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男なのに聖女に転生させられたんたが、使えるのは回復魔法じゃなくて、地球の薬局に売ってる薬だけ

作者: 更科蕎麦

 


「聖女様、息子が苦しんでるんです! 助けてください」


  俺いや、私は異世界で聖女に祭り上げられていた。うん、どういうことか私にも分からん! 聖女とは癒す系統の力を備えた女性の事を指す。

 なんでこうなったのかと、このご老人(実はお偉いさんだった)に案内してもらいながら振り返る。


 ・薬局(ブラック)で働いていたら過労で死んだ。

 ・異世界に女として転生いた。

 ・頭の中に浮かべた薬を具現化できる能力を手に入 れた。(質量保存の法則とかは知らん)

 ・教会で育つ。

 ・司教様が頭を痛がっていたのでバファ○ン(頭痛薬)を水に溶かして飲ませたところとても良く効いた。

 ・現在にいたる


 三行で説明しようとしたけど無理でした。そんなこんやで大きな屋敷にやって来ました。息子は公爵家の跡取りらしい。見たところ症状は腹痛のようだ。


「正○丸だな」


 正○丸、まさに腹の万能薬だ。困ったらこれ飲め。しばらくすると痛みが治まったみたいだ。


「セイロガン……」


 何やら呟いている様だが気にしない。

 ちなみに私は今は教会本部で生活している。聖女とはまさに教会の顔。聖女が存在しない代の教会の威厳は弱い。


 その帰り道とある女性と出会った。綺麗な銀髪に碧眼の美しい方だ。思わず見惚れてしまう。前世ならフラれる云々の前に即告白してたに違いない。


「貴方ーー」


 キッっと睨まれる。……って、え? 私!?


「あ、はい?」


 何かを言いたげだが、何やらうぅ〜と唸った後に、


「貴方より私の方が聖女に相応しいのよ!」


 そう言って通り掛った人にナイフを突き刺す。え、突き刺す……?


「なっーー」


「い゛、い゛て゛え ぇ ぇ え え え」


 モブA絶叫、うん、あれは痛いわ……脇腹に刺さってます。

「見てなさい」と言われると同時に、なんと銀髪の女性はナイフを引き抜き傷口を手で覆う。すると傷が塞がっていた。


「ほら見なさい!この通り。貴方にこれが出来て?」


 張り合ってくるのだが、今はそれどころではない。モブAが物凄い顔でこちらを見ているのだ。だが、私には必殺技がある!

 それはーー


「逃げるんだよぉ〜」


 女性の手を引いて逃げる。




「「はぁはぁ」」


 逃げ切れたか……モブAさんには悪いことをしたな。


「あ、貴女のお名前はなんですか?」


「エルザと申しますの。そういう貴方は?」


「サラです」


 今更ながら自己紹介だ。この美しい女性はエルザさんというらしい。なんだろう……いい名前だ。はっ、これはもしや恋!? 私の方が聖女に相応しいとか言っちゃって、その言い方といい仕ぐさといい可愛いすぎるんですよ〜


「えいっ」


 抱きついてみた。普通なら犯罪だけど私は女。おぅけぇおぅけぇ!


「きゃ、な、何をしますの!?」


 あ、これ箱入り前の令嬢ですわ……う〜ん、たまらん!


「そういえば聖女の事でしたね? それなら司教様にお伝えしますよ」


 これにはエルザも「えっ」とあっさりしすぎていたので驚いていた。


「そ、そんなこと……」


「でも聖女になりたいんですよね?」


「……うん」


 うっひょう!カワユイ


「エルザさんは回復魔法が使えるようですし、すんなりいきますよ」


 そう、なぜ回復系が聖女に祭り上げられるのかというと絶対数が足りないからだ。この国に回復魔法を使えるとされているのは私とエルザのみ。実際には私は違うのだからエルザ一人だ。


「そ、そうですの?」


「うん、今代は二人も聖女様が現れたのじゃ〜って言うと思うよ」


 エルザはクスっと笑って微笑む。


「サラ様の事を悪い人だと決めつけていたのですが、現実はそうでは無かったみたいですわ。ごめんなさい」


 しょんぼりとして謝られる。え、何この人、なんでこんなに純粋なの?

 っんもぅ〜カワユス




 司教様にエルザの事を話したら即オッケーが出た。それもそうだろう、なんせ教会にはメリットしかない。


「それじゃ聖女様、今日は王様の所に行ってください。高熱だそうで……」


 いつも通り司教様に頼まれた事をする。だいたい私には二つのパターンがある。司教様からか、直接だ。実際には聖女である私に直接というのは難しい。なんせ教会と国が控えるように明言しているのだ。これだから宗教というのは……宗教を否定する訳ではない。いい面もあれば悪い面もある。ただそれだけなんだけどーー




「はい、これ飲んでください」


 水にロキソニンを溶かした物を渡す。聖女というのは国王に対しても畏まらなくても良いらしい。凄い事だ。


「おおっ、治ったぞい。流石は聖女様ぞい

  ロキソニン……」


 王様の語尾のぞいで毎回吹きそうになります。助けてください。




 そうしてサラとエルザは二大聖女として君臨した。君臨ってww私が体内、エルザが傷と敵なしだ。

 ただ困った事がある。


「はぁぁああ!バッファリン!」


「セイロガン!セイロガン!」


「ロキソニンのお力を〜」


 助けた奴らが私のつぶやきを聞いてやがったみたいだ。ちょー恥ずかしい。

 道で人と会う度に「セイロガンのお姉ちゃんだ!」とか「ロキソニン様!」などと言われる。 ……なんでこうなった\(^o^)/



 fin

どうも!初の短編!

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