クトゥグアの呼び声
あと1話でマケドニア編終了です。
さて、まず言っておきます。
リヴィア編ですが・・・アーシアは主人公ではありません。
新ヒロインが頑張る話になります・・・・あれ?
まあ敵としてデマラトスさんは出てくるだろうしデイアネイラも出てくるのですが・・・ローマ編でアーシアが出てこれるかは彼女しだいになりますねー
目標には違和感があった。
気づいたのは反射的に跳んでからだが・・・
(部屋の形がわからない?)
デマラトスに示唆され、レイチェルに気づいた、次の瞬間には空間転移していた。
忌々しいが最後に見えた光景は勝ち誇るデマラトスだった。
絶対に戻ってとどめを刺してやる。
石造りの部屋の中央に台座があり、そこにレイチェルは寝ていた。
松明の炎が弱弱しく彼女を映し出す。
「レイチェル!」
=ペシャン=
光景が目に飛び込んできた瞬間に、レイチェルをデルフォイの神殿にを飛ばした。同時に気の抜けるような何かを貼る音が聞こえた。
落ち着いて、あたりを見渡すと殺人現場のマンションのようにあたり一面にお札が張ってある。
(これが空間把握を邪魔してたのか。)
まるで自分が悪霊のようだが・・・対策としては正しいので否定できない。
何かを貼る音の後は完全にこの部屋は外部と遮断された。
ネズミ捕りのように入り口を開けておいたのを閉めたということだろう。
(レイチェルを送り出せたのは幸運だったな。)
どう見ても罠である。
「ハジメテ、アイマス。ユウコト、キカナイ、コロシマス。OK?」
部屋の出入り口の扉に大きなエイボンの印が貼られていた。
たぶんさっきの音はこれだろう。
「どこだ?」
「ワタシ、ココ、ウゴクナ」
それは部屋にあった松明の炎の中から這い出てきた。
「クトゥグア、シッテルネ?」
「生ける炎クトゥグア」の名にふさわしく、人間の形をした炎が喋った。
その一言一言は熱い息を伴い、ドライヤーを真っ向から浴びさせられているようだ。
「ニャルラトホテプ、ダセ。」
目的は仇敵ニャルラトホテプの討滅らしい。ただなんで、こんなとこにいるのか・・・
「待ってくれニャルラトホテプの居場所は知らない。」
「オマエ、ニャルラトホテプ、ニオイ、スル。ナニカ、カラダ、ナカ、イル。ソレダス。」
体内?イースの古代種族か?
「イースのことか?」
「ダス、シラベル。」
「まて、クトゥグア。なんでデマラトスに協力している?アポロンの孫娘はどこだ?」
「アポロネゴーニ、カノジョ、ソウモ、イッタ。ワレシラヌ、イミ」
(おいおい、呼び出した奴がいるってことか・・)
「ダス!」
そういうと炎は矢の形になりアーシアに突き立った。
突き立った矢は熱くも痛くもなかったが、アーシアは自分の中から何かが吸いだされているのを感じた。
「遺伝子配列のY遺伝子が、該当生物のようだな?」
矢が流暢にしゃべりだした。
「うむ少年、どうやら間違いのようだ。これはただの生物だ。ニャルラトホテプの情報はない。」
どうやらわかってもらえたらしい。
「人間からY遺伝子を抜くと死ぬが仕方ない。過去にニャルラトホテプと交差したお前が悪い。」
?
「すでに調査のため、すべてのY遺伝子は抜き取った。デマラトスがこの生物を欲しがっていたので遺伝情報は向こうに送ってある。」
「まて、どういう意味だ。」
「デイアネイラとの契約で、お前の中にいる生物がニャルラトホテプでないときは、デマラトスの所有になることになっていたのだ。彼女らはアメン・ラーに対抗する力を求めていた。
小さきものよ、私は、次の目標を探しに行く。さらばだ。」
そういうと矢はかき消えた。
・・・え、おわり?・・・こんなにあっさり殺された?・・・
松明の炎が消えた部屋は真っ暗で何も見えなかった・・・体から力が抜け、膝をつく。
倒れるのを支えようと手を動かそうとしたが・・・体の実感がない・・・
あれ?
真っ暗な部屋の隅に星が2つ見えた気もするが・・・
意識がどんどん薄れていく。
もう、完全に体の感覚がなくなった。
(これで・・・終わりかね・・・)
今までのことが走馬灯のように思い出される。
(フフ、楽しかったなー・・・ごめん)
ニャーン
トォーン




