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軍議

早く戦闘シーンこーい。


謀略のせいでアーシアが腹黒に見えてしまいます。

・・・まあ仕方ないですが・・・

書いてる方もフラストレーション溜まってますので・・・スカッとする展開になればなーと思ってます。



軍司令官ポレマルクアーシア、我々は、これよりスパルタ防衛線に向かいます!」

「了解、また会おう。」

「「はい」」


一斉に声を上げる200人のスパルタン。

彼らは終結した10隻の船に乗っていた海軍兵士だ。

ネアポリスに終結したのは、あくまで彼らの輸送が目的であって、戦闘が目的ではない・・・という建前らしい。

もっとも彼らが防衛線にとどまっているはずがない。

防衛線から進撃してトラキア方面に浸透し、緩やかな圧迫をかける作戦予定になっていた。


今朝までは、だが・・・

彼らに作戦変更の内容は伝えてある。


空船になった軍船10隻はそれぞれ役割を割り振られ、うち6隻は石を詰んだり、オールを二人持ちに改良したりしている。

この改造中の船は廃船扱いになる。



アーシアはイオニア号の食堂「イオニアの恋人」にスパルタ海軍の主要メンバーを集め、会議を始めた。

今更ながらメインテーブルに着いた人物を見ていると圧巻の風景である。

マッチョな艦長たちが10人以上集結すると部屋が狭く感じる。


中でも異彩を放つのは、顔面刺青の一番艦イオニア号船長兼サルピズマ隊長のサンチョである。

今はその横に副長ソバネスがついている。

今回の作戦ではサルピズマの指揮にあたるサンチョに変わってイオニア号の指揮を執ることになる。


四番艦 アルカディア号 クレオビス船長は南航路を放棄しての参加だ。


また北航路は現在ランボン船長の輸送船デルフォイ号のみ就航しており、豪華客船の運用は中止している。


おかげで今のところ豪華客船は南航路の三番艦ラコニア号(トリュガイオス船長)のみの運用になっている。

そのせいで船のチケットが高騰しているらしい。


もう一隻の豪華客船であり、スパルタ海軍の旗艦でもある、二番艦アカイア号は現在アテナイのドックで定期点検中で動けない。

アテナイの有力貴族でもあるキモン船長が全力で対応しているが二週間はかかるだろう。


五番艦 アッティカ号 ヒエロクレス船長 

六番艦 アイギナ号 テロス船長

七番艦 コリントス号 クレオビス船長

八番艦 トリクラナ号 ピトン船長

九番艦 アリステラ号 エウテュキダス船長

十番艦 エウボイア号 ミトロバドス船長


この六隻はアッティカ型輸送船であり初期にアテナイで造船された船だ。

このため後にラムヌースで造られた、メッセニア型輸送船に比較すると船体強度が低いため、今回はバラストを詰んでアブデラの港を封鎖するのに使う。

この六隻が改造中の廃船扱いになる船である。


これらの船はアブデラ港で沈没させることになる。


作戦後六人の船長はラムヌースに戻り、それぞれ新しい船を受け取ることになる。

現在竣工してるのはラムヌース型戦闘艦が一隻、メッセニア型輸送艦が四隻、イオニア型客船が一隻である。


アーシアは簡潔なあいさつの後、本題に入った。


「さて、諸君。ペルシアとの戦争も全面戦争となり、トラキア地方を安定させることが非常に重要になってきた!トラキア総督にデマラトスが任じられたことで、ペルシア側に秤が傾いているが、これをこちらに傾けるのが今回の作戦である。」


作戦内容は次の手順からなる。


まず使者を派遣し、ヘレネス連合軍に対しタソス島の防衛権をラムヌースが取得する。


防衛権取得までの間はサンチョ率いるサルピズマ騎兵隊によるタソス島での奇襲および防衛設備建設遅延作戦を行う。


「サンチョ、威力偵察任務という名目だが・・・頼むぞ。」

「了解しました。隊長!しかし、手加減が難しいですな。」


笑いながらサンチョは言ってくれるが、2000人対50騎、しかも山がちな島である。

騎馬の機動力も半減する。困難を極める作戦になるはずだ。


「援軍もなるべく急ぐ。アンティキュラ号が運んできた馬も、替え馬に使ってくれ。」


急ぐとはいっても戦線は広い、各地から承諾をとるのに1週間はかかる。

その間、一人一頭では馬が持たない。一人三頭は割り当てたいが・・・たぶん二頭になるだろう。


援軍は重装歩兵ぺゼロイタイ1000人、スパルタ海軍150人からなる歩兵部隊である。

彼らが投入できればほぼ勝てる。


・・・デマラトスがいなければだが


しかしデマラトスは、いてもらった方がありがたい討ち取れれば一気にトラキアがひっくり返せる。

ただ、その場にいると勝負の行方が読めなくなる影響力がある。


リメナスを押さえた後はアブデラ港の封鎖作戦に入るが、港は六隻の櫓をロープで連結させ、沈没させることで出入りを封鎖できると計算を終えた。

この作戦は今も準備中だが、デマラトスが討てればやらなくて済む可能性が高い。


(戦場におびき出すべきか、別の場所に誘導すべきか?)


