ミスターウィッグ!
やっと戻ってきた。
ヨットの世界記録は大西洋横断の平均速度で単胴船なら17.6ノット3胴船だと30ノットオーバー
何でもありなら風だけで100kmを超えるそうです(絶句)
ネットでみた空飛ぶヨットという水中翼船イドロプテール号(水の翼のギリシャ語)がかっこよすぎます。
カツラつけた主人公っていましたっけ?いれば情報をplz
永遠の若さと美貌の神アポロの最高神官である教皇がハ○であることは、教義上非常におかしなことである。
何故なら医療の神としての側面をもつアポロは○ゲを治療したとギリシャ神話で伝えられている。
そのため、ただの神官では問題にならないだろうが、予言を行うほど寵愛された人間としては世間体が悪い。
このためアーシアはコリーダとタルゲリアから髪の毛をもらい羊皮紙を立体裁断して頭頂部にフィットさせ、針を使ってチクチクと植毛していた。
「そろそろつきます、アーシア様。」
タルゲリアが操船できたので、いま手の離せないアーシアに代わって、彼女が船の舵を取っていた。
「それにしても、ものすごい速度で進みますね、この舟は」
舳先に翼中央のマストを立て、翼縁の帆桁を合わせているので三角帆のジブセイルのように見えなくもない。
南風のおかげで、北北東に進路をとった太陽の舟は最大速度の15ノットで進んでいた。
舟が港に入ったのはまだ昼前だった。
港に着くと船を陸に揚げ、マストを抜く。
ネアポリスの役人らしい人物が来て、入港料やら駐艇料を求められるが、マケドニア王の書類を提示し下がらせる。
この間、アーシアは麦わら帽子をかぶったままだ・・・そうとう異相に見えたと思う。
客観的に考えてみよう。
服はキトンしかないこの地で、全身レザースーツをきた集団。
リーダーは麦わら帽の男、その横には鍔広帽にサングラスを掛け真っ白な猫を抱えた女性。
他の3人も女性だが一人は紅毛、もう一人は戦士のように腰に剣をはいている。そして最後の一人は猫を抱いている・・・どう見ても宇宙人並のインパクトがある。
王からの許可証が無かったら、絶対捕まっていたはずだ。
ともあれネアポリスのアポロ神殿を目指す。
どのポリスでも大きさはともかく必ず、存在する神殿だ。
ネアポリスでも小さめの神殿があったので、そこに宿泊を求める。
幸い、宿舎に使えそうな建物も付随していたので、その中で着替える。
女性陣は、革の匂いが染みついたといって水浴びに出かけたが、アーシアは一人、チクチク頑張っていた。
女性陣が帰ってきたときアーシアは満足げに作品を見ていた。
見た目としては片側一面に毛が植え付けられた直径8cmの浅い革製の皿というしかないが・・・
昼食はパンとワインを買ってきてもらい、それで済ませる。その時にスジ肉を手に入れてもらった。
スジ肉を煮込んでは冷やし、煮込んでは冷やし、ゼラチンを作り上げる。
色が悪いが気にしない・・・薄く作品の裏に塗り、頭にフィットさせる。
昼食後、最後に髪ピンを使って地毛を利用して固定する。
そのあと、ばれないように、三つ編みにしていく。
レイチェルから、激しい動きを考えると編み込んだ方がいいとの指摘があったためだ。
そして・・・女性陣の懸命の努力により編み込みのアップスタイルに決められた。
「アーシア様、うなじ綺麗。」
「ついでにムダ毛も処理しましょうか。コリーダそこの松脂湿布あっためて・・」
「ほいピュロス。タルゲリアは腕をお願いね。」
「・・・なんというか脅威ね・・・アーシア」
=ぺタ・・・ビリッ、ギャアー=
何度、悲鳴を上げただろうか・・・完全に面白がられていた・・・
「できあがりーーどうですか、ご主人様?」
どうって言われても・・・鏡がないと自分じゃ見えないんだけど
「いい感じなの?」
「いい感じです。」
そう答えられたのはコリーダだけで、他のみんなは頬を赤くしてこっちをじっと見てる。
「どうしたのレイチェル?」
「ん、んなんでもない・・・でも外を歩くときには麦わら帽子使わないと危険かも・・・」
は?
「確かに・・・襲われそう・・・」
え?
「これなら、アポロ神でも寵愛されそうですね。」
急いで外に出て、甕の水面で顔を見る。
・・・やりすぎじゃ―――、だれだこの美少女!
