狼煙
現在、絶不調です。
プロでもないのにスランプとか・・・笑うしかないのですが・・・
頑張ってはいるのですが書く速度がナメクジ並みです。
ちょっと更新ペース乱れますがご勘弁ください。
原因はわかってるんで7/12過ぎれば戻るとは思います。
ドキドキタイムが終わると昼寝の時間である。
メネラオスは何事もなかったように入り口近くの敷物に横になった。
・・・確かに何もなかったけれどさ・・・
3時過ぎくらいまで約3時間の昼寝と聞かされた。
熱い時間帯を避けて夕方遅くまで活動するのがリヴィアでは一般的だ。
5時からから10時まで、15時から19時までが普通の活動帯らしい。
今は外は灼熱の熱さで眩く光っている。
(これは普通の家じゃ中の人間がもたないわね。)
おそらく、日向の表面温度は石だと70℃は超えているだろう・・・気温は絶対に体温より高い。
この家でも、そとからの隙間風がドライヤーみたいな熱風である。
もっとも、そのおかげで岩下なのにじめつかないので、この家にとってはプラスなのだろうが・・・
部屋の中に竈がない。たき火の跡もないので煮炊きは外で行っているようだ。
(まあ、絨毯敷いてるんだから・・・火の気は厳禁なんだろうけど)
かろうじて火を扱ったらしいのは蚊遣りを焚いたらしい素焼きの皿だけだ。
その上に白く灰が残っている。
外側に編み込んだ木の枝。
内側にはレースよりは目の詰まったカーテンといった方がいいのか、目の粗い生成りの麻布を日差しを防ぐために垂らしてある。
家具はチェストが2つ、それだけである。
武器とか鎧も家の中にはおいてないように見える。
家の観察もすぐ終わってしまったのでボクは寝入ったらしいメネラオスを見つめていた。
(綺麗・・・)
顔立ちは王族だけあって整っている。
年齢を聞き忘れていたが、たぶんボクと同じか、ちょっと下くらい。
年齢のせいで男性的というより、どちらかというと中性的な雰囲気がある。
(まつげ長いのね、唇はリップ塗ったみたいだし・・・女の子みたい。)
とはいえ革のベストをつけたまま剣を抱いて、マントにくるまり、寝てるところは兵士そのものである。
ぼーっとしながら、かなり長い時間、顔を見つめていたと思う。
「ん?」
入り口の垂れ幕の隙間から見える景色に、赤い物が空に登っていたような気がした。
「どうした?」
ボクの漏らした疑問の声でおきたらしい、メネラオスが声をかけてきた。
・・・まさか、ずっと起きてたとか・・・ないよね・・・
ちょっと顔が赤くなる。
「空に赤いものが?」
「赤?」
そのとき、外から小さくホルンのような音が聞えた。
メネラオスはすぐさま垂れ幕をあげると外を確認した。
「緊急だ、出かけてくる!」
あわててボクも外を覗き込む。
赤いのは狼煙だった。
・・・どうやって色を付けてるんだろう?
身支度を整え、すぐにも飛び出しそうなメネラオスに慌てて声をかける。
「待って、ボクも行く。」
「ボクも行くって・・・あの狼煙はミイラが攻めてきたときの救助要請だぞ。」
まじまじとこちらを見ている。
「それだったら余計に行かないと!デマラトスの痕跡を追わなくちゃ。」
とっさに思いついた理由は結構それらしいものだった。
その言葉を聞いたメネラオスは観念したのか、チェストから頭もすっぽり隠すタイプのマントを取り出した。
「革サンダルはきつく結ぶこと。あと、そのマントを被れ、全身火ぶくれにはなりたくないだろう。現場では目につくところで離れた場所にいること。いいな!」
「わかった。ありがとう。」
ボクの身支度を終えると、メネラオスは一気に山を駆け下り始めた。
しなやかな猫科の動物を思わせる動きで、たちまちのうちに引き離される。
「無理しないでゆっくり来い。けがするなよ。」
そう一言言い残すと、さらに加速していく。
ボクはというと・・・慣れない道を降りるので手が一杯という感じになってしまった。
というのも、外套が毛織物で結構厚い、そんで重い。
脱ぎたいが日光と外気がそれは無謀だと教えている。
100mもくだらないうちに汗が出てきた。
仕方がないので、早歩き程度に速度を落とし、メネラオスの後を追いかける。
村まではたぶん1キロから2キロくらいだと思う。
下り坂ということもあって20分程で村に着いた。
激しい喧騒が村のあちこちから聞こえる。
襲ってきたミイラって1体じゃないのか?
まずくない。
村人は建造物(市場や神殿)に立てこもりながら迎撃しているようだ。
ボクはとりあえず一番近くの市場、目指して走りだした。
「こっちだ。急げパトラ!」
前方の市場からメネラオスの声が響いた。
こんな状態だってのに微笑が出るって・・・まずくないか、ボク・・・




