいよ。」
「ええー、実在の人なのか。」
メネラオスは思わず声をあげてしまった。
「声を出さないで!」
小さく鋭く注意する。
メネラオスは口を手で押さえてコクコク頷く。
「彼女の本質は不老と共に同胞の記憶を覚えてることなの。スパルタに関しては今から200年前までは精細に覚えているわ。」
メネラオスは目を大きく見開いて驚愕している。
「スパルタの双王家を数代に渡って、神託で定めた人よ、もちろん、現王も含めてね。」
メネラオスは口を押えたまま声が出ないようにするので精一杯のようだ。
それとボクに対して、若干の不信が瞳に浮かんでいる。
「なんで、そんなことを知っているのかという顔だけど・・・最後の一人がボク。アルクメオン家当主の父にしてアポロ教皇、アーシア・オレステス・アリキポス・アルクメオンなんだ。いったろ最後の一人は両性を経験中って。」
彼女の反応が消えた・・・驚きすぎたらしい。
今のうちに本題に入ろう。
「で、ここからが本題なんだけど、ボクら3人の不老についてはファラオの魔術が絡んでいるのよ。それも昨日あの王錫を持っていたファラオの秘法なの。」
ここからが本題の部分で、メネラオスに驚愕が奔ったけど・・・ファラオの話を聞いて、口を手で押さえたままアウアウ言い出した。
「あのファラオの名前はツタンカーメン。失われたファラオにしてアメン信仰を復活させた第18王朝のファラオよ。ボク達3人は彼が作らせた黄金鏡・・・・それか!」
いままで何か引っかかっていたのに、モヤモヤしたままで、それがわからないまま忘れていたことを思い出した。
「ワジ、アルカイオスに使いに出てくれ。」
「はい、なんでしょう?」
「一緒に会った部屋にあった黄金鏡を借りてきて。ついでに手に入れた情況も。」
そう言ったあと、見張りのことを思い出した。
メネラオスに許可を取ってもらうかと彼女に視線を向けた。
「メネラオス、ワジの外出の・・・」
「ワジが・・・」
「はい?」
ワジに視線を戻すといなくなっていた。
地面に「朝までには戻ります。」と書いてある。
・・・え、忍術でも使った。
「メネラオス、ワジを見てたよね?」
「地面に何か書いていて、それを注視したらもういなかった。」
あれ?まあいいや、出かけたようだ。
「あれがクルナ村に伝わる盗賊の技なのか。初めて見たぞ。」
メネラオスの呟きで思い出した。そうだ、クルナ村って盗賊の村か。
「それで、さっきの話の続きだが、パトラはアーシア教皇ということでいいのか?」
「まあね、アポロ神殿の上層部は知ってる。でも他には教えても信じてもらえないと思うから言わないけど・・・」
「まあ、途方もない話ではある。あのファラオの墓の件が無かったら私でも無理だろうな。」
「それで、ボクの立場なんだけど、「アポロ神の聖嫁」になろうと思えば、なれるんだけど・・・メネラオス・・・養女にならない?」
一瞬だけメネラオスの動きが止まった。
「驚かされ続けてきたが、まだ驚けるとは・・・」
「正式な証明とかはアレティアに用意させるとして、受けてもらえば太陽神の聖嫁の養女という肩書をあげられる。名前はクレオパトラ2世になると思うけど、受ける?」
「受けるとも!」
この形をとれば第25王朝と同じような形をとれるはず。神様は違うが・・・プトレマイオス朝の後をついだアウグストゥスも、神になったカエサルの養子ということで、神の子としてエジプトを治めたんだから神が違うぐらいは多分大丈夫だろう。
その後は、メネラオスにリヴィアのペルシア軍の状態などを聞かせてもらいながら、今後の計画を立てていた。
もっとも翌日早朝の
「敵襲!!」
の一言ですべての計画が吹き飛んでしまったのだが。
ようやく次回からデマラトス陣営が出てくるはず・・・だよね。




