サブの序章
最初はコメディーのつもりだったんです。
「ワシは神様から予言をもらった。近い将来、悪の再来によって世界は終焉に向かうだろうと。だが、それを食い止める者は必ず現れると。君は1000年に一度、この世の終焉を食い止めるために転生する伝説の勇者なのじゃ!」
俺の隣の奴がな。
「俺は手にした!長く辛く険しい旅の中、何度もくじけそうになった。世界の終焉を食い止める前に永遠の闇である終焉の魔王を打ち消す聖剣エクスカリバーを俺は今手に入れた!」
俺の隣の奴がな。
「貴様が神より授かった予言の子か。良い眼をしている。その眼から貴様の強さがどれほどの物か分かる。ひしひしを感じられる。さすが、俺の幹部どもを次々と打倒した伝説の勇者だ。だが、ここでその快進撃も終わりだ!行くぞ!勇者よ!」
俺の隣の奴だな。
「ついにやったぞ!この世界は終焉から救われた。俺こそが正真正銘伝説の勇者だ!」
もちろん、俺の隣の奴だ。
「あなた様が勇者様ですか?あなた様のおかげで終焉の魔王にさらわれた娘が無事に返って来ることが出来ました!本当にありがとうございます」
それ俺の隣の奴ね。
「勇者様!終焉の魔王に打ち勝ったその剣を腕を見込んで一本勝負を願いたい!」
ゴメン、隣の奴に言って。
「また、魔王のような危機がおとずれれば俺が必ず再び救ってみせる!」
って隣の奴が。
「結婚しよう、姫」
と隣の奴が。
どうも、勇者の補佐のサブスです。
上記の通り脇役です。
終焉の魔王が現れたのと同時に俺の親友である勇者がこれは大ピンチだ今すぐ魔王を倒さなければ世界が終わってしまうって突然言い出したのだ。王宮は魔王を倒すべく100万の軍勢と多くの軍艦などを用意して魔王との戦闘に備えていたので、いやほかっとけば勝手に魔王倒されるだろって俺は言ったんだ。
だが、親友が実は俺は勇者だったんだって突然のカミングアウトに頭が痛くなった。すぐに教会に行こうとか言って俺を引きづって教会に向かうとそこにいた全身ボロ雑巾みたいなおっさんが君は伝説の勇者の生まれ変わりだなんて言われて超興奮した勇者はすぐさま全財産をはたいて武器と防具やらを買いそろえて魔王退治に行って来るとか言って町を出て行った。その数日後に身に覚えのない明細書がいくつか俺の家に届いたのはなぜか原因を考える前にある人物の顔が鮮明に浮かぶのだ。とりあえず、怖いマッチョのお兄さんが金を払えと玄関の扉を破壊に来たのできっちり明細額通りの金額を支払った。
それからさらに数日後に俺に剣や防具などの明細を俺に突きつけて魔王退治に逃げた勇者が全身ズタボロになって帰ってきた。どうして俺に明細書を擦り付けたんだという文句が言えないほどぼろぼろだった。どうやらいきなり魔王城に乗り込んだらしいのだ。そしたら門番のデビルにアポ取ってますか?って聞かれて取ってないと言われて取ってないと答えたらなら帰ってくれと言われたらしいのだ。勇者曰く終焉の魔王を倒すためにいちいちアポなんかとっている場合じゃないと言って門番のデビルと戦闘になったらしい。まぁ、ありがちな感じで戦闘になってあっけなく敗北して戻って来たのだ。汗水流して稼いだ俺の金で買わせた剣や防具は完全に使い物にならない状態になっていた。
勇者は俺に助けてくれとすがった。情けない勇者だ。人のいい俺は仕方なく勇者の助けることにした。とりあえず、グーグルで魔王を倒すべき手段をいろいろ検索した。どうやら、魔王及びモブの配下たちも普通の鉄の剣では闇の防壁によって攻撃が通らないらしい。さらに魔王たちの攻撃は基本的に闇属性の攻撃らしく鉄と革の防具では紙同然らしい。
そこで聖属性を持った聖剣と聖防具をそろえる必要があった。聖防具の方はなんとなりそうだった。町にオーダーメイドで聖防具を作ってくる防具屋があった。さっそく尋ねると素材が必要だと言われた。東の山に住んでいる聖なる蛍を捕まえて南の火山の紅聖石と西の砂漠に存在するという聖硬岩の二つの鉱石と北の森にすむモモマンモスの厚皮が必要だと言われた。俺は鉱物を取りに南の火山に西の砂漠に、モモマンモスを狩りに北に蛍を取りに東に向かった。
一方そのころ勇者は町の病院で入院中でありナースといちゃいちゃしていた。
聖防具の素材を手に入れた俺は防具屋に向かった。素材は全部で5人分ほど集めた。なぜ、5人分を集めたのかというとどうやら魔王戦では魔王の他にキースマンという敵がいるらしくそんな複数の敵と魔王の相手をひとりするのは至難だし、魔王城内にも門番のデビルのような魔王の息のかかった奴らとも何回か戦闘になる。それを勇者ひとりでこなしていると魔王にたどり着く前にヘロヘロになってしまう。そこで何人か人を雇って魔王城を共に攻略することにした。一応、武闘家と魔法使い、僧侶には声をかけている。後は俺もディレクターとして勇者と共に魔王城に向かう予定なので5人分の防具は用意した。
防具の用意が終わった後は聖剣を取りに行かなければならない。聖剣の名はエクスカリバー。ありふれた名前だ。どうやら時の神殿とかいうところに眠っているらしい。そこには石の騎士というエクスカリバーを守る番人でもあり、やってきた勇者が聖剣の持ち手にふさわしいかを試すらしいのだ。とりあえず、勇者に作ったばかりの聖防具と北の森のさらに北の氷山に眠っていた聖剣ほどではないがそれなりに聖属性で攻撃力があり扱いやすい聖剛剣マスターソードを持たせていざ時の神殿に向かった。
勇者と石の騎士の戦闘は勇者の圧勝となった。聖剛剣マスターソード異常なまでの切れ味と攻撃力に聖防具のチート並みの防御力のせいで石の騎士は何もできずに粉砕。あっけなく勇者は聖剣エクスカリバーを手に入れた。
ちなみに聖剣エクスカリバーを手に入れたその晩に家に帰ると身に覚えのない明細書が届いていた。聖剣エクスカリバー貸賃と書かれていた。いや、あれ使うのに金をとられるのかよって言うツッコむ。ちなみに送り主は賢者様だった。後で調べたら時の神殿の維持費がバカにならないらしく募金などで何とか維持しているらしい。ジリ貧なのねと妥協して貸賃を振り込んだ。
さて、聖剣エクスカリバーの貸賃がバカにならないのでさっさと魔王を倒しに行くべく次の日に魔王城に向かった。ちなみに勇者を除いた俺たちの武器は聖剣と同じく聖属性の武器だ。俺は勇者が使っていた聖剛剣マスターソード。武闘家には聖拳ライトニングナックラー、魔法使いには聖棒スターステッキ、僧侶には聖珠ホーリーローザリーを持たせた。
魔王城の門番のデビルに勇者はリベンジを仕掛けたが異常な攻撃力と異常な防御力のせいで門番のデビルは攻撃を仕掛ける前に聖剣一振りで撃沈。その後、魔王城内で襲い掛かる敵を俺や武闘家、魔法使い、僧侶がすべて一撃で倒して行った。幹部も中に混ざっていたらしいのだがどれが幹部だったのか覚えていない。
で、魔王の部屋にたどり着いて上記のようなやり取りをやったうえで勇者がえいと一振り。魔王爆散。という感じでなんかあっけなく世界の終焉が取り払われたのだ。俺がグーグルで調べて念入りの前調べと準備による結果がこうもあっけないと涙が出る。
勇者は鼻を高くして我が物顔で街に戻ると魔王を倒した勇者は町の人々に祝福された。まぁ、魔王を倒したのは勇者なわけだしそれもそうだろうと無理やり自分を納得させた。その後、俺は聖剣の貸賃と武闘家、魔法使い、僧侶の給料を払った。さらに王宮から俺のもとにお姫様が勇者様に会いたいと連絡が入り、俺は王様の城へ行くためにアポを取ったり正装するために勇者のタキシードを仕立て屋に作ってもらったりした。事後処理もいろいろと面倒だった。聖剣を手放そうとしない勇者のせいで俺に貸賃の請求が止まることない。なので代わりに聖剛剣マスターソードを時の神殿の賢者に送りこれ以上の貸賃の請求を止めていただきたいと送ったら心よく受け入れた。それでいいのかよって思ったけどこれで貸賃の請求はないから安心だ。
それから勇者はテレビに引っ張りだこで町中に勇者の名は広まった。ついでに俺も勇者と共に魔王城を攻略して勇者に貢献したと自慢をする武闘家、魔法使い、僧侶もテレビに現れた。
あいつらは俺が金を払って渋々魔王城に向かった奴らなのになんだ!あの言い方は!勇者と共に世界を救うために貢献した?俺が頭を下げてようやく動いたやつらが何を言ってやがる!聖属性の武器を手に入れるのは大変でしたってお前ら取って来てないだろ!
きっと、奴らは出演料で大量の給料をもらっているに違いない。俺は奴らに魔王城攻略してもらった謝礼を逆に払ったのにしかもそれをネタにさらに金を稼いでやがる。魔王よりもあくどい奴らだ!勇者も含めて!
それから半年後、勇者とお姫様は国民に祝福されながら結婚した。
誰もが納得のいく結婚だった。ただひとりを除いては。
俺はいつでも脇役。舞台そでで急がしせわしく働くだけの脇役。ちなみに今は魔王攻略に使った資金が借金として俺の重くのしかかりそれを返す日々に追われている。俺には武闘家たちのように勇者と共に魔王を攻略した戦友としてテレビや雑誌の取材は来ていない。俺はただ貧乏くじを引いただけ脇役のサブスなのだ。




