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ダゴンの眷属

きました定番半魚人!

でもアーシアにSANチェックは効かないぞ。

だってマイナスだもん(笑)

というのは冗談として、パトラ・アーシアは異常にSANチェックに強いです。

ナコティカ読んで減少SAN値軽減とかある上にいろんなのに会ってるせいで、これくらいなら精神に被害は来ないってレベルが異常に高くなってたりします。え、わからない?そんなことはないですよね(笑)


メネラオスが洞窟の角を曲がった。

曲がり角を赤い炎が照らしズシャという音がして背負い籠が地面に投げ捨てられた。

すぐ、ピシャピシャという水溜りを歩く音が響いてきた。


「パトラここで迎え撃つ。その角から照らしてくれ。」

「了解!」

ボクは剣を握る手に力をこめ曲がり角に急いだ。


気のせいか剣の重さが微妙に重すぎる気がする。

(あれ?)

剣をよく見ると、銀色ではあるがちょっと金色がかっている。


「ラオス、この剣って何製?」

「たぶん銅製。」

「たぶん?」

「知りたきゃ、墓のファラオに聞いてくれ。大丈夫、切れるから。」


どうやら盗掘品らしい。

銅製(青銅製)というのもわかる気がする。


ともあれ角に急いでいくと、その先はひざ上程度の水溜りになっていた。幅は3m程度だろうか。

メネラオスは直径1m程度のテーブル状になった太い石筍の上に立っている。


「ラオス、そこの足もと滑らない?」

当たり前の疑問がわいたので聞いてみた。


「足元は平気。もうすぐミイラも来るかもしれないから、燃えないように水があるところで戦わないと・・・」


言いたいことはわかった。

たしかに洞窟の中で洞窟で有毒ガス発生は勘弁してほしい。


「パメラはそこで予備の松明にも火を移して、こっちを照らしてて。討ちもらしがいたら頼む。」

「了解!」


そんなやり取りをしている間にも生臭い空気はどんどん濃くなってきた。

気づけば洞窟特有の誇り臭い空気が、粘つくような青臭い臭いに代わっている。


「来る!」

メネラオスの鋭い一言で闇が溢れた。

まるで昏い洪水のようにミイラ作りが地面を流れてくる。

ときおり白い布切れが混じっているのはミイラだろうか?


洪水は勢いを止めることなく水溜りに突っ込み、水飛沫を上げた。


次の瞬間に水飛沫は黒い波に変わっていた。


「え?」

瞬きをする間もなく、敵が二つに切れていく。


両手に剣を構えたメネラオスが右左の洞窟の壁と石筍を蹴りながら移動している、いや跳んでいるといった方がいい。


落ち着いてみれば洞窟の幅から考えても敵は横に2・30匹程度のはずなのである。

ただうねうねと流れるように動くのでものすごい数に見えるのだが・・・


「ハッ!」


メネラオスは一振りで2.3匹を斬りとばし、右に左に飛び回る。

すでに100匹近い数を斬りとばしているはずだ。

その証拠に水溜りの淵には肉でできた土手ができ始めている。


「助かる。今日は明るくて見やすい。久し振りに墓まで行けそうだ。」


わずかな襲撃の切れ間に、お礼を述べてくる余裕っぷりだ。

どれだけ強いんですか・・・


今まであった中で最強の男というと間違いなくデマラトスであろう。

ただ、どちらかというとメネラオスはコリーダのような速度主体の戦い方である。

そして、この場で見る限り、コリーダより強い。

(スパルタの親衛隊クラスか。とんでもないな)


一呼吸で息を落ち着け、再びメネラオスは斬り飛ばしに入る。

こちらの岸までわたってきたのは今のところ0である。


「よし、半分!」

喜色に富んだ声が洞窟に響く。


=ドシュ=

その瞬間、空気を切り裂いて、投槍がメネラオスの右肩に突き立った。

空中で錐もみを起こし、真っ黒になった水溜りにラオスが墜落する。


「ラオス!」

心臓を冷たい手でつかまれたような衝撃に襲われた。

松明をその場に放り出すと、水中に突進する。


すぐさまラオスを岸に引きずり上げる。


=ボコン=


鈍い音を立てて肉の堤に投槍が突き立った。

ラオスを引きずり上げ、その上に覆いかぶさると、落ちていた火のついた松明を力いっぱい放り投げた。

洞窟の奥に回転しながら飛んで行った松明は、地面に落ちるとあたりを照らす。

そしてそれは投槍を数本抱えた異形の人影を映し出していた。


それは人だった。


のっぺりとしてミイラ作りを思い出させる真っ赤な粘液が、紫の斑点に覆われた体を包みこんでいる。

左腕は全面紫の肌でおおわれているが、明らかに右腕よりも二回りは小さく縮んでいる。


「あ・あ」


その顔は口は大きくカエルのように横に裂け、唇はない。

そして目が・・・・ない。

目のあった場所は白い目蓋でふさがれ、開くことはないようだった。

しかしその目蓋の下で目が動いているのが見てわかる。


「インスマウス人!」


たいていの人なら発狂しかねないが、不幸にも旧神達とすらあったことのあるボクだ。

すぐに気を取り直した。


その時、下にしたメネラオスの腰のあたりに硬いものを感じた。


「ん?」


それはテラコッタで作られたボールのようなものから導火線が出ているものだった。

(アポロンの矢!)


どうしてメネラオスがこれを持っているのかは後回しだ。すぐに点火するとインスマウス人に向け投擲した。


=ドゴォーン=


大音響とともに洞窟は崩落を起こし、落ちてきた瓦礫は王家の墓への道を埋め尽くし封鎖した。


「ふー」


ともあれボクは気を失ったメネラオスを背中に背負うと、元来た道をゆっくりと戻り始めた。

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