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アポロ神殿での1日

更新のペースが、ちょっと落ちてますが・・・

3月いろいろと行事が多いものですみません。


伝書鳩は5000年前のシュメール文明にはあったらしいのですが、確実なの古代エジプトかららしいです。

伝書鳩は伝書管(足に付ける金属の筒)をうまく作らないと疲労がたまりやすく帰還率が落ちます。

300kmを超えると一日で到着できなくなるので夜間どこかで休むことになり帰還率が極端に落ちます。

短距離(~300km)用の品種で800-1200m/分(風の向きが大きく影響します。)中距離用(400-700km)で1000m/分、長距離(800km-)だと500-800m/分ぐらいの速度だったと思います。

いずれも昼間のみ飛んでいた時の換算速度です。


トリュガイオスは少し考え込むと同意した。


「確かに変ですね?何で知っていたのでしょう?」


誰かがアレティア姫がラムヌースⅡに乗り込んだと知らせても、この船より早く知らせる方法が思い浮かばない。


「可能性としては伝書鳩ですが、足に結びつける布でそこまで正確な情報は伝えられませんし・・・」


え、伝書鳩いたの?そっちの方がびっくり!


・・・あ、いるわ。オリンピックで優勝したポリスは、赤いリボンつけて優勝報告してたっけ。


でもそうなると・・・暗号表と数字の組み合わせで、相当正確な情報が送れるんだが・・・まだやってないかな?ちょっと不安になってきた。


それに伝書鳩は300kmを超えると極端に帰還率が下がる。

これは21世紀でも変わらないからこの距離(400km)だと、この時代に実用化しているとは考えにくいが・・・


「アレティア姫が乗り込んでいたことを知っていたというのは間違いない・・・伝書鳩か・・・他に可能性がないとそうなるが・・・トリュガイオス、アレティア姫を見ていてくれ。」


