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マケドニアからの手紙

ラス・メドゥラスは年間2万ポンドの金を算出したといわれる大規模な金山です。鉱山労働者の食料として使われたらしい、栗の木が一面に植えられています。史実で推定1650トンの金を算出し、精錬法を変えるともっと増えたと思われます。

この金、現在の価値で8兆円以上・・・いかに日本の借金が莫大かわかります。(笑)

帝政ローマはこの金で全土に公共事業を行う資本にしました。


「ヘルメスきたら、箱だけか・・・」

「どう解釈すべきなんでしょうか?」


蓋の開いた木の箱を前に、悩んでいるのはアーシアと巫女長である。


先日サルピズマ隊の伝令を使ってデルフォイのアポロ神殿からマケドニアのアレクサンダー王に書簡を送った。


こういう時に神殿という立場は政治からワンクッションおけるので密書を送るには最適なのだ。

今回はさらに戦争中であることも考慮し、まずは次回のピュティア祭への招待状という形にしてある。

あくまでのペルシアの属国であるマケドニアの王への立場を配慮したのだが・・・


返事はすぐ帰ってきた・・・こちらの伝令の帰還と一緒に、向こうの騎兵が手紙箱をもってきたのだ。

往復でも1月しかかってない。

直線距離で250kmもあるのに・・・驚異的な速度だ。

いまいちピンと来ないかもしれない・・・仙台ー東京を山道つかって馬で往復したといえばわかるであろうか?


渡された手紙箱は、木製で神々の伝令ヘルメスの持つケーリュケイオンの杖が彫られた蓋で、その蓋は蝋で密閉してあった。


それで、巫女長同席のもと開けたら中身が空だった・・・というわけだ。


箱をいろいろ調べたが特に変わったところはない。

となると、入れ忘れ・・・もまずないだろう。

何かの謎かけだと思うのだが。


こんなとき頼りになる姫様は、今回は日焼けの関係でコリントスにおいてきた。

パンドラは師匠ヘラクレイトスから離れたがらない・・・しかしなぜ、いまだに師匠が気づかないのか・・・不思議だが・・・

一緒に来たのはピュロスとコリーダであるが・・・政治的な問題は厳しいので聖域の栗の木のイベリア半島ラス・メドゥラスへの移植を指揮させている。

ローマを支えた有名な金山だが金山開発は2世紀からなので先につばをつけようと思っている。


ということで巫女長と悩んでいるのだが・・・話し合った内容をまとめると


ケーリュケイオンの杖は、もともとはアポロ神の持ち物だったが、葦笛の代わりにヘルメスに送られた杖であり神々の伝令を示す証拠である。


これが彫ってあることで何かの謎かけになっているのではないか?


ここまでは二人で統一した知見なのだが、その先が見つからない。


「教皇、プトレモス神官長を呼びましょうか?」

アレティア巫女長が提案する。

先日、アイオス神官長が引退して、プトレモスが神官長になった。


「まだ、アテナイにかかわらせるのは早い。もう少し考えよう。」

その時、同時にアーシアは教皇の名称をもらった。

よって、アポロ神殿では一番偉い人ということになっている。

実際の立場はホルスにも負けるのだが・・・ホルスは今姫様のところにいる。彼も色素欠乏症状態だ・・・たぶん3か月は外に出せない。


教皇には六月タルゲリア七日のアポロ神の誕生日に任命された。

ほんの一週間前だが・・・デルフォイは大騒ぎだった。


「まずは使者をもてなしておいてくれ。担当は・・・アイオス殿にお願いしよう。」

アイオス神官長は顧問みたいな感じで、恋人のプトレモスを導いている。

たまに、アーシアとヘラクレイトスの関係にかぶるような気もするが、気のせいだろう・・・。


巫女長が連絡に出て行ったあと、伝令に出したサルピズマ隊員を呼び出した。

配置はスペード隊のジャックである。

来た人物は明らかに中華の民だった。

名前は商安、名前からすると北方系みたいだが、なぜ呉にいたかは知らない。


「商安、疲れているところ悪いが、むこうが書面を受け取った時の様子を話してくれ。」

「は!司令官殿。私が首都アイガイに到着後、王宮に文書を提出しました。

その後、マケドニア王の呼び出しがあり、到着したときには王太子が目の前で文書箱を蝋で封じておられました。

その際に「何が入ってるか楽しみではないか?」とご下問ありましたので、「アーシア様に幸いであることを望みます。」と答えました。

すると王太子は私に金貨を御下賜下さり、励むよう伝えられました。以上です。」


「金貨か・・・・」


商安を解放して休ませると、今の情報を整理した。

気になるのは二点、王太子・・・たぶん長男のアルケタス二世・・・の言葉


そしてその王太子が金貨を使者に渡したということだ。


この時代、金貨の価値は大きい。普通なら王が直接下賜するはずだが・・・・ペルシアに漏れた時を配慮したのか?


それに蝋付けしているのをわざわざ見せてるのに、中身について楽しみなようなことを言っている。


これは、どういうことだ?


・・・


中身を金貨で一杯にして返せということだろうか?

いや、それだとケーリュケイオンの杖の彫りが無意味になる・・・


ふと神話の一部が頭に浮かんだ。


ヘルメスは葦を刈りて笛を作りたもう。この葦笛とケーリュケイオンの杖をアポロは交換した。


もう一つは木箱を見て連想した。


プロメテウスの子デウカリーンは木を刈りて箱舟を作りたもう。これによって大洪水を脱した。


あれ?もしかして、マケドニア王に、こちらの意図ばれてる?


だとすると・・・ケーリュケイオンの杖の模様が持ってる意味が全く違ってくるんだが!


いきなり、かい。




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