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クルナ村の地下で

ちょいお墓参りが入ったので更新遅れました。すみません。

で、黄金なんですが、この時代だと近場ではペルシャかアテナイぐらいしか換金できなかった可能性が・・・

金の使い道って装飾以外にはあまりないですし、水銀アマルガム法が無いと鍍金も無理。

アクセでも作るぐらいしか。

ということで需要がありそうな場所ってヘレネス領域(スパルタを除く)とペルシャぐらいなんですよね。交換後硬貨や食料等に変えたとすると・・・可能性が高いのはペルシャかなー?

クルナ村には盗掘や贋作作りを家業とするものが多く集う。

しかし、彼らがその作業だけを行っているかというと、そういう訳ではない。

彼らは普段は農民として働き、副業として盗掘や贋作を行うのだ。

クルナ村のほとんどの農家は至極まともな農家なのだが、家業を行う家々とは血縁関係で結ばれている。

このため外部からの調査ではどの家が家業を持っているかはばれにくい。


そして、それらの家業をもつ家では、純粋なリヴィア人ではなくギリシャ人やアジア人の血が入っていることが多い。

これは盗品や贋品の売りさばきを行う流通経路というか、売買を行うためにこの地に土着した人々が原因である。


リヴィアではまだ貨幣を使うようになって日が浅い。

このため商取引に関しては先輩であるフェニキアやギリシャの商慣習が用いられている。

そのためクルナ村ではギリシャ語が一般的に用いられているのである。

特に・・・市場では・・・ギリシャ語が標準語といっていい。


「おう、メネラオス。この間はありがとな。」

黒い肌、カール気味の黒髪、外観はどう見てもリヴィア人の特徴そのものの男性が流暢なギリシャ語で話しかけてくる。

違和感バリバリである。


その挨拶に、メネラオスも声を出さずに片手をあげてそれに答える。

なぜか・・・親指と小指だけ立ててるが?

「親父に用ならピットだ。」

そういうと彼は他の客に向かって干し魚を売るべく声を張りあげた。


・・・あれって秘密の符牒かなんかかね?ありそうだけど。


「メネラオス、さっきの手の形って?」

「ん?何の意味もないよ。」

まじまじと顔を見る。


「ああいう目立つことをすれば、周りに注目されてすぐにばれるだろう?」

言われればその通りだ。

「大体、普段も手の形は無意味に変えてるしね。本当の符牒は別、手に注目させてる間にやっておいた。」手品師みたい。そこまでやるんだ。


「ピットてどこ?」

「彼の自宅だよ。」

そこまでいうと声を潜めた。

(ここで細かい説明は、まずいから後でね。)


そういうことで高台の穴居式住居群に向かった。

メネラオスは山の麓で穴の数を指で数えていたが、目的地がわかっているようで一直線に向かっている。

こっちにはさっぱりである。何しろ似たような洞窟が碁盤目のように並んでいるのだ。

間隔も高さもバラバラならまだ目星がつきやすいのだが、整然と並んでいる様はわざとやっているとしか思えない。

これなら、事前に場所を知らないかぎりは、どの穴が彼の自宅かわからないだろう。

(タワーマンションで部屋番号なしに探せっていうのと一緒か。)