体中の包帯をきっちり巻きなおしてもらい、副木を巻き込んだ体は、激痛を伴うが動かすことができた。

「ピュロスはトリュガイオスと一緒にアレティア姫を見ていろ。コリーダとタルゲリアは厚手のキトンに長い棒2本を準備してくれ。」


二人が用意したキトン(もともと筒状の布である)に2本の棒を通すと簡易な担架になった。

「レイチェルの部屋に連れていけ。」


担架の上に寝そべらせ、強い命令口調で告げた。

「ご主人様、それはちょっと。」

「アーシア様、レイチェルさんは・・・」

「わかっている。部屋の前まででいい。相談があるんだ。」

姿が見えないならば、彼女レイチェルの精神的負担も少ないはずだ。


部屋の入口に垂れ幕を下させて、レイチェルのベットを入口近くに移動させる。

時々ベットの振動で顔が痛むのか、声が聞こえてくる。

アーシアはその声を聴くと悔恨にさいなまれたが、自分がやるべきことを思い出し、心を奮い立たせた。


「アーシア様、準備できました。」

「ありがとう、タルゲリア。こっちはコリーダで護衛をさせるから、アレティア姫の護衛を頼む。」

ちょっと疑問顔のタルゲリアに続ける。


「トリュガイオスは怪我してるし、あっちには戦闘力のいる人間がいない。神殿で血を流すのは禁忌でも・・・誘拐は可能だから護衛が必要だ。頼む。」

その言葉を聞いて納得したのか、タルゲリアは一礼すると元の部屋に向かった。


「コリーダ、この近くに誰も近づかないよう注意してくれ。」

「かしこまりました。ご主人様。」


「ずいぶん厳重ね。どうしたのアーシア?」

女性陣すら誰一人近づかないように配置したのに気づいたらしい。


「すまない、レイチェル。こっちもきついんで単刀直入に聞く。」

一呼吸おいて声を落ち着ける。


「アレティアの力はエウリュポン王家の力なのか?それともアレティア以降に発現した力なのか?」


・・・


「エウリュポン王家の力だけど・・・デマラトスには使えないわよ?女のみしか発現しないし、王家の女性はみんな見たはずだから?」

「そこなんだが、見落としはないのか?」


「少なくとも生まれてすぐ私が見に行ってるし、臨月の妃にはスパルタのアレティアが出産の月を教えてくるから見落としはないわね。なんで?」


そこでアーシアはデマラトスの行動と船上での発言を思い出しながら告げた。

「・・・ということはデマラトスはアレティア姫がラムヌースⅡに乗っているのを知っていて、アレティアを消すことを目的に乗り込んできたということ?」


「それと、奴が「我々の復讐」と言ったのが気になるんだ。」

「我々か・・・デマラトスと親衛隊というのは、ちょっと無理があるわね。」

そこで、さらに疑問点を追加する。


「それと空間系の魔術が無効化された。あいつの身体に触れた瞬間に掻き消された感じだった。」

「何ですって!」

「ヘレネ島の時に思ったんだが・・・敵に魔術師がいそうだな。」

「そうね。エイボンの刻印を使ったのかしら・・・」

「空間の把握に異常は感じなかったから、近くにはいないと思う。」

「そうか、アレティア姫の到着も魔術で連絡を取ったということね?」

「可能性としては、それが一番すっきりする。」

実際に養父クレイステネス師匠ヘラクレイトスはやってたみたいだし。


「でも、それだとアーシアはどうしてアレティアの見落としについて聞いてきたの?」

「ああ、それはね。見落としたアレティアがいて、デマラトスと組んでいれば、一気に話が分かりやすくなるからさ。」


「・・・なるほど・・・でもそれはないと思うわ。アレティア姫はあたし達に次ぐ序列よ・・・彼女の記憶を見れるとなると、あたし達クラス、それこそ王家直系デマラトスの姉妹でもないと発現しそうもないレベルよ。王妃の出産を見逃すと思う?」


「だよな・・・デマラトスとアレティアの関係ってどうだったんだ?やけに憎んでたが?」

「王位剥奪までは歴代の王と一緒だと思ったけど、王位剥奪でアレティアが、かんだせいかしら?・・・ちょっと待って、古いアレティアに聞いてみる。」

「古い?」

「ここのアレティア姫の祖母になるわね・・・えっと・・・」


しばらくの間無言が続いた。

中庭を照らす太陽はずいぶん高くなってきたようだ。


「デマラトスは生まれてすぐ立太子されてるわ。アリストン王の子(まあ、この辺はアレティアが否定したんだけどね)だったし、他に争う人物もいなかったから。アレティアを知らされたのは成人を迎えた18の時・・・驚いていたようだけど・・・単なる血族と感じたみたい。」

「それだと、あの憎悪は王位追放によるものか・・・どうもしっくりしないな?」

「そう?・・・まあそうなのかも・・・。」


アーシアの方も身体の激痛が強くなり、我慢の限界に近付いてきた。


「レイチェル、会いに来てくれ・・・こっちが限界が近い。」

「え?」


垂れ幕が少し動いた気がする。


「アーシア!」

中からレイチェルが飛び出してきた。


「ごめん、抱きしめるようにも腕が動かない。」

「・・・・そんな・・・ごめん・・・知らなかったの・・・」



=翌朝=


「はいアーンして。」

顔の半分を垂らした布で隠したレイチェルが、ベットの横に座り、パン粥をスプーンで食べさせていた。


「そうやるのですか・・・トリュガイオス様・・・アーンして・だそうです。」

「いえ、姫、恐れ多いです。」

「アーンしなさい。」

「はい!」

なぜか横のベットでも同じような格好をしたアレティア姫がトリュガイオスがパン粥を食べさせていた。


「観念しろ、トリュガイオス。」

「しかし提督、姫はキモン家の・・・、恐れ多いです」

「その話は流れた。オロロスにはカリアス家から嫁取りさせることになった。理由は言わせるな。」

「・・・はい、わかりました。」

「おいやでしょうか。トリュガイオス様?」

「いえ、光栄すぎて・・・なんというか・・・その、アフロディテに感謝しています。」

「・・・はい、アーンして」


護衛のコリーダやタルゲリアも笑いをかみ殺すので精一杯だ。

ピュロスは同じ部屋の机で書類をさばいているが、時々咳ばらいをして、笑いをごまかしている。


「ピュロス、タソス島偵察準備はどうだ?」

「今すぐにでも出れますけど・・・指揮官がいません。」

アーシアにしてみると自分とトリュガイオスが同時に無力化するのは予定外だった。

ラムヌースⅡ副長のグラチウスに指揮させるかどうか悩んでいた。

デマラトス攻略は遅れれば遅れるだけ不利になる。

その焦燥感がアーシアに心労を積み重ねていた。


ピュロスが神官に入口に呼び出されて何かを伝えられている。

ピュロスの顔がほほ笑んだ。


「港より連絡、アンティキュラ号、船長メガクレス、入港しました。」


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