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戦いの果てに

ちょっと、この回は文章表現に不満が残ってますのでできれば近いうちに手を入れたいと思います。

・・・なんていうか緊迫感がうまく出せませんでした・・・すみません。

筆力不足です。

アーシアはデマラトスの拳を左掌で受けとめたままに右拳を振りぬく。

拳はうなりを立て、そのうなりを空間操作で、音速を超えさせる。

「くらえーーー!」


拳より先にソニックブームがデマラトスの顔にぶつかる・・・衝撃エネルギーで顔面を楽に陥没させる・・・はずだった。


空間の歪みはデマラトスに到達するやいなや掻き消える。

それとともに衝撃は速度を落としただの唸りに戻る。

アーシアがそれに驚く間もなく、右拳はデマラトスの頬に到達。

ブグィーと鈍い音をたてながら、拳が変形する。


まるで鉄板をぶっ叩いた感じである。

折れた子指の骨が皮膚を突き破る。


アーシアを激痛が襲うが、まったく気にする様子はない。

彼は怒りで痛覚が飛んでいた。

そのまま折れた拳を振りかぶり2撃目を叩き込む。

今度は折れた骨の先がデマラトスの頬を突き破る。


拳はさらに壊れるが、気にせず3撃目を振りかぶる。


「グワッ!」

頬を骨で傷つけられたデマラトスは、左手に吊るしていたアレティア姫を高く放り上げる。

気を失った姫は高く上がったあと、頭を先に甲板に向かって落ちてくる。


「ック!」


アーシアは手を放すと反射的にアレティア姫に向かって突き進む。

背中から落ちるよう姫の背中を左手で押すと、甲板と姫の間に自分の身体をねじ込む。


「ゴフゥ」

姫の衝撃を自分の身体で和らげるため、受け身を取ることもできない。

アーシアは息が詰まる中デマラトスを探した。

おどろくことにデマラトスはこの一瞬で船尾に移動していた。


左頬を突き抜いた傷から血が流れ出たまま、デマラトスは笑っていた。

そしてアーシアを指さす。


「愚か者め!俺を殺せばすべて終わりだったものを、女に目をくらんで・・・」

傷がいたんだのか、誇りを傷つけられたのか、デマラトスは顔を歪める。


「お前のせいだ。お前が私を傷つけ、逃がしたせいで多くの血が流れることになった。」

暗い海面のどこからか火矢が上がった。


「我々の復讐が始まる!」

叫ぶなり、そのまま海に身を躍らせた。


すぐ後ろを黒塗りのカッターが通り過ぎた。

アーシアの空間感覚はその舟がデマラトスを拾い上げたのを感じる。


「ンクッ」

デマラトスの気配が遠ざかるとともにアーシアの激痛が全身を襲う。

無茶な使い方をしたせいで手足の筋肉はズタズタ、右手は骨が飛び出している。


アーシアの上に載っているのは少女が一人、それで全く動けなくなっている。

大の字に甲板に倒れたまま激痛と重さに耐える。


「アレティア様!大丈夫ですか?!」

船内から出てきたラケダイモンが、アレティア姫を、丁重に持ち上げると船室に運び込む。


「よくやった、少年!すぐに助けるぞ!」


あ、そうか・・・


「水夫の一人か?ラケダイモンにしたいような武勲だった。アーシア軍司令官ボレマルクには必ず報告してやる。」


・・・いや、俺なんだが・・・


「いま、応急手当てしてやるからな。」


それよりも港に急いでもらわないと、レイチェルが・・・とりあえず名乗るか。


「アーシアは、」

「それにしても少年、変わった髪型だな?そのような髪型の部族なのか?」

「おrqswでrf・・・」


口を閉ざし、痛むがまだ動く左手で頭を撫でる・・・カツラの外に同心円状の無毛地帯がある・・・3cmくらい。

・・・合わせて直径10cm以上か・・・


前回が直径5cm今回が6cm広がったとすると・・・使った面積は1.5倍くらいか・・・カツラは大きめに作ったんだがな・・・


「皆、その方はボレマ・・・」

「トリュガイオスッ」


暗闇から這いずるように出てきた船長に制止の声を張り上げる。


「船長!無事でしたか!・・・トリュガイオス船長を先に治療してください。」

あわてて言葉をつなげ、取り繕う。


おお、とか言いながら皆の視線が血反吐でキトンを汚したトリュガイオスに向く。


(内緒にしろ!)

(??・・了解!)


