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トラキア王家

エジプトの医療の神ってセクメト神が多いんですが、セクメト神自体がハトホル神の分身だったり、頭がライオンのせいか猫の頭のバステト神(バスト神)が同一視されたりと結構ゆるいです。

まあ神話の成立が千年単位なので時代と地域によるといわれれば、それまでなのかもしれませんが・・・


ボクはメネラオスの肩に突き刺さっていた投槍を、引き抜くとキトンの裾を裂いて包帯にする。

抜くと出血云々とは言うが、投げた相手も相手だ。

刺したままはいろいろと怖すぎる。

包帯ときつく巻いて止血した。


思ったよりも軽い傷で命には別状なさそうだ。

(なんで気絶したんだろう?)

あまりに軽い傷に余計、不安感が湧きあがる。


キトンの残りを使ってメネラオスを背負いあげた。

意外に軽かったので、そのまま神殿に向かって戻り始める。

松明は2本に火をつけ、両手にもって進んでいく。


暗い洞窟はすぐに岩肌が灰色に変わった。

空気も幾分温かく感じる。


念のため、さらに100mほど進み、そこでメネラオスの手当てを始めた。


装備品は帽子(兜?)、胸当て、脛当、籠手、いずれも牛の革だと思われる。

油の引きもよく手入れのいきとどいた品だ。

適度に竹材で補強が入っており、軽くて丈夫そうだ。

「結構いい装備だな。この革ひもで止めてるのか。」


運動靴のように革ひもがクロスして締め上げる構造になっていた。


革ひもを緩め、全てを取り外し、肩の傷の手当てを始めるため、キトンを脱がそうとした時だ。


ん・・・胸帯アポディスム?・・・推定サイズAA(泣) 鎧の下当代わりかな?


・・・ん、腰帯ゾーナ


まさか・・・・ないとか・・・


!!


あ、ああーーない!ーー女性だ!

マジかい。


言われてみると男って言ってた記憶がないような・・・そうやってバタバタしていた時である。


メネラオスの目がパチリと開いた。

そのまま、こっちを凝視している。

息の詰まる数瞬のあと彼女はこっちに飛びかかってきた。


「ママ―」


もう目が点である。

こ、声が女性に・・・なってる。


「ママ、待ってたのに、いい子にしてたのに、おそいよー。」


・・・はい?


「ペルシアに人質に送られて、どれくらいたったと思ってるの!」


・・・???


「ママ、ギューっとして。」

逆らうすべもなくメネラオスを抱きしめる。

しかし頭の中は疑問符の塊である。

一体何が起こってるのか。


「ママどうしたの?何か変よ?」


いや、そりゃママじゃないから・・・


「やっと帰国なの?パパは?」


メネラオスは、どうも幼児退行してるような感じがする。

これが一時的なものか、インスマウス人の能力かはわからないが。


ともあれ神殿に戻るのは必須だろうと、もと来た道を戻ることにした。

メネラオスは無言でマントにしがみついてきた。


洞窟を抜ける間、ボクのマントの裾をしっかりつかんで離さないメネラオスのせいで、ちょっとまずい状態になっている。

もっとも両手がふさがってるのでそこしか掴まるところがなかったのも事実だが・・・


ボクのキトンは残骸になっており、腰に巻くしか使い道がなかった。

途中の水たまりのせいで濡れてやたらに重く垂れさがってくる、おまけで透けている。


その上はマントのみって・・・自分の姿を想像した。


これは、いわゆる露出狂のスタイル!

しかも助手付きとか、考えたくない。


神殿に人がいないことを神に祈ろう。

どの神に祈ればいいのか真剣に悩むが・・・


幸いにして階段に差し掛かったところで松明を1本消し片手を空けると、メネラオスは裾を放し手を掴んできた。

(良かった、これで痴女の汚名だけは免れる。)


急な階段を登っていくと、神殿の隠し扉の縁から陽の光が見えてきた。

表側からは見えないが、裏側からだと丸見えである。


どうやって開けるのか、いろいろ手探りでやっていたら・・・ただの力技で横にずらすだけだった。


神殿の中に戻った瞬間、安堵のあまりへたり込みそうになった。


飛び込んだ亀裂の部分からイシスが這い出してきたところだった。

どうも亀裂の付近で遊んでいただけらしい。


「メネラオス、とりあえずバステト神殿に行こう。」

イシスの顔をみて思い出した。

エジプト神話で医療の神はセクメトかバステトのはず。

どっちかに行けばメネラオスの治療ができるはずだ。


「メネラオス?誰?」

・・・女性ってわかった瞬間に思ったけど、やっぱ偽名なんだ。


「今、なんて名乗ってるの?」


ボクの問いに彼女は顔をしかめて

「トラキッコ プリンピキッサ アイゲイオ (トラキアのエーゲ王女)」


この子、トラキア王家出身か


「でもお母さんがつけてくれたアグネスの方が好き。」

幼名がアグネス(純粋)か・・・現状の皮肉にしか聞こえないな。


「じゃあアグネス、お医者さんに行って傷を治しましょう。」

「うん!」

無邪気に頷く彼女。外観が20くらい、だからすごい違和感がある。


アメン・ラーの神殿を出ると参道を挟んで斜め前にバステト神殿が見えた。

(あれ?・・・そういえば神殿に入った時の記憶がない。)


アメンラー神殿の隣にはセクメト神殿がある。

(えーと、両方あるってのは想定外)


バステト神殿に行くって彼女に言ったこともあり、ボクはまずバステト神殿を訪問に向かった。

やっと、メネラオスの正体が出せた。

ここまで指示語で「彼」「彼女」を使えなかったので書くのがしんどかったです。

彼女の本当の目的はもうちょっと待ってね。

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