「はー・・・もういいか・・・じゃあ夜まで準備。」
「「「「はーい」」」」
夕飯の準備をしながらラムヌースⅡ号の航路指示の準備を始める。
その夜、アレティア姫との交信の結果、明後日の昼にはつきそうな位置まで船が来ていることが確認できた。
翌日9月9日朝・・・アーシアの朝はイシスの猫パンチから始まった。
どうもこの髪型は巨大な毛糸球に見えるらしくイシスとホルスがお気に入りだ。
・・・イシスは姫様の魔法制御で色素を使われたが・・・合計8回で済んだので、白猫ではない。
灰地に白のハートマークをちりばめた・・・夢のような模様になっている。
レイチェルはサルピズマでハートマークの意味を教えて以来、お気に入りの模様になっている。
ともあれ、寝藁に潜り込んで3時間くらいしか寝てないが、これも今日の夜で終わりだ。
午前十時に起きると顔を洗い、髪型を確認する。
「アーシア様、ぉはようござぃます・・・」
「やあタルゲリア、髪型大丈夫かな?」
「ええ、きっちり編み込めましたので2・3日は平気だと・・・」
「コリーダは?」
「街にでて、情報を集めてくると言われて、朝早くに出ていきました。昼には戻るはず・・・」
「了解。」
ちなみにレイチェルとピュロスはまだ寝床だ・・・朝まで起きていたんだから、昼までは寝させる予定だ。
「ですから・・・護衛が一人ですので・・・」
「わかった。昼までは中にいるよ。」
遅めの朝食を食べ、地図を確認したり、書類を整理していたらあっという間に昼になった。
「ご主人様、起きてますか?」
「おかえりコリーダ。」
帰ってきたコリーダの手には兎とパンらしいものが握られていた・・・・
「街でプラケンタ(チーズケーキの蜂蜜掛け)を買ってきました。昼食にしましょう。」
あれ?コリーダお金持ってたっけ?・・・
「兎二羽とって一羽売りました。」
さすが、そのうち狩猟も習おう。
プラケンタはローリエの香りがする菓子パンなのだが醗酵してないため冷えると固くなる。
固くなる前は餅とスポンジの中間みたいな触感で蜂蜜にあう。
インドで言えばナンに相当する最上級のパンっぽい。
女性二人も起きだしてきたのでプラケンタを温め、昼食にする。
飲み物はワインではなくサフランティーにしてみた。
「久しぶりねー、サフランティー。」
そういえばデルフォイの巫女長の好物だったな・・・今、何をしてるのだろう・・・
夕飯はパンと兎のローストらしい。
シルフェルにヘンルーダ、セロリに玉ねぎ、それに赤ワインに塩コショウ、それで魚醤とハーブ一杯の準備をしている。
コリーダ、どこに行っても一人で食べてけそうだな。
食材調達から調理まで、出す料理は三ツ星級・・・なんで護衛娘がこうなったんだろう?
夕食を終え、3人で地図を見ながら、船の位置を推定し、指示を出す。
「うーん予定より若干西よりかな?」
「レイチェル様、いま水平線に沈んだ星を確認させてください。」
「アンタレスがあと少し・・・・いま水平線」
「こことほぼ一緒ですね。東西はほぼあってると思います。」
「タソス島が右前に見えたって。」
「ビンゴ!あってたな。」
「あとは真北だね。ポラリス目標でいいわね。ピュロス。」
「はい。それで!」
夜明けまであと2時間くらいだろうか。船の位置が確認できた。
地図にマークを入れる。
このままだと朝一には港に入れそうだ。
ホッとして顔がほころんだ、その瞬間。
「デマラトス!」
そう一言言って、レイチェルが硬直する。
「レイチェル?!」
通信の間、抱えていたイシスが一瞬で真っ白になっている。
顔の右側が赤黒く腫れ上がり血が吹き出しはじめた。
レイチェルは気丈にも右手で顔を隠すと光で文字を浮かび上がらせた。
(アレティア姫を助けて!大丈夫、傷は深いけど再・・・)
そこまでで力つきたらしい。口から血まみれの歯がこぼれ落ち、膝が崩れ床に倒れそうになる。
倒れる前に支えに入ったのはピュロスだった。
「アーシア様!」
「頼む!」
そのまま屋外に出る。
「デマラトスーー!」
結っていた髪の毛がほどけ始める。
・・・髪の毛が消え、束が細くなり緩んだためだ・・・
アーシアはそれに気づかない。いや気にしてもいない。
「だーーー」
アーシアは足の裏に空気を2倍(0.2%でイメージ)に圧縮した塊で跳ね上がったイメージで舟にむかってジャンプした。
足裏の接地圧は0.13kg/m2これが2.0kg/cm2になると・・・15Gを超える加速度になる・・一瞬で服が引き裂け飛び散る。
すぐに船が見えた。
(目標少し右)
師匠から聞いた熱の発生位置の置換を行う。
右に低温域、自分の左水中にに高温域作成・・・ともに1%
=ドムーーーン=
自分の周りの空気を球場に固定。
その空気の球は風の流れに乗って低温域に突進、進路変更。
舟が見えた瞬間・・・デマラトスは姫の髪をつかんで無理やり立たせ、顔を殴りつけようとしていた。
姫の顔はレイチェルとまったく同じ状態!
気づいたときアーシアは空間を掴んで、引き寄せていた。
魔力の消費に、結っていた髪はすべて解かれ、逆立っていた。
デマラトスの拳を左手で受け止めると甲板に踏ん張った。
=パーン=
足裏の2気圧の空気がつぶれて破裂した。700kg以上の反動で拳を抑え込む。
「デ・マ・ラ・ト・ス!テメエだけは許さない。」
全部、髪を使うとラーメ○マンになりますね・・・現状だと。