小さく首を振り、必死に目配せでたのむ。

船長も理由はわからないままに了解したようだ。


「水夫を起こして港に全速で進め。その少年も私と一緒に手当しろ。今日の武勲者だ。」

トリュガイオスに並んで手当を受ける。


「アレティア姫はどうだ?」

「いま、薬を飲ませています、船長。命に別状はありません。ただ・・・」

「ただ?」

「頬骨と鼻骨が折れてます。元の顔には戻らないと思います。」

「そうか・・・」


我々にも飲み薬を渡される・・・自分で処方した「雲南白葯改」だ・・・中身は高麗人参、樟脳、自然薯、山芋の乾燥品を混合してある。

ある意味、この時代の大学病院でケガしたようなものだ・・・ほかの薬もあるのだが・・・最高に強い薬を渡されたようだ。

外傷には血止草の軟膏が止血剤として塗られた。

そのあとは骨折部分を添え木で固定して包帯で巻くだけだ。

だが、これだと後遺症が残るかもしれない・・・せめて骨の位置さえ合っていれば、あとは回復すると思うのだが・・・


ラムヌースⅡ号は夜明け前に港に到着した。

戦闘が静かで短かったこともあり、ネアポリスでは海戦に気づかなかったようだ。

軍船の入港で、いたるところで灯がともされ警備兵が終結してくる。


「スパルタ海軍所属、ラムヌースⅡ、船長トリュガイオス!」

舳先で水兵が大声で所属を伝える。

昨日到着した我々に引き続き、妙な連中の到来だ。

港の役人たちは右往左往していることであろう。


「マケドニア王の要請によりタソス島偵察にきた。寄港を要請する。」

この一言で騒ぎが大分落ち着いてきた。


「こちらマケドニア王国ネアポリス港湾担当官ネメアイオス!停船せよ。王の要請を確認したい!」

「当方ペルシアとの戦闘で負傷者あり、スパルタ王族と船長他が負傷している。負傷者だけでも至急上陸許可求む。」

やや時間が空いたのち。

「要請は了承した。負傷者搬出のためにボートをだす。停船せよ。」


ミズスマシのようにボートが湾の奥から出てきた。

トリュガイオスとアーシア、アレティア姫は、その船に乗せられ、アポロ神殿に送り込まれた。


アポロ神は医療の神でもありアスクレオピス神殿がない場合には病院の代わりも兼ねることが多い。

こちらにとっては非常にありがたい展開だ。


アポロ神殿の中に入るとアーシアの状態に驚愕した女性陣は、デルフォイの秘儀を行うという理由で神官たちを遠ざけた。

ピュロスとタルゲリアが三人の看護にあたった。


「ピュロス・・・レイチェルは・・・」

アーシアの不安はレイチェルの姿が見えないことでピークに達した。


「レイチェル様は今アレティア様と同じような状態です。醜い顔を見せたくないので、治るまでこないでほしいとのことでした。」

「そんなこと!どこにいるんだ?」

「お教えできません。私はレイチェル様の気持ちがわかります。」

ピュロスは今まで見たこともないほど強い拒絶を示した。


「そうはいっても」

「会われても何もできませんし、レイチェル様は恥じるでしょう。そしてアーシア様はデマラトスへの怒りで暴走します・・・レイチェル様はそれがわかっているから、会われないのだ思います。」

「そんなこと・・・」

ピュロスの言葉は真実だとわかってはいたが、アーシアには受け入れがたいものだった。


会話が途切れた瞬間に、タルゲリアが消えそうな声で話しかけてきた。

「それよりまず自分の身体を直してください。動けるのが奇跡なほど壊れています。」

一旦巻いた布を解き、再度きっちり巻きなおしていく作業をしながらの言葉である。

アーシアも黙らざるをえなかった。


その言葉を聞いたトリュガイオスが声を上げた。

「そうです、提督、デマラトス相手に生き延びたのは奇跡です。もっと御身を大事にしてください。」

「わかってはいるが・・・」

アーシアはそういうと歯を食いしばり黙り込んだ。

その視線の先には気を失ったままのアレティア姫がいた。


その姿を見て、トリュガイオスは襲撃された状態の報告を始めた。

それを聞いていてアーシアは妙な表情になった。


「トリュガイオス、お前の説明だと、まるでデマラトスはアレティア姫を殺すために単身、船に乗り込んできたみたいだぞ?」


「そのようですが?」


ありえないという風にアーシアは首を振ると呟いた。


「どうやれば、あの船にアレティア姫が乗っているとわかるんだ?」

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