「大丈夫か?」

ボクが立ち止まったのに気付いたメネラオスが声をかけてきた。

「どこに行けばいいのかはわかってるんだよね?」

「ああ、あそこだ。」

彼女が指さした先は竪穴群の真ん中やや左上気味の穴だった。


「知らない人は絶対に行きつけないよね。」

「まあ、そのための符牒だしな。」

「符牒?」

「親父はあそこ、伯父貴はあっち、兄貴はあそこ・・・」

メネラオスは次々と別の部屋を指さした。

「全部、一人むらおさの部屋だ。」

・・・つまり、市場では今日どこにいるかも教えていたのか。


メネラオスは目的の穴に着くと、そのまま中に入っていった。

挨拶もなにもなしだ。

穴はさほど深くはなく10mもなく終わっていた。

奥には乱雑に木箱や麦藁なかには棺らしいものも転がっている。


ほの暗い穴の中は、明るい外の日差しに慣れた目には見づらかったが、ひんやりと涼しく快適だった。


「こっちだ。」

ようやく目が慣れたころ、メネラオスが声をかけてきた。

彼女は奥にあった木の棺を動かすと、その下に隠されていた穴に入り込んだ。

慌ててボクもあとにつづく。


飛び込んだ先は松明で照らされた通路になっていた。

ただ寒いぐらいに涼しい。

湿気も多そうだ。途中で分岐の穴も見えたので、他からも来れるようになっているのだろう。


たぶん、この通路はもともとは鍾乳洞だったと思うのだが、手を加え、鍾乳石を折り欠いたらしい天井と平らな床をもつ、石造りの通路になっていた。


「ずいぶん立派な通路だね。」

「ああ、数百年かかって作られ続けてきたらしいからな。」

おそらくは盗賊の村ができて以来の歴史があるのだろう。

だとすれば、この手の入れようも納得できる。


通路を50mも進むと立派な木の扉が前を塞いでいた。


村長むらおさ、メネラオスだ。王墓の情報を手に入れた。」

メネラオスは扉の前でそう告げると、扉が開くのを待った。


「はいりたまえ。」

扉の向こうから渋いバリトンが響いてきた。

その声を聴くと、メネラオスは躊躇なく扉を開けた。


松明の明かりに浮かび上がる、扉の向こうにいた人物は、ヘレネスだった。

おまけに思ったより若いような気が?


「メネラオス、そちらは?」

「今回の情報を持っていたクレオパトラ嬢。アポロ教皇の側近です。」

「ほう、アーシア教皇の側近か、とすると情報の元は?」

「神託です。」

「・・・以前なら占いよりはまし程度だったが・・・あの教皇になって以来、神託の精度が段違いだ。期待していいのかな?」

そこまで言って村長はボクにお辞儀をすると自己紹介を始めた。


「初めまして、クレオパトラ。私はクルナ村の代理人をしていますアルカイオスと申します。」

「代理人ですか?」

「ええ、メネラオス様は、いまいち我々、民主主義の平等と分権という概念が薄いようで、村長と勘違いされています。」

外観は30後半くらい。髪は黒の直毛、肥満体形に白い肌・・・軍人とは思えない。文官の代理人というのがピタリとくる。


「でもクルナ村が民主主義で運営されているとは思えないのですが?」

「ああ、失礼しました。私はコリントス市民です。アリキポス商会様とも取引させていただいたことがあります。」

「アリキポス商会と・・・・リヴィア産のもの・・・もしかしてエールですか。」

「さようです。麦芽パンを樽で12個ほど送らせていいただきました。」


この会話で双方が、信用してよいらしいとの判断が共有できた。


「さて、では内容を伺いましょう。」


「まずは分け前を決めましょう。」

メネラオスが話に割り込んできた。

「クレオパトラ様はいかがです?」

「そちらはメネラオスに全部委任していますので」


アルカイオスは一つ頷くとメネラオスとの交渉を始めた。


二人が言葉でのつばぜり合いを始めると、時折来る質問に答える以外は暇になってしまった。

財宝の総量がファラオの黄金のマスク2枚プラス黄金の日用品2000点と言った時にはアルカイオスも目を見張ったが・・・


この部屋は6畳間ぐらいの大きさだが松明は1本で済ませている。

その代わりに数多くの鏡を配置して部屋全体は明るく保たれていた。

そんな鏡を眺めているうちに、何か見覚えのある文字が刻まれた直径30cmほどの鏡を見つけた。

近づきじっくり観察すると、その鏡に彫られていたのは線文字Bらしかった。

(なんか引っかかるな?)


「パトラ、相談がまとまった。正確な場所を教えてくれ。」

鏡を覗き込んだときメネラオスが声をかけてきた。

「ああ、了解。王家の谷の中央の作業小屋、その付近のラムサス6世の砂山・・・・」

アルカイオスが取り出してきた王家の谷の地図を見ながら、中央付近の場所を指さしていく。

真剣な顔で二人が見つめる。


「確かに、アーシア教皇絡みのようですね。予言が細かい。」

アルカイオスは松明を外すとついて来いという感じで手を振った。


彼は扉を開けると外に向かって歩き出した。

ボク達も後を追いかけついていった、その時にはボクの頭から鏡のことは消えていた。

ちょっと話のテンポが遅いですねー、そろそろかえる男と対決してる予定だったんですが・・・

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