アーシアの頭の中ではデマラトスに関することは、ぐるぐると無限ループを描いていた。

こういう時はやれることを、ひとつづつ、やっていくしかない。


一息つくと命令を下していく。

「サンチョ、ラムヌースⅡ号を使いサルピズマを率いてタソス島に渡ってくれ。パンティティスはスパルタ防衛線への連絡と防衛権の許可を、アテナイ防衛線はメガクレス、コリントス防衛線はレイチェルにたのむ。」


「そうすると隊長は?」

「ああ、アルゴスを説得してくる。」

サンチョの疑問に答える形で、自分の行き先を告げる。


今回の連合軍の中では一番に厄介な相手ポリスである。

「ただし、アルゴス防衛線に向かうのは5日後だ。みんな先に行動してくれ。」


皆の顔に一様に疑問が上がる。 


「残った船長は船の改造と、トラキア方面にアーシア司令官が7日後にアルゴス防衛線を訪れるという噂を、水兵を使って流してくれ。」


それを聞いてサンチョ、エウテュキダス船長、クレオビス船長の顔に理解が浮かぶ。


「ご自分を餌にデマラトスを誘うつもりですか。」

エウテュキダス船長が確認してくる。


「アーシア、それは危険よ!アルゴスは信用できない!」

レイチェルが声を上げた。


「大丈夫、考えている。パンティティスはスパルタ防衛線で説明のあと、海軍200人を率いてそのままアルゴス防衛線に迎えに来てくれ。彼らには説明してある。」


「なるほど、その人数なら。」

「デマラトスが来ても大丈夫ということですな。」

「二日の猶予があれば、いけますね。」


各々が思うところを喋っている。


デマラトスがこちらをどれだけ狙ってくるかはわからないが・・・親衛隊をあれだけ減らした司令官を無視するとは思いにくい。


うまく吊り出せればいいのだが、たとえデマラトスがこなくても、アルゴスが大規模戦闘に巻き込まれてアルゴスポリスの親ペルシア勢力を掣肘できればそれで十分である。


「以上だ、諸君らの働きを期待する。」


それぞれが与えられた役割にそって行動を始めたなか、テーブルには3人が残っていた。


「レイチェルには悪いが・・・」

「アーシア様、コリーダと私に用があるのですか?」

「気のせいならいいんだが、どうもレイチェルより上位のアレティアがデマラトスの傍にいる気がするんだ。」


二人とも驚いている、まあそうだろう。


「そう考えると、今までのデマラトスの行動に納得がいく。」

「ご主人様、レイチェル様の記憶が見られているということですか・・・」


「おそらくはそうだと思う。アレティアの力がエウリュポン家に由来する力なら、アギス家に対抗するために最強の存在は隠しておくと思うんだ。」

「しかし、アーシア様、レイチェル様はここ100年以上王家を見られていますが?」

「王族100%の王家でない家が存在するとしたら?」


そう、それが気がかりのもとである。


「おそらくはリュクルゴスの改革の前に分家していると思う。」

「ありそうですね。」

ピュロスは静かに頷いた。


リュクルゴスの改革はアレティア姫とその子供たちによる国政改革だった。それはエウリュポン家の地位を復活させはしたが、双王家の一家としてである。

アレティア姫以上の能力者がいなかったという証明はどこにもない。


のちにレイチェルやパンドラがデルフォイで、ニャルラトホテプの力を得たため目立ってないが、その血筋が隠されていてもおかしくはないと思う。


「ということで、コリーダはレイチェルに同行してくれ。」

「ええ?」


二人とも訳がわからないという風だ。


「俺はタルゲリア・ピュロスと明後日アルゴス防衛線に向かう。」

「それではタルゲリア様は大丈夫ということでしょうか?」

ピュロスが問いかけてきた。

「タルゲリアはイオニア人だからな。ドーリア人のスパルタ王家はない。」


「ではご主人なぜ私がレイチェル様と一緒に?」

「出発してから三日後に、今回の推測をレイチェルに話してくれ。」


そのことでどういう状況の変化があるか・・・


「デマラトスの出方を確認する。」


どうなるか。こればかりはやってみるしかない。


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