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朝の時間

1ー2 (朝の時間)






朝の七時。

私は、朝食の準備をしながらニュース番組を見ていた。

ニュース番組の中で、アナウンサーの女の子がカミカミになりながらも、今年の流行りのキッチングッズを紹介していて、こんな便利なモノがあるのかぁーと思って見ていた。



世の中、どんどん便利なモノが増えていくわぁーと感心してしまう。



ガチャっ……



音のする方に目線をやると、崇生が立っていた。



『おはよう』

先に朝の挨拶をしたのは崇生の方だった。


『おはよう。すぐ、朝ご飯の支度するから待ってて』


そう言うと、崇生は優しく微笑んだ。

(あぁ、私、この人のこの表情好きだなぁ)


でも、この表情を他の誰かも知ってるかもしれない。私だけが知ってる崇生の一面なんて、ごく僅かで、他の誰かの方が崇生の事を知っているのかもしれない。


私には見せない一面だってあるかもしれない。




『コーヒー、飲む?』


なんて、間の抜けた一言なんだろう。

私の気も知らないで、崇生はコーヒーの入ったカップをこちらに向けて微笑んでいる。

さも、自分が淹れましたと言わんばかりに、得意気にカップを持っている。

(その、コーヒーを淹れたの私なんだけど……。しかも、そんなに得意気に言われたら断れないじゃない)




『ありがとう。落ち着いたら頂くね。』




コトリと音を立てて、テーブルに置かれたコーヒーの入ったカップ。

もう、だいぶ古くなったなぁーと思って見ていると崇生と目が合った。



ん……?何……?


何か物言いたげな目で見られ戸惑ってしまった私に崇生は首を傾げながら、口を開いた。

『今朝も、ソファーで寝てたの?起きたら、ベットがキンキンに冷えてたし、咲の所だけ綺麗だったんだけど……』


一瞬、部屋の空気が重くなった。

相変わらずテレビからは、ニュース番組が流れ続けていて、あのカミカミ女の子がボードを片手に違う特集をやっていた。

軽い感じで、賑やかなニュース番組が今は恨めしく感じるのは私だけだろうか?



『まぁ、咲がベットで寝たくなったらでいいから、久しぶりに一緒に寝ようよ?せっかく、奮発して買ったダブルベットなんだからさぁ』


『……ごめん』


『別に、咲を責めてる訳じゃないから、謝らないでくれよ。ただ、寂しいってこ と だ』



そんな風に言うなら、何で浮気してるの?

一瞬、頭の中に浮かんだ言葉に首を振った。そして、崇生に精一杯の笑みを見せた。



あの浮気発見から、一緒に寝ていない。

一緒に床に入っても、途中で目が覚めて、息苦しく感じて、いたたまれなくなるから。

だから私はソファーで寝る様になった。

それに、崇生が不満を言うのは今朝だけではない。今朝も居ない。なんで?どうして?一緒に寝たくないの?と。



なんで、そんな事を言われないといけないの?

あんたが……。あんたが浮気なんかしてるから。



今朝の献立は、昨晩から仕込みをしておいたクロワッサンに、余り野菜のコンソメスープ。そして、チーズ入りオムレツにサラダと厚切りベーコンのソテー。

例え、重い空気の中でも、食事を取らなくてはならない。

前は賑やかで、いつも笑い合っていたはずなのに。今は沈む気持ちに鞭を打っている状態。

朝、二人で過ごす時間は私にとってかけがえのない大切な時間だった。

二月までは、かけがえのない……。


『咲、まだ、気にしてるの?』


『ちがうよ?崇生こそ、気にしすぎじゃないの?』


『そーかな? まぁ、なら、いいけど。あと、俺、明後日からまた出張で週末まで居ないから。悪いけど、今日か明日でも荷造り頼める?』




( また、出張……なの? )


部屋の中は、更に空気が重くなり、凍りつくってこう言う時に使うのかもと思える位に重く、静かで、沈む。



『……分かった。じゃあ、用意しておくね』


『あぁ、頼むよ』


先ほど崇生がテーブルに置いたコーヒーに手を延ばし、口付けると温かかったはずのコーヒーは冷たくなっていた。


まるで、私達みたい。


『そー言えば、咲。もう一つ頼みたい事あったんだけど……。いい かな?』


『え……?』


『いやさぁ、姉貴が、咲と二人でホテルのバイキング?とかに行きたいって連絡来てさぁ。暇なら、付き合ってやってくれないか?咲に直接連絡したら断れないだろうからって俺に連絡来たんだ。どうかな?』


『最近、どこも出掛けてなかったし、雪子さんと会うのも久しぶりだね。うん、行ってくるよ。なんか、今から楽しみ〜』


『じゃあ、姉貴に連絡してやって。俺からより、大好きな咲からの方が百倍喜ぶだろうしね』


ようやく、重く凍りついた部屋に暖かさが戻ったような気がした。

だけど、本当は雪子さんにはあまり会いたくなかったなぁ。

三月に会った時に、崇生の事を話してしまったし、なによりも、泣いて取り乱した事が気まずかった。




更新が遅くなりました(・・;)


なかなか、どう進めたらいいのか悩んでしまって。誤字、脱字、その他の間違いがあれば報告願います!


あと、次はなるべく早く次の話を出せる様に頑張ります